本会議

1966-03-11 参議院 全43発言

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会議録情報#0
昭和四十一年三月十一日(金曜日)
   午前十時十九分開議
    —————————————
○議事日程 第十七号
  昭和四十一年三月十一日
   午前十時開議
 第一 国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(海外移住審議会委員)
 第二 国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(在外財産問題審議会委員)
 第三 国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(国立近代美術館評議員会評議員)
 第四 国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(蚕糸業振興審議会委員)
 第五 土地又は建物に関する計量単位の統一に伴う関係法令の整備に関する法律案(内閣提出)
 第六 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 第七 国務大臣の報告に関する件(林業基本法に基づく昭和四十年度年次報告及び昭和四十一年度林業施策について)
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○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 二、故議員大野木秀次郎君に対する追悼の辞
 一、故議員大野木秀次郎君に対し弔詞贈呈の件
 一、日程第一 国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(海外移住審議会委員)
 一、日程第二 国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(在外財産問題審議会委員)
 一、日程第三 国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(国立近代美術館評議員会評議員)
 一、日程第四 国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(蚕糸業振興審議会委員)
 一、日程第五 土地又は建物に関する計量単位の統一に伴う関係法令の整備に関する法律案(内閣提出)
 一、日程第六 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 一、日程第七 国務大臣の報告に関する件(林業基本法に基づく昭和四十年度年次報告及び昭和四十一年度林業施策について)
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重宗雄三#1
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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重宗雄三#2
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 戸田菊雄君から、海外旅行のため、来たる十四日から二十三日間、請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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重宗雄三#3
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
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重宗雄三#4
○議長(重宗雄三君) 議員大野木秀次郎君は、去る四日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 林田正治君から発言を求められております。この際、発言を許します。林田正治君。
   〔林田正治君登壇、拍手〕
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林田正治#5
○林田正治君 本日ここに、諸君のお許しを得まして、議員一同を代表し、つつしんで本院議員大野木秀次郎君の追悼のことばを申し述べたいと存じます。
 大野木君は、去る三月四日、京都府立医科大学附属病院において、こつえんとして逝去せられました。この訃報に接し、私どもは、ただただ限りない悲しみに打たれたのでございます。
 同君は、明治二十八年十一月、京都市東山区山科に生まれ、立命館大学に学び、戦前戦後を通じ、政治家として、また、実業界、教育界、宗教界にあって、縦横の御活躍をなされました。そのすぐれた人格識見は、ともに世人に深く敬慕せられ、また、多大なる事績を残されました。
 政界にあっては、貴族院議員に列し、昭和二十二年四月、第一回参議院議員通常選挙において京都地方区から当選せられ、以来引き続き四回に及び、政党人として、わが国民主政治確立のため尽瘁せられたのであります。その間、あるいは自由党常任総務、参議院自由党議員会長として、あるいは自由党及び自由民主党顧問として、また、十五期の長きに及び同党京都府支部連合会会長、名誉会長等、党の数々の要職につかれました。
 吉田内閣長老の一人として、君は、吉田内閣第三次、第四次、第五次の国務大臣として入閣せられ、国政の枢機に参画せられたのであります。その間、昭和二十六年九月サンフランシスコ講和会議の全権委員代理として出席し、また、第一次日米安全保障条約調印に立ち会いまする等、わが国戦後の国交回復に尽力せられたのであります。
 同君は、また、実業界にあって、京都商工クラブ会長、株式会社大野木製作所、洛東産業株式会社、和信産業株式会社のそれぞれ社長として活躍せられまするとともに、京都外国語大学理事長、立命館大学、京都薬科大学のそれぞれ理事として教育界に重きをなし、さらに、宗教界にあっては、鞍馬寺、泉涌寺、妙心寺、知恩院の各総代の要職にあって、広く各界に縦横の御活躍をなされたのであります。
