浅井亨の発言 (本会議)

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○浅井亨君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対し、反対の意見を表明するものであります。
 反対理由の第一点は、わが国鉄道史上未曽有の運賃値上げ案は、国民の納得を得ようという手続を踏んでいないからであります。すなわち、政府・与党は、運輸審議会の公聴会の中途で値上げ方針を決定し、審議会も有名無実にしてしまっておるのであります。また、衆議院の審議では、国会正常化の叫ばれているさなかにもかかわらず、強行採決が行なわれ、また、本院においても、慎重審議が行なわれず、ただいまの段階まで、多数にものをいわせて強引に持ってこられたのであります。そうして、間もなく、いやおうなく本法案の採決が行なわれようといたしておるのであります。このように無謀なやり方で、この大幅値上げ案を押し通そうという態度は、国民大衆を無視したものであって、わが党としては断じて許しがたいところであります。
 反対の第二点は、政府が今回の大幅値上げの根本原因である政府みずからの政策の貧困をたな上げして、国鉄独立採算制の虚名に隠れて、利用者負担を当然とするがごとき無責任な考え方に立っていることであります。すなわち政府は、無計画、無秩序な人口の集中と都市配置を放任し、また、鉄道及びその他の輸送手段との有機的総合的計画性もないのであります。そうして、そのしわ寄せが国鉄に集中しているのが通勤ラッシュであり、過密ダイヤであります。まさに事故発生の根本原因はここにあることを、政府は十分銘記すべきであります。この根本的緊急施策を実行しない政治的責任を感ぜず、利用者大衆の負担で、びほう手段を講じようとする政府の態度は、国民の信頼の上に政治責任を果たそうとする真摯な政治姿勢とは、断じて見いがたいのであります。
 反対の第三点は、無計画、無秩序に集中増大する輸送需要に対処すべき国鉄第三次長期計画の資金構成の問題であります。第三次計画の資金の大部分は借り入れ金に依存しておりますが、政府はその金利の一部をも負担しようとしていないのであります。そのため、未曽有の運賃値上げも、値上げ分がサービス改善として利用者大衆を益する前に、金利支払いのほうに消えていくからであります。政府は、この資金構造にメスを入れなければ、幾ら運賃値上げをしても、イタチごっこであり、審議の過程において政府が示唆したとおり、またもや、国民大衆に対して値上げの追い打ちがかけられることは必至と言わなければなりません。われわれは、このイタチごっこの悪連鎖を断ち切るべく、資金投入の措置を政府に要望したのでありますが、政府は、ついに、その考え方を明確にしなかったのであります。また、借り入れ金に対する利子補給についてすら、政府は同意しなかったのであります。このような成り行きまかせの無責任な政府の態度と、その犠牲を大衆に押しつけて省みるところのない態度は許しがたいものであります。国鉄の公共負担は、独立採算制の中で利用者負担でまかなうことが正しいかのような政府の考え方が抜けないからであります。公共性と企業性の調和などと言う前に、国鉄の公共的負担を国が公費で負担し、国鉄に企業的合理性を貫く健全経営を行なわせることが、本然の姿でなければならないのであります。この基本を正さずして、大衆の犠牲によって国鉄経営の苦況を打開しようとすることは、形を変えた大衆課税であり、底辺層に対してはきびしい一種の税金攻勢と言わなければなりません。
 反対の第四点は、国民生活に与える影響が甚大だということであります。政府は、しばしば、国鉄運賃の値上げが消費者物価に及ぼす影響は、ごくささいなものであって、問題にならないようなことを述べているのでありますが、国民大衆の側に立った政府信条があるならば、とても、このような無責任なことは言えないのであります。政府は、国民をうまく欺けばよいというのでは、全く話にならないのであります。それでは国民の信は政府より離反するのみであります。たとえば、公債発行はしないと言っていながら、その翌年には口をぬぐって発行するなどは、そのよい例であります。物価値上げは、四十一年度は五・五%に押えると言っておりますが、これとて、四十年度の値上がりの実績から見て、公債発行をのみ込んだ予算の性格から、また、公共料金の一斉値上げという環境の悪化からして、はたして、どこまで信用できるのか、はなはだ疑わしいのであります。私は、この状況のもとにおける今回の運賃値上げは、あえて、インフレ助長策であると断ぜざるを得ないのであります。インフレ進行の中で得をする者のために政府の施策の基本があるとすれば、もう何をか言わんやでありますが、国民大衆の生活の安定をはかることを政治の要諦にしなければならないということを、政府に警告をしておきたいのであります。
 討論を終わるにあたりまして、最後に、国鉄自体の経営の合理化努力が不十分だということを要望するものであります。これは政治の腐敗を前提にしては求めるのが無理かもしれませんが、財産管理、用地取得、構内営業の許可のあり方、政治路線及び赤字線に対するバス化断行など、強靱な努力が要請されるのであります。この点について国鉄の改善施策の断行を求めておきます。
 以上をもって私の討論を終わりたいと思います。(拍手)

発言情報

speech_id: 105115254X01419660304_014

発言者: 浅井亨

speaker_id: 7238

日付: 1966-03-04

院: 参議院

会議名: 本会議