相澤重明の発言 (本会議)
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○相澤重明君 私は、ただいま議題となりました大蔵大臣報告の昭和三十九年度歳入歳出決算外三件につきまして、日本社会党を代表し、佐藤総理大臣をはじめ、関係国務大臣に対し、若干の質疑を行なわんとするものであります。
まず、ただいままで一時間余にわたり、大蔵大臣の出席がおくれまして、このように時間が長引いたことをまことに遺憾といたしまして、総理大臣に対し、閣僚のそういう本会議等への出席については、ぜひ内閣自身で十分ひとつ今後は気をつけてもらいたいと思います。
御承知のごとく、国の決算は、憲法第九十条及び財政法第四十条により、会計検査院の検査報告とともに国会に提出するのでありますが、帝国議会以来、歴代内閣は、これを報告案件として取り扱ってまいったのでありますが、佐藤内閣になり、今回、衆参両院において大蔵大臣が報告を行ない、質疑が行なわれることば、画期的なこととして、決算の重要性が再認識されるとともに、国会を通じ、納税者たる国民に深い理解と協力を求めることのできたことをたいへんに喜ぶものであります。(拍手)まず、総理大臣から、今回、このような措置をとられたことに対する御所見を伺いたいと存じます。
決算は、予算とともに、表裏一体をなすものでありますが、とかく予算の際は、はなばなしい議論が行なわれるとともに、予算獲得には、圧力団体の応援を求めつつ、血眼となって騒ぐのでありますが、行政府執行のあとは、もはや過ぎ去ったこととして、内閣も、また、議会においても、若干なおざりにしてきた、うらみがあったことを、反省しなければならないと思うのであります。国民の血のにじむ税金は、国民に正しく還元されるよう、予算として効率的に執行されなければなりません。いやしくも不正不当事項は絶滅しなければならないのであります。しかるに、歴代保守党内閣の失政と、公務員の綱紀弛緩と相まって、毎年、会計検査院より指摘されるものは実に膨大であります。決算上から見て例をあげるならば、昭和二十四年の不正不当件数は七百五十件、批難金額ば八百十九億円余であり、以来、昭和三十一年度までの合計は、不正不当件数は一万二千六百六十五件、批難金額は実に一千四百十億円余であり、公務員の汚職等による起訴件数は三万八千百五十五件であり、終戦後十年間の混乱期が思い出されるのであります。昭和三十二年以来、今日までは、若干是正されたとは言えますけれども、なお不正不当件数は三千九百九十六件、批難金額は百四十一億円余、公務員の汚職等による犯罪起訴件数は四万七千百二件であります。昭和三十九年度においても、不正不当事項は六百六十四件、二十七億九千余万円の批難金額であり、人事院発表による国家公務員の汚職等による懲戒処分一千八百四十三件、法務省の発表の犯罪件数は、収賄の四百五十六人をはじめ、実に二千六百四十四人となっております。総理大臣をはじめ関係国務大臣は、いかにしてこのような不正不当事項をなくし、また、収賄等の犯罪者をなくすことができるか、お答えを願いたいのであります。
特に、国有財産の管理処分については、目に余るものがございます。国有財産は国民のものであります。ために、財政法第四十六条及び国有財産法第三十四条、三十七条に明らかにせられておるところであります。国においても昭和三十二年以来、国有財産の実態調査を進めてきたところでございます。しかるに、決算委員会審査より見るならば、国有財産の管理不適正なため、いまだに不分明のものや、不法占拠されておるもの等、枚挙にいとまのないほどであり、責任を追及されるゆえんでございます。貸し付けの中でも、農林大臣よく知ってもらいたいのでありますが、国有林野が、きわめて一部の政治家や、あるいは観光業者のために、坪当たり三円、あるいは七円というような低地代であることは、何としても許されぬことでございます。また、国有財産の処分が、特定の政治家や権力者の介入によって不正不当に処分されているのは、旧虎の門公園あと地、あるいは碑文谷マンション等に見られるごとくであり、本院決算委員会で国有財産に関する小委員会を設置し、審査を進めたのでありますが、全国よりこの小委員会に寄せられた投書は実に九十通余に及んでおるのであります。会計検査院の指摘事項、また、本院決算委員会に寄せられたこれら投書も、三兆八千億余に及ぶ国有財産から考えるならば、まさに氷山の一角にしかすぎないのであります。特に、高級公務員が官舎等をわがものとして不正不当に使用、あるいは払い下げを受けておることは、大蔵省、専売公社等をはじめ多数見受けられるのでありまして、何としても許すことはできません。総理大臣、大蔵大臣は、いかにして国有財産の管理を適正にし、かつ処分にあたっては、従来の随意契約、指名契約等によらず、競争入札による正しい評価、公正な入札による処分をする考えがあるかどうか、お答えをいただきたいと思うのであります。