 同君は、その円熟せる人柄に加え、豊かなるところの御経験と広い視野のもとに立って、政界をはじめ、各界の重きをなしていたのでありますが、いま、こつえんとして幽明境を異にいたしましたることは、返す返すも痛恨のきわみであります。このことは、ひとり本院の損失にとどまらず、国家の損失と申さなければなりません。
 ここに、いささか同君の事績をしのび、その人となりを追慕いたしまして、つつしんで同君の霊に対し哀悼の誠をささげ、追悼のことばといたします。拍手
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重宗雄三#6
○議長(重宗雄三君) おはかりいたします。大野木秀次郎君に対し、院議をもって弔詞を贈呈することとし、その弔詞は議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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重宗雄三#7
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 議長において起草いたしました弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は議員従三位勲一等大野木秀次郎君の長逝に対しましてつつしんで哀悼の意を表し恭しく調子をささげます
    ─────────────
 弔詞の贈呈方は、議長において取り計らいます。
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重宗雄三#8
○議長(重宗雄三君) 日程第一、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(海外移住審議会委員)を議題といたします。
 内閣から、衆議院議員千葉三郎君を海外移住審議会委員に任命することについて、本院の議決を求めてまいりました。
 同君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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重宗雄三#9
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
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重宗雄三#10
○議長(重宗雄三君) 日程第二、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(在外財産問題審議会委員)を議題といたします。
 内閣から、衆議院議員中野四郎君を在外財産問題審議会委員に任命することについて、本院の議決を求めてまいりました。
 同君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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重宗雄三#11
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
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重宗雄三#12
○議長(重宗雄三君) 日程第三、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(国立近代美術館評議員会評議員)を議題といたします。
 内閣から、衆議院議員稻葉修君、松本七郎君、本院議員林屋亀次郎君を国立近代美術館評議員会評議員に任命することについて、本院の議決を求めてまいりました。
 これらの諸君が同評議員につくことができると議決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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重宗雄三#13
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
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重宗雄三#14
○議長(重宗雄三君) 日程第四、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(蚕糸業振興審議会委員)を議題といたします。
 内閣から、衆議院議員小川平二君、小渕恵三君、金丸徳重君、坂村吉正君、高田富之君、本院議員木暮武太夫君、中村英男君、八木一郎君を蚕糸業振興審議会委員に任命することについて、本院の議決を求めてまいりました。
 これらの諸君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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重宗雄三#15
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
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重宗雄三#16
○議長(重宗雄三君) 日程第五、土地又は建物に関する計量単位の統一に伴う関係法令の整備に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。商工委員長村上春藏君。
   〔村上春藏君登壇、拍手〕
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村上春藏#17
