福田赳夫の発言 (本会議)

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○国務大臣(福田赳夫君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨を、御説明申し上げます。
 政府は、昨年八月、「経済の安定的成長に即応する税制のあり方とその具体化の方策」につきまして、税制調査会に諮問いたしましたところでありまするが、昨年末、同調査会から、当面改正を必要とする事項について、「昭和四十一年度の税制改正に関する答申」が提出されたのであります。
 政府といたしましては、当面の経済情勢と、これに対処する来年度財政金融政策の基本的なあり方と関連し、この答申について鋭意検討を行なってまいりました。
 さきに私は、当面の不況を打開するとともに経済の安定的成長を確保し、あわせて、家計にも企業にもそれぞれ蓄積を厚くすることができるよう、今後の財政金融政策の新たな展開をはかる旨、所信を申し述べました。租税政策におきましても、その一環として、税制の持つ景気調整効果と経済的誘因を考慮しつつ、国民負担の軽減と、これによる生活の向上及び需要の喚起につとめるとともに、企業の体質の改善及び強化をはかることが肝要であると考える次第であります。
 このような基本的な考え方に立ち、今回の税制改正の具体的方向については、特に次の諸点に配意することといたしたのであります。
 まず、家計におきましては、個人の所得税負担の実情に配意し、特に中小所得者の負担を軽減することに重点を置いて、所得税の各種控除を引き上げ、また、税率の緩和を行なうとともに、国民の適正な財産形成に沿った相続税及び贈与税の軽減と、健全な消費需要の喚超に関連の深い物品税の減税を実施することを主眼としております。
 次に、企業におきましては、法人税率の引き下げによって内部留保の充実をはかるほか、資本構成の改善、産業体制の整備、輸出の振興等に資するための諸措置を講ずることといたしております。
 なお、中小企業については、その体質を一層強化するため、中小企業の実情に即した特別な配慮を加えておる次第であります。
 以上のような基本的な考え方によって行なう今回の税制改正による減税額は、国税で平年度三千六十九億円にのぼるのであります。
 各税につきまして所要の法律改正案は逐次御審議を願うわけでありまするが、今回は、そのうち、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を提出いたしたのであります。
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 まず、所得税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。
 この改正案においては、さきに申し述べました考え方に従い、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかることがその要点でありますが、そのため、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除を引き上げるとともに、給与所得控除についても、また、中小企業の専従者控除の控除限度額についても引き上げを行なうことといたしております。これらによりまして、所得税の課税最低限は、夫婦子供三人の標準世帯の給与所得者で、現在の約五十六万円から約六十三万円となるのであります。また、税率につきましても、課税所得三百万円以下の階層に適用される税率の調整緩和をはかることといたしております。なお、生命保険料控除及び寄付金控除における控除限度額の引き上げを行なうほか、所要の規定の整備をはかることといたしております。
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 次に、法人税法の一部を改正する法律案についてその大要を御説明申し上げます。
 この改正案においては、法人税率を引き下げることがその要点でありますが、普通法人の留保分に対する税率は二%引き下げるとともに、特に年三百万円以下の所得に対しては、資本金が一億円以下の法人についてその引き下げ幅を三%にすることとし、また、この税率の改正に準じて、協同組合等に対する税率も引き下げることといたしております。
 さらに、同族会社の留保所得課税について、その控除率及び控除額を引き上げて、その負担の軽減をはかるほか、所要の規定の整備をはかることといたしておるのであります。
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 最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。
 まず第一は、中小企業の体質の強化に資するための措置であります。今回の税制改正では、中小企業に対する減税を特に重視しているのでありますが、租税特別措置法においても、中小企業の体質強化のために適切な特別措置を思い切って講ずることといたしております。すなわち、中小法人の債権回収の状況に顧み、その内部留保の充実に資するため、中小法人に限って、貸し倒れ引き当て金の繰り入れ限度額を引き上げるとともに、輸出振興の助成策をもかねて、中小商社の海外市場開拓準備金の繰り入れ率を引き上げることといたしております。
 また、中小企業の近代化、協業化を促進するため、中小企業構造改善準備金制度、及び、個人が協業のため現物出資をした場合の譲渡所得税について延納制度を設けるほか、割り増し償却制度の適用を受ける業種の指定期限を延長する等の措置を行なうこととしております。
 第二は、企業の体質改善を促進するため、新たに一定期間を限って、資本構成を改善し、あるいは合併をし、または過剰機械設備のスクラップ化を行なった企業について、それぞれ一定の税額控除を行なうこととしたことであります。これは企業の経営基盤を充実し、産業体制の整備をはかる企業努力を期待した措置であります。
 第三は、輸出振興のため、輸出割り増し償却制度の割り増し率を引き上げ、また、海外取引に対する特別控除制度の適用対象を拡大することといたしております。
 第四は、農業構造の改善に主眼を置いて、農地管理事業団に農地を譲渡した場合の譲渡所得税について特別控除を行なうほか、農地の贈与について贈与税及び登録税を減免する等の措置を講ずることといたしております。
 なお、以上のほか、企業の従業員が住宅の取得について使用者から特別の利益を受けた場合における所得税非課税の特例、準備金制度の拡張、割り増し償却対象資産の追加等、所要の改正を行なうことといたしておるのであります。
 以上、三法律案の趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)

発言情報

speech_id: 105115254X01519660311_021

発言者: 福田赳夫

speaker_id: 20078

日付: 1966-03-11

院: 参議院

会議名: 本会議