政治家が介入しているものを審査の中で指摘をしますと、どうも困る、こういうことで、くさいものには「ふた」をする、やみからやみへ、ほうむってしまう、こういう国民の疑惑をなくすようにどうしたらできるか、所見を伺いたいのであります。
本院決算委員会は、去る三十七年五月、私が当時決算委員長のときでございましたが、決算審査の方針をきめて決算委員会の運営をはかってまいりました。これは少し時間がかかりますので省略いたしますが、各議員の皆さんはぜひひとつごらんいただきたいと思うのであります。帝国議会で伊藤博文公は、「国の予算は会計に始まり、決算は会計の終りとす」と言っておるのであります。予算、決算は、国の二大支柱であることを教えていると思うのであります。今日、憲法第四十一条「国會は、国権の最高機関」としての位置づけをし、さらに、第八十三条は財政の基本原則を定め、「國の財政を虚理する権限は、国會の議決に基いて、これを行使しなければならない。」とうたわれておるゆえんでございます。かかる憲法の条章や制定の意義から、総理は次の点についてどう考えるか、お尋ねをしたいのであります。
第一は、会計検査院の検査報告を含め、決算を今後は議案として取り扱うことであります。
第二は、議会運営上、決算委員会等においてたいへん膨大なものを審査するのでありますから、小委員会等を設置して審査を行なうことであります。
次は、補助金等についてであります。昭和三十八年十二月行なわれた補助金等合理化審議会の答申、昭和三十九年四月十五日補助金等を中心とした財務行政監察による勧告、昭和三十九年九月臨時行政調査会の勧告等、次々に勧告が行なわれておるのでありますが、行政管理庁長官は、これら補助金等の名目によるものは、昭和三十九年一般会計で八千九百四十六億円、四十年には実に一兆八百四十億円、昭和四十一年度には一兆二千七十六億円という膨大な額が計上されておるのであります。今年は一般会計において、御承知のように、七千三百億円余にのぼる公債財源に依存をする予定でありますが、支出面において一そう経費の合理化に努力すべき時期と思われるが、いかなる措置をとられるか、承りたいのであります。
第四は、調査費及び庁紙費等であります。各省庁におけるこれら関係費については、公安調査庁の使用不明のものをはじめといたしまして、不必要と思われるものがきわめて多いのは遺憾であります。昭和三十九年度の一例をあげるならば、外務省にある委託費が、大臣官房国際資料部と情報文化局国内広報課より、財団法人国際問題研究所への委託費を出しているのでありますが、外務省の図書費は約四千万円、総理府本部の図書費は約一億三百万円であります。関係省庁の合計は、実に約七億二千万円に及ぶのであります。これら庁紙あるいは図書費等について、政府の所見を承りたいのであります。
第五は、人件費等補助制度についてであります。本件においては、範囲、単価等が実情に即せず、地方公共団体の人件費負担増の主要な要因となっており、補助職員の業務運営に適切を欠いているのでありまして、配置定数の適正化等については、いかなる方針であるか、承りたいのであります。
第六は、行政改革についてであります。今日、国の許認可事項は八千余に及び、国民は仕事をするのに一々役所の判こをもらわなければできないのであります。いわゆる判こ行政を恨んでいるのであります。まさに日本の国は役人天国ともいわれているゆえんであります。行政の簡素化は国民へのサービスとなり、現下の最重要事であるが、行政管理庁長官は、いかに考えるか、お答えをいただきたいのであります。
また、政府関係機関は、公社、公団、事業団等をはじめ、まことに膨大な機構を持っておるのでございますが、政府はいままで、公社、公団等はもうつくらない、今後は減らす、こういうふうに言明してきたのでありますが、整理統合についていかに考えておるか。これは総理大臣並びに行政管理庁長官にお答えをいただきたいのであります。