○村上春藏君 ただいま議題となりました法律案について、商工委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 わが国の計量単位をメートル法に統一することにつきましては、旧度量衡法時代よりその準備が進められ、尺貫法については、原則として昭和三十四年一月一日からメートル法に移行いたしました。しかし、一律に実施が困難な分野もありますので、これらについては猶予期間を認めまして、順次移行する方向がとられてきました。かくて、現在においては、土地と建物に関する計量単位のみ尺貫法の使用が認められております。しかし、これについても、本年三月三十一日をもって猶予期間が切れますので、これに伴い、尺貫法による計量単位が条文中に使用されている登録税法等十三の法令につきまして、関係規定をメートル法による計量単位に改めようとするのが、本法律案のおもな内容であります。
 商工委員会におきましては、メートル法への移行による利害得失、国民各層に対するメートル法の周知徹底、指導啓蒙の必要性と今後の方針、尺貫法使用による違反に対する罰則の運用態度等について、熱心なる質疑応答が行なわれましたが、詳細は会議録に譲ることといたします。
 質疑を終局して、討論に入りましたところ、永岡委員から社会党を代表して、本法律案には賛成するが、坪を使用する慣習はなお根強いものがあるので、政府は普及啓蒙につとめるとともに、違反に対する罰則の運用には十分注意すべきである旨の意見が述べられ、各派を代表して次の附帯決議案が提出されました。
   附帯決議案
 本法施行に当り、政府は、永年にわたり尺貫法が国民生活に浸透している実情にかんがみ、坪を平方メートルに改めることによる不便、混乱を極力少なくし、メートル法への移行を円滑にするため、その周知徹底、指導啓蒙を強力に実施すべきである。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次いで、永岡委員提出の附帯決議案も、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定した次第であります。
 以上御報告いたします。拍手
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重宗雄三#18
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
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重宗雄三#19
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本案は、全会一致をもって可決せられました。
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重宗雄三#20
○議長(重宗雄三君) 日程第六、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(趣旨説明)。
 三案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。福田大蔵大臣。
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
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福田赳夫#21
○国務大臣(福田赳夫君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨を、御説明申し上げます。
 政府は、昨年八月、「経済の安定的成長に即応する税制のあり方とその具体化の方策」につきまして、税制調査会に諮問いたしましたところでありまするが、昨年末、同調査会から、当面改正を必要とする事項について、「昭和四十一年度の税制改正に関する答申」が提出されたのであります。
 政府といたしましては、当面の経済情勢と、これに対処する来年度財政金融政策の基本的なあり方と関連し、この答申について鋭意検討を行なってまいりました。
 さきに私は、当面の不況を打開するとともに経済の安定的成長を確保し、あわせて、家計にも企業にもそれぞれ蓄積を厚くすることができるよう、今後の財政金融政策の新たな展開をはかる旨、所信を申し述べました。租税政策におきましても、その一環として、税制の持つ景気調整効果と経済的誘因を考慮しつつ、国民負担の軽減と、これによる生活の向上及び需要の喚起につとめるとともに、企業の体質の改善及び強化をはかることが肝要であると考える次第であります。
 このような基本的な考え方に立ち、今回の税制改正の具体的方向については、特に次の諸点に配意することといたしたのであります。
 まず、家計におきましては、個人の所得税負担の実情に配意し、特に中小所得者の負担を軽減することに重点を置いて、所得税の各種控除を引き上げ、また、税率の緩和を行なうとともに、国民の適正な財産形成に沿った相続税及び贈与税の軽減と、健全な消費需要の喚超に関連の深い物品税の減税を実施することを主眼としております。
 次に、企業におきましては、法人税率の引き下げによって内部留保の充実をはかるほか、資本構成の改善、産業体制の整備、輸出の振興等に資するための諸措置を講ずることといたしております。
 なお、中小企業については、その体質を一層強化するため、中小企業の実情に即した特別な配慮を加えておる次第であります。
 以上のような基本的な考え方によって行なう今回の税制改正による減税額は、国税で平年度三千六十九億円にのぼるのであります。
 各税につきまして所要の法律改正案は逐次御審議を願うわけでありまするが、今回は、そのうち、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を提出いたしたのであります。
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 まず、所得税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。
