大和田啓気の発言 (農林水産委員会)
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○政府委員(大和田啓気君) 御指摘の二点、私はまさにその通りであろうと思います。第一の兼業農家あるいは零細農家に対して農林省はどういうふうに考えるかということでございますが、私ども農政の立場として考えまして、特殊の農家あるいは特別といいますか、少数の農地に専業的な農家だけがうまくいけば農政はそれでいいというふうには毛頭考えておりません。農業生産を高めるためにも、あるいは農家の所得なり生活水準を上げるためにも、そういう一部の農家だけでなくて、全体の農家、兼業農家なり、あるいは零細農家なりを含めて、全体の農家の農業生産を高める、あるいは所得を上げることが私は農政の大きな筋道であろうと思っております。しかし、それと同時に、今回農地管理事業団を出すに至りました経過を申し上げますと、農政の一つの基本的な立場としては私が申し上げたとおりでございますけれども、最近のように兼業農家がこれだけ進み、農家らしい農家といいますか、先ほど私が申し上げましたように、農業に専念して農業所得でやっていけるような農家というものをほんとうに相当の数をつくっていかないと、日本の農業の生産力というものは決して上がらない。また都市と農村との生活水準なり所得の格差の是正ということができないというわけでございますから、全体の農家を対象として農政を進めながら、やはりそれと同時に農業で自立できる農家を相当程度育成することに私は力を注ぐべきだという立場に立っておるわけでございます。
ただ、兼業農家なり、零細農家なりに対してどういう対策があるかということでございますが、実は私から申し上げるまでもなく、農家の階層の分化といいますか、戦前のような農家一本で同質、質の同じものでございませんで、きわめて農業を片手間にして農業を副業と考える農家から、農業でほんとうに生活する農家まで、農村において農家の階層分化というものはきわめて著しいわけでございます。また、戦前では小さな農家イコール貧農でございましたけれども、最近における兼業化の進みぐあいを見ますと、むしろ三ちゃん農家でどっかに勤めているという農家の生活水準は専業的な農家よりも高いということが普通見られるわけでございまして、兼業農家なり、あるいは零細農家に対しましてそう一がいに問題の定義ができないというふうに思います。そうして農業所得だけではとても生活することのできないような農家に対しましては、地域開発、工場分散あるいは雇用の促進あるいは社会保障ということが私はやはり農政としても考えなければならないことであろうと思います。先ほど離農対策についてお触れになりましたけれども、離農対策という問題と同時に、私は零細農家対策なり兼業農家対策なり何なりとして社会保障の問題が今後の農政として大きくとりあげられるべきものであろうと思います。それと同時に、そういう兼業農家なり、あるいは零細農家が農業にだんだん関心を失ってきておりますことも事実でありますし、またその人たちは、主人公は工場や、あるいは会社に勤めに出て、主婦や、あるいは老人が農業をやって非常に過労に陥っていることも事実でございますから、私はそういう面に、農業生産なり、あるいは農家対策としては、やはり大きな機械を中心とした共同化を農林省として本格的に進めるべき時期にすでにきている。これは構造改善事業その他でここ数年農林省として相当力を尽してやっておるわけでございますけれども、その点についての今後の努力は私はますますやらなければならないというふうに思っております。
さらに、兼業農家と専業農家の定義についての御意見がございましたが、まさにそのとおりで、私もときどき農村に行って兼業農家というものをずっとたぐっていきますと、農林省の統計調査の分類によりますと、三町歩の水田の農家で娘が一人、学校の先生をしたり郵便局に勤めたり、第一種兼業農家ということでございますから、その娘が嫁に行けばまた専業農家になるということでございますから、これは私どもが農政を考える場合の統計の取り扱いとして、いまの専業、兼業農家というものは実情に沿わないものがあろうかと思っております。そういうことで実は統計調査部でも最近兼業、専業の区別を、経営主なり、あるいはそのあと取りの就業の実態についてやるように統計を変えております。一種兼業、二種兼業、専業という区別もこれはいままでの連続の中で統計を見る必要上、一がいに捨てるわけにはいきませんので、一種兼業、二種兼業というようなことで統計もとっておりますけれども、それはあくまで過渡的なことで、大体いま御意見がございましたように、経営主なり、あるいはあと取りなりの農業就業の実態に即して兼業農家と専業農家と区別するという方向で統計の整理をしておるわけでございます。