最後に、昭和三十九年度の決算につき、若干触れたいと思います。
先ほど大蔵大臣が説明をいたしましたが、前年度剰余金受け入れを除いた当年度本来の分の収支を見ると、歳入において予算額に比し三十六億円余の収入欠陥であります。歳出の不用額となったもの二百七十五億円余があったため、ようやく新規純剰余金二百三十九億円余を生じたのでありますが、歳入においてこのような収入不足を生じたのは、専売納付金において六十三億円余、雑入において百三億円余の増収があったけれども、租税及び印紙収入において百九十六億円余の収入不足がおもな原因となっておるのであります。三十九年度は、租税及び印紙収入決算額中には、政令改正等によって年度所属区分の変更により、三十九年歳入として取り扱うことになった額が五百七十九億円余を含んでおるのであります。従来の年度区分によった場合は、補正後予算額に対する不足額は実に七百七十五億円余になるのであります。このような租税及び印紙収入において巨額の収入不足を生じたのは、法人税において二百七十六億円余、物品税において五十九億円余の減収があったのがおもな事由でございます。昭和三十九年度当初予算で、租税及び印紙収入の自然増収の見積もりは、五千九百八十九億円余と、例年より大きく、見積もりが私は過大であったと思う。こういう点をどう考えるか、お答えをいただきたいのであります。
また、前年度決算に対する補正後税収予算の増加額は四千三百九十一億円余で、これまでの最高であります。補正予算では、法人税について約百二十億円余、物品税については約三十九億円余、有価証券取引税については六十億円余の減額修正を行なってはおるが、やはり税収の見積もり過大であったと思うが、政府はどう考えておるか。
また、重点施策として、公共投資、社会保障、文教施設の拡充をはかると、あなたは説明をされたのでありますが、公共投資のうちに占める用地関係費の割合、土地価格の高騰は、もはや放置することはできない、許されぬ現状であるが、総理大臣はじめ関係大臣のお答えを願いたいと思うのであります。
社会保障関係費においては、三十五年ごろまでは大体七〇%近くを占めておったのでありますが、今日では五〇%と切り詰められたのは、近来医療経費が異常に伸びてきたためであると思うが、厚生大臣せっかくおるのですから、お答えください。また、生活保護、年金、失業、労災各保険の給付や、児童保護、特に精薄児保護費など、どうするのか、御見解を承りたいと思うのであります。
次に、文教関係におきましては、科学技術振興などの社会的要請にこたえるため、小学校、中学校から大学に至るまでの整備及び義務教育教科書無償給与の進展などが言われたのでありますが、第一に、義務教育無償の原則は実現されたでありましょうか。第二に、公立文教施設整備はどうなったでありましょう。四十年十二月行政管理庁は、「義務教育の条件整備に関する行政監察結果に基づく勧告」を、長官は行なっておるのであります。結果は一体どうなったでしょう、勧告のしっぱなしでは困ります、話にならないと思います。御答弁を願いたいと思います。
防衛庁は、とかく予算が多いこと、債務負担行為等によってルーズになっておるのであります。ロケットをイタリアの国の民間のスタッキーニ会社に防衛庁は発注いたしました。しかし、契約上の不備や、イタリアの国の調査が十分できなかったため、お金を渡してしまったけれども、現物が防衛庁に入らなかった。現在は国際裁判を行なっておるのであります。また、戦車用の部品ですね、トラス・カバーが、実際八十万円そこそこで買えるものを、四百八十万円で買ったのです。こういう国損を与えておるが、予算の効率的使用と不正不当事項をなくすことができるかどうか。また、今後は国産品重点使用の意思があるのかどうか。予算がたっぷり使えるから、また外国品がいい、何でも外国品がいいんだというようなことは、絶対にやめてもらわなければならぬと私は思うのであります。
以上、各方面におたり御質問をいたしたのでありますが、要は、政治に対する姿勢を正しくして、綱紀粛正をしなければ、政治にならないし、国民のサービスにならぬ。納税者たる国民のための政治を行なうことが必要であると思うのであります。佐藤総理大臣をはじめ、関係国務大臣の誠意ある御答弁を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