 この改正案においては、さきに申し述べました考え方に従い、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかることがその要点でありますが、そのため、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除を引き上げるとともに、給与所得控除についても、また、中小企業の専従者控除の控除限度額についても引き上げを行なうことといたしております。これらによりまして、所得税の課税最低限は、夫婦子供三人の標準世帯の給与所得者で、現在の約五十六万円から約六十三万円となるのであります。また、税率につきましても、課税所得三百万円以下の階層に適用される税率の調整緩和をはかることといたしております。なお、生命保険料控除及び寄付金控除における控除限度額の引き上げを行なうほか、所要の規定の整備をはかることといたしております。
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 次に、法人税法の一部を改正する法律案についてその大要を御説明申し上げます。
 この改正案においては、法人税率を引き下げることがその要点でありますが、普通法人の留保分に対する税率は二%引き下げるとともに、特に年三百万円以下の所得に対しては、資本金が一億円以下の法人についてその引き下げ幅を三%にすることとし、また、この税率の改正に準じて、協同組合等に対する税率も引き下げることといたしております。
 さらに、同族会社の留保所得課税について、その控除率及び控除額を引き上げて、その負担の軽減をはかるほか、所要の規定の整備をはかることといたしておるのであります。
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 最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。
 まず第一は、中小企業の体質の強化に資するための措置であります。今回の税制改正では、中小企業に対する減税を特に重視しているのでありますが、租税特別措置法においても、中小企業の体質強化のために適切な特別措置を思い切って講ずることといたしております。すなわち、中小法人の債権回収の状況に顧み、その内部留保の充実に資するため、中小法人に限って、貸し倒れ引き当て金の繰り入れ限度額を引き上げるとともに、輸出振興の助成策をもかねて、中小商社の海外市場開拓準備金の繰り入れ率を引き上げることといたしております。
 また、中小企業の近代化、協業化を促進するため、中小企業構造改善準備金制度、及び、個人が協業のため現物出資をした場合の譲渡所得税について延納制度を設けるほか、割り増し償却制度の適用を受ける業種の指定期限を延長する等の措置を行なうこととしております。
 第二は、企業の体質改善を促進するため、新たに一定期間を限って、資本構成を改善し、あるいは合併をし、または過剰機械設備のスクラップ化を行なった企業について、それぞれ一定の税額控除を行なうこととしたことであります。これは企業の経営基盤を充実し、産業体制の整備をはかる企業努力を期待した措置であります。
 第三は、輸出振興のため、輸出割り増し償却制度の割り増し率を引き上げ、また、海外取引に対する特別控除制度の適用対象を拡大することといたしております。
 第四は、農業構造の改善に主眼を置いて、農地管理事業団に農地を譲渡した場合の譲渡所得税について特別控除を行なうほか、農地の贈与について贈与税及び登録税を減免する等の措置を講ずることといたしております。
 なお、以上のほか、企業の従業員が住宅の取得について使用者から特別の利益を受けた場合における所得税非課税の特例、準備金制度の拡張、割り増し償却対象資産の追加等、所要の改正を行なうことといたしておるのであります。
 以上、三法律案の趣旨について御説明申し上げた次第であります。拍手
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重宗雄三#22
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。田中寿美子君。
   〔田中寿美子君登壇、拍手〕
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田中寿美子#23
○田中寿美子君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました所得税法、法人税法、租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、多くの質問点について意見を述べ、主として総理大臣、大蔵大臣並びに関係大臣に御質問いたしたいと考えます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 まず、第一に指摘せねばならないのは、今回の減税の欺瞞性であります。政府は、このたびの減税総額三千六百億円をもって史上最大の大規模減税であると宣伝しておられます。また、大蔵大臣は、この減税をもって中小所得者の減税を重点とし、「蓄積ある企業、たくわえある家計」を目ざすものであると言明されております。この合いことばは、現実の経済生活のきびしさにあえぐ中小企業者や一般勤労大衆に対して、残酷にも誤った幻想を抱かせるものでありますが、その内容をしさいに検討いたしますならば、それが国民大衆の生活を豊かにするための大衆減税ではなくて、むしろ大多数の勤労国民の犠牲において、大資本と少数の高額所得層を擁護するものであることが明らかとなります。これこそ、自民党政府の経済政策の失敗による物価高と、いわゆる不況の結果を国民大衆にしわ寄せし、減税の名における増税を行なうものであって、これを欺瞞と呼んでも、いささかも不思議ではないでありましょう。拍手
 第二に指摘せねばならないと存じますのは、佐藤内閣にとって、公債発行政策のもとで大幅な企業減税を行なうことが、大資本のために欠くことのできぬ大方針であるという点でございます。佐藤内閣が公債政策に踏み切ったことは、わが国財政上の一大転換であり、その責任はまことに重大であります。公債発行政策は、従来までの税の自然増収によってはかってきた一般会計の伸びを、国債発行という国民の負担による借金政策に切りかえたものでありまして、わが社会党をあげて反対したものでありますが、本格的に公債発行に踏み切った福田財政は、今日までの信用インフレを財政インフレに切りかえ、インフレを促進して大資本の利益を一そう拡大しようとしているのであります。四十一年度の財政は、国債七千三百億の発行のみでなく、地方債六千七百億、政保債四千億、計一兆八千億余という膨大な赤字をかかえております。このような借金政策のもとで多額の減税をすることは、それ自体、矛盾するものでありまして、租税収入が不足するから国債その他で国民から借金せねばならない、一方で借金しておいて、他方で減税するということは、自己矛盾もはなはだしいものでありますが、それをあえてせねばならないのは、池田内閣以来の設備過剰、生産過剰で、いわゆる不況に落ち込んだ資本の利益を、国家の手で守るために、積極的に財政が乗り出したものであります。したがって、公債発行及びその下での減税は、独占資本の強い要求にこたえたものにほかならないものというべきであります。
 第三に指摘せねばならないことは、今回の減税は、減税に関する税制調査会の答申を無視して、租税負担公平の原則を破り、税制調査会答申の長期税制改正の方向に反するものであるということであります。昭和三十九年十二月に出されました税制調査会の答申では、自然増収を減税に充てること、中小所得者の負担の軽減を中心として減税すること、減税は所得税に重点を置くこと、租税特別措置は整理縮小し、利子配当課税の特別優遇措置は将来廃止することなどが勧告されています。
 四十一年度の減税については、佐藤総理は、これまでたびたび所得減税を最優先すると言っておられました。ところが、政府案決定の過程でこの公約は忘れられ、法人税や租税特別措置など大企業のための企業減税に重点が置かれるに至りました。従来の減税は、所得減税八、企業減税二の割合で実行されたのに対し、今回は所得減税四・八に対し、企業減税三・四、高額所得層の多い相続税の減税と大衆消費に関係の少ない物品税の減税合わせて一・八の割合で、大衆のための減税とそうでないものの割合は五分五分になっています。これは明らかに税制調査会の答申を無視し、大資本や高額所得層の擁護のための減税であり、勤労大衆に豊かな家計を保障するための減税とは、何としても言うことができないことを、まことに遺憾に存じます。
 以上の観点から、以下順を追ってお尋ねいたしますので、お答え願います。
 質問の第一点は、総理並びに大蔵大臣は租税負担の公平の原則をどのようにお考えになっているかということであります。すでに指摘しましたように、今回の減税は勤労大衆に薄く、大資本や高額所得層に厚くされています。政府・自民党の皆さんも御承知だと思うのですが、具体的に数字によって例をあげてみますと、この点がまことに明らかになります。たとえば大蔵省提出の資料によりまして、四十一年度における配当所得者と給与所得者及び事業所得者の三者の税額を比較してみますと、その不公平は顕著なものがあります。最も恩恵を受けるものは配当所得者でありまして、所得の全部が配当である夫婦子供三人の家庭について、所得税のかからない最高限度額は、年収二百十四万三千五百二十五円であります。株の配当が二百十四万円もあるというのは、よほどの財産持ちでありますが、その配当所得には二百十四万円まで所得税がかからないのです。これに比べて、給与所得者の場合、同じ額の収入があれば、夫婦子供三人の世帯で、所得税二十七万六千二百一円、住民税十一万三千六百八十八円、計三十八万九千八百八十九円の課税がされます。また事業所得者の場合をとりますと、専従者を雇っていない場合には、同じ収入で、所得税三十二万一千五百二十九円、住民税十三万四百七十七円、事業税九万四千六百七十六円、計五十四万六千六百八十二円が課税されるのであります。これではあまりにも不労所得者に厚く、勤労所得者に冷たい不公平な税制であるとお考えにならないでしょうか。税制調査会の答申は、利子配当課税の特別優遇措置を廃止すべきことを勧告しておりますにもかかわらず、今回はそのままに据え置いたことを、どうお考えになりますか。すみやかにこのような不公平を是正するお考えはありませんか。また給与所得者は所得税の源泉徴収を受けますために、最も厳重に徴税されているのでありますが、その上、退職の際には退職金に対しても課税されます。長年の就労の末の退職金、しかも物価上昇のおりから、この課税は不当ではないでしょうか。政府は給与所得者の退職金への課税廃止をお考えにはなりませんか。また配偶者控除につきまして、夫と妻の基礎控除を同額にすると、かつて佐藤総理は言明されたことがありますが、このたびも、やはり一万円の差がつけられています。これをアメリカ式に夫と妻の所得を二分二乗方式に改正される意思はおありになりませんか。その他一切の課税負担の不公平について、思い切ってこれを是正し、勤労国民の生活を守る立場に立つべきであります。総理並びに大蔵大臣は、今日、世界有数の高度の生産を可能にさせている働く国民大衆の税負担を軽くし、不公平を除く具体的な措置をおとりになる考えはありませんか。
 質問の第二点は、所得税の減税について、免税点をもっと引き上げる考えがおありにならないかということであります。今回の所得税の減税は、免税点を平年度で標準世帯に対し六十三万円まで引き上げるものでありますが、独身者の場合は、年収二十二万円から課税されます。つまり高校卒で就職後間もなくから課税されるのです。また、年間所得三十万円、課税所得十万円の独身者の場合の税率は、これまでの八%から八・五%と引き上げられております。この層は全所得者の三〇%に当たります。ところが逆に、納税者の七、八%にしか当たらない二百万円から三百万円の所得層に対して、税率の調整が行なわれますが、これは明らかに低所得者よりも高所得層を優遇し、公債消化のための貯蓄を奨励することをねらったものと思われます。私は、納税人口の九〇%を占める年収百万円以下の所得者に対する税の重みを取り除かなければ、政府のいわゆる最終有効需要を増す不況対策の目的にも役立たないと考えます。大蔵大臣の言われる、たくわえある家計とはどの層に向かって使われることばですか。わが国の勤労者家計において、諸外国に比べて比較的貯蓄性向が高いのは、義務教育費すら全額国家が負担せず、異常にかさむ教育費、不安な住宅事情、社会保障制度の不備による将来の不安に備えて貯蓄するものでありまして、そのために多くの主婦が家庭内職で物価の暴騰に悩む家計を補っている状態であります。すなわち、国民は将来の不安に備えて必要生活費を切り下げてする貯蓄であるという事実を、もし認識していられないとしたなら、国政の責任者として、まことにたよりなく存じます。政府はなぜこれら低所得層の減税をもっと厚くしないのですか。わが社会党は、所得税の免税点を標準家族で八十万円までに、また、独身者に対しては三十万円までに引き上げることを主張していますが、政府はこれに同調されるおつもりはありませんか、お尋ねいたします。
 質問の第三点は、減税と物価の関係です。大蔵大臣並びに藤山経済企画庁長官は、減税の中に占める物価調整分はこれでよいとお考えでしょうか。所得税の減税額は四十一年度一千二百八十九億円で、これは当初期待していたものをはるかに下回っております。相次ぐ物価の値上がりに対して、減税の中に物価調整分はどのくらい入っておりますか。四十年度勤労者世帯家計調査によりますと、勤労者の実収入の増加率は減少し、〇・三%と、わずかな伸びにしかなっていません。また、可処分所得は前年よりも〇・三%減少しています。また、消費支出面では、エンゲル係数が十一年ぶりに上昇していることは、勤労大衆の生活が物価高によって、かつてない困難に直面していることを示しているものであります。四十一年度の物価の上昇は、経済企画庁の発表の五・五%より、事実上、上回ると予想されますが、この物価上昇分は減税をはるかに上回り、増税にひとしい結果を招くものと考えますが、いかがですか。試みに四十一年度の公共料金値上げ分を計算しますと、消費者米価引き上げ、国鉄運賃引き上げ、私鉄値上げ、政府管掌健保三法の改正、国民健康保険、国民年金、郵税の値上げなどで、計三千四百六十二億円の負担増となります。これから所得税の減税分千二百八十九億円を差し引きましても、二千二百二十九億円の負担増となるのであります。まさに減税どころか増税ではありませんか。しかも、公共料金の値上げに伴って諸物価が上がることは明らかです。これをもっと具体的に家庭の例にとってみましょう。夫婦と子供三人の家族で、年収六十万円、月収五万円の給与所得者——これが大多数ですが——の場合で申しますと、これまで地方税二千八百一円、国税二千四百六十八円、計五千二百六十九円の税金を納めておりました。今回の改正で、免税点が初年度で六十一万円に引き上げられますから、税金はなくなります。けれども、物価の値上がりを五・五%と、政府の見積もりで計算しても、支出の増加は二万六千四百円となり、差し引き赤字二万一千百三十一円となります。これが減税でしょうか。大幅増税にひとしくはありませんか。したがって、課税最低限を平年度六十三万円でなく、それよりもずっと高く、八十万円くらいまでに引き上げねば、物価の調整にはならないと存じますが、大蔵大臣、一般勤労者の立場に立って考えてください。いかが思われますか。
 質問の第四点は、このような物価高を背景として、生計費非課税の原則をどう考えられるかという点で、大蔵大臣及び経済企画庁長官にお尋ねいたします。
 大蔵省はまたまた、今回の免税点を合理化するため、去る三月八日、標準生計費を標準世帯で五十八万六百九十八円と発表し、免税点までには三万円のゆとりがあると申しております。これによりますと、一人一日の食料費が百八十六円八十七銭で、二千五百カロリーの栄養がとれるというのです。昨年度は標準メニューを発表して、昼食にイカさしが食べられ、夜は酢豚といった献立で、問題になりましたので、今年は、さすがに大蔵省献立の発表はありませんでしたが、消費者米価、生鮮食料品の大幅値上げの中で、また、外食する者の多い中で、この予算で基準の栄養がとれないことは、主婦ならずとも、おわかりと存じます。この数字のごまかしは、四十一年度の生計費の計算の基礎となる物価を、四十年度にとっていることにもあります。人口五万人以上の都市の調査を行なっている総理府統計から推計しましても、四十一年度に五人家族では、生計費は年間八十万円をこえようとしております。実情とかけ離れた数字の、つじつまだけを合わせて、国民をごまかそうとする試みは、しないほうがよいとお考えにはなりませんか。しかも、物価高の中で、名目賃金がふえると税金がふえるという仕組みになっておりますから、この免税点では、実質的に増税になるものだとお考えになりませんか。大蔵大臣、いかがでしょうか。経済企画庁長官、標準生計費はこれでよいとお考えですか。
 質問の第五点は、今回、法人税の中で租税特別措置をさらに拡大されたことの真意についてであります。わが国の税制は、シャウプ勧告以来、一貫して資本蓄積に重点を置いてきました。そのため、大企業のための租税特別措置の制度を設け、大幅に免税してきたもので、今日までに大企業がのがれた免税額は、累積ですでに一兆六千億円をこえております。四十一年度は、免税額二千二百二十億円が予想されています。いまや、過度の保護を受けてきたこれらの資本への特別措置は廃止されるべきときに来ております。税制調査会の答申でも、「租税特別措置は、負担の公平原則や租税の中立性を阻害し、総合累進構造を弱め、納税道義に悪影響を及ぼすので、整理縮減すべきである」と勧告しています。この税制調査会の答申にもかかわらず、租税特別措置はかえって拡大されようとしています。今回は、資本構成改善の促進、合併の助成、スクラップ化の促進による企業減税を中心に、特別措置の拡大が行なわれようとしていますが、これほど、大企業保護を露骨にしたものはありません。これは、いわゆる公債発行のもとに、企業の不況を救う方法として、企業減税を行なうものであると解しますが、大蔵大臣、そのとおりではございませんか。
 企業の利子、配当につきましては、衆議院本会議において、わが党の質問に対して、大蔵大臣は、来年三月で期限の到来する利子、配当軽課の廃止について、情勢を見て検討すると、あいまいな答弁をしておられますが、特に、これから公債を抱いた財政運営を実施していくのですから、財政、税制の長期構想をお持ちのはずですから、その上に立って、いつ廃止するのか、明らかにしていただきたいと思います。
 最後に質問いたしたいことは、今回の減税が七千三百億円にのぼる国債発行を軸として行なわれていることは、税財政の体質を破壊し、長期減税への財源の健全な裏づけをなくしてしまうことになるのではありませんか。特に、税の仕組みが大衆に重くされている中では、税の所得再配分の機能を後退させ、所得格差を拡大させ、かさんでくる公債の元利償還のために、将来にわたっても勤労者の税金をますます増大させる危険が明らかです。具体的にお尋ねしますが、今回の国債が一括償還期に入る昭和四十八年度において、国民の税負担はどのくらいになっておりますか。それは国税、地方税、税外負担分を含めて、いまよりどれだけ軽くなっていますか。重くなるのではありませんか。総理及び大蔵大臣のお答えをお願いいたします。
 最後に、私は、政治家、金融業者などの大口脱税をきびしく取り締まることを要望いたします。これには、まず政治家みずからえりを正し、政治道義の確立が先決であると思います。この点の御所見を承りたいと思います。
 以上の諸点をもって、日本社会党を代表しての私の質問を終わります。拍手
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
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佐藤榮作#24
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 前半におきまして、いろいろ意見を交えてのお話がございました。いずれも、委員会における審議を通じましてそれらの点がいずれ明らかになるだろうと思います。ことに、政府といたしまして、非常に不満に思いますことは、減税の欺瞞性ということであります。こういう点は、御指摘のような欺瞞性はございませんので、どうか審議を通じて明らかにしていただきたいと思います。
 私に対するお尋ねでございますが、ただいま租税負担の公平、これは租税の原則的なものでございますから、基礎的な原則であります。どこまでもこの公平は貫かれなければならない、かように思います。そういう意味で、私どもは最善の努力を払っております。特にこの負担の公平という観点に立ちまして議論になりますものが、御指摘にありましたいわゆる特別措置の問題、特別措置はこの原則を乱るものではないか、こういうことだと思います。しかし、各国とも租税の特別措置を行なっておりますのは、特別な政策を遂行する場合に、租税上の恩典を与えて、そうしてその政策を実現しようという、こういう政策が各国にあるのでありまして、わが国だけの特殊な考え方ではございません。この点に御理解を賜わりたいと思います。
 また、御指摘になりました夫婦共かせぎの場合と、あるいは一人だけの、夫あるいは妻だけが働く場合の所得税の計算等について、特別な考慮がされない、これなどもただいま引き続いて考究している問題でございます。税制審議会の答申等は尊重していくのでありますが、この審議会におきましても、これらの点においていろいろ審議検討を重ねているような次第でございます。今回の改正にいたしましても、在来の改正にいたしましても、どこまでも税制審議会を中心にしてこれを尊重してまいっていると私は確信をいたしておりますが、ただいま御指摘になりました特別措置のうちでも特殊なものにつきまして、今回は廃止あるいは整理等がとられましたのも、ただいまの審議会を尊重した結果だと思います。御指摘になりました配当所得の減税の特別措置の問題でございますが、これは期限が到来する際に十分その措置存続について考究してまいります。
 また、今回の減税は所得減税に重点を置け、企業減税は従にしろ、これは御指摘のとおりでありまして、私どもも、今回も六対四の割合で所得減税と企業減税、所得減税を六にし、企業減税を四にするというところでございますから、所得減税が中心だ、かように言えるのだと思います。ただ、過去の実績等から見ると、所得減税が八であり、企業減税が二である、そういう点から見て、今回は企業減税に力を入れたんではないか、こういうような誤解があるようでありますけれども、もちろんこの減税は、そのときどきの経済の情勢に対応して考えるべきものでありますが、その点から考えまして、今回は、中小企業に対しての税負担、これを軽減するということが、特に経済情勢から見て必要だということで、ただいまのように企業減税が四になった、こういうことでありますが、これは別に所得減税をないがしろにした、こういう非難は当たらないだろうと私は思います。また、私どもも、今後とも注意いたしまして、いわゆる所得減税の大幅減税が実現するように、今後とも努力してまいるつもりでおります。ことしは、御承知のように、在来、課税最低限が五十六万円であったものが、今度は六十三万円になった。こういうことで、この最低限を非常に引き上げましたけれども、将来におきましては、さらにこれを上げまして、お話にありましたように、八十万にもしたい、こういうことを、過去の委員会等におきまして、私ども、政府の考え方を説明した次第でございます。また、今回の減税におきまして——これは大蔵大臣からお答えするところでありまするが、特に、この最低限を引き上げたと同時に、中以下の所得層の累進税率の改正をいたしましたことは、これは確かに低所得層に厚い今回の改正だと、実は自慢をしておるのであります。いずれ、委員会等でその点を明らかにしていただきたいと思います。
 最後に、国民負担の軽減の問題につきましては、私どもも引き続いて考えてまいるつもりでございます。ただいま所得の最低課税を八十万にするような目標で努力すると申しましたが、全般について、こういうような負担の軽減をはかるべきだと思います。物品税、あるいは住民税、あるいは相続税等々におきまして、あらゆる機会に考えてまいりたいと思います。
 また、最後に御指摘のありました、脱税についてきびしき態度をとれと、こういう御指摘、これはまさしく、御意見どおり、私どもも注意していかなければならぬ、かように思いますので、そのつもりでおりますことを、この機会に申し上げましてお答えといたします。
 その他の点については、大蔵大臣その他からお答えをいたします。拍手
  〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
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福田赳夫#25
○国務大臣(福田赳夫君) 今回の減税は史上最大の減税だと言うが、それは減税の名の増税じゃないか、そういうようなおことばでございますが、これはいささか言い過ぎではないかと、かように思います。今回の減税は、お話のように、史上最大の三千六百億円、国民所得から見た負担率から申しましても、これは二%も一挙に減る、また、納税人口から見ましても、所得税二千二百万の人口が初めて二千万人に下がる、こういうことになりまして、増税というような見方がどこから出てまいりまするか、全く理解いたしかねるところであります。拍手政府は一方において、公債を発行し、一方において減税をする、これは矛盾しているのではないかというお話でございます。しかし、これはしばしば本席でも申し上げておるのですが、私ども、今日考えなければならぬことは、今日のような国民個々あるいは企業の蓄積状態、そういうような状態のもとにおきましては、政府が借金をしても国民に資産をお持ち願わなければならぬ、こういうふうに考えていかなければならぬ段階に来ておる、そういうような見地から、企業や家屋の負債を政府が肩がわりをする、そういうような気概をもって財政に取り組むことこそが今日のとるべき道ではないか、かように考えるのでありまして、一方においては大規模な国民負担の軽減をはかりながら、他方においては公債を発行する、さような考え方をとったわけであります。決して、公債が発行される、その消化を容易ならしめる、というような意味におきましてこの減税をいたすものじゃない。しかし、減税をいたしますれば、それだけ国民に余裕ができるのでありまするから、その余裕が国債の消化に貢献をする、これは当然のことです。公債で財政を運営するか、租税で運営するか、これは違いがあります。その違いはどうかといえば、租税の場合におきましては、国家の強権をもって、国民の資産、所得から徴収するわけであります。しかし、公債政策の場合におきましては、資産、所得は手元に残す、そうして国民の資産を、しばし政府が借用する、こういうことでありまして、私が標榜する、企業には蓄積、また家庭にはゆとりを持たせるというために大いに貢献をすると、かように考えております。
 今回の減税案は企業減税偏重ではないかというようなお話でございまするが、決してそうではない。先ほど総理からお話がありましたとおり、所得税減税が六、企業減税が四というような割合になっております。この税制決定の経過につきまして御批判がありました。税制調査会の答申を尊重しないじゃないか、こういうお話でありまするが、これは税制調査会の答申をそのとおりにやっておるのであります。つまり、三十九年度に税制調査会の答申があったことは御承知のとおりであります。この答申でも、所得税を中心にしてやりなさい、また減税は長期にわたってやりなさい、こういうふうに勧告をいたしております。その勧告に引き続きまして、また昨年、税制調査会が開催されまして、その答申があったわけであります。で、税制調査会といえども、いつまでも前の考え方にこだわっているわけではない。その基本的な考え方は考え方といたしましても、その適用は、そのときどきの情勢に応じなければならない、こういう考え方のもとに、大体、所得減税六、企業減税四という線の答申をいたしておるわけであります。政府といたしましては、この答申をそのまま採用いたしました。そう申し上げて差しつかえはないのであります。私ども、初めの段階におきましては、お話のように、企業、所得のバランスをどういうふうにするか、所得税に大半というか、ほとんど全部をさくかというようなことも考えてみたのです。しかし、当面の経済情勢を考えてみますときに、一体、中小企業をほうっておけるか、こういう問題があるわけであります。もう二年余りになる不況のもとにおいて、中小企業は非常に困窮しておる。これに特別措置をとらないでよろしいかというと、やっぱり税制上も、これは特別措置をとるべきである。そういうふうな結論になって、中小企業を中心とする企業減税、こういうことをいたしたわけであります。なお、その際に、中小企業を含めての企業全体として、この不況の乗り切りの過程におきまして将来の基礎を固める、つまり、企業の資本蓄積、自己資本の厚みを増すという施策もとるべきであるという考え方を加味するに至ったわけであります。
 低所得者に決して薄くはないのでありまして、御承知のとおり、今度は、所得税におきまして、五十六万円の最低限を六十一万円に、平年度、明年四十二年度になりますと六十三万円になります。これは相当大幅な引き上げであります。また、税率調整におきまして御意見を述べられたようでありまするが、これは三百万円以下の所得階層で、子供が二人も三人もになったという家庭であります。その人々に対する税制改正というものが、累次の税制改正におきまして行なわれていない、これは非常に不満とされておったところであります。その不満とされるところの問題を今回初めて解決をする、私は非常にこれはいいことをすることである、かように考えております。
 免税点の引き上げを、社会党は、八十万円、また独身者については三十万円というようなお話でありまするが、私も、それはそういうふうに考えます。しかし、今日の財政の状況から見まするときに、一挙にそれをやるわけにいかぬ。しかし、それくらいの程度のことは、諸外国のことを考えましても、ぜひ早目に実現をしたい、こういうことで今後努力をいたし、なるべくすみやかに、それを実現をいたしたいと、さように考えておるわけであります。
 また、さらに、最低限の問題と関連いたしまして、標準生計費の問題についてお尋ねがあったわけでありまするが、大蔵省が発表いたしております標準生計費は——一日の標準食費というものを、中央栄養研究所等と相談いたしましてつくっていただいた、それをエンゲル係数から換算すると、年の所得が出るわけです。私どもが課税最低限を考える場合におきまして、一つの参考資料となると、こういう見地から調べておったわけでありまするが、お話のように、百八十六円というのは、昨年、四十年度のものです。しかし、これに五・五%——政府が見積もっております消費者物価の上昇を考慮いたしましても、今回策定いたしました六十三万円の最低限というものにはなお余裕がある、かように考えておるのであります。
 さらに、その問題とも関連いたしまして、減税というけれども、結局、物価が上がるじゃないか、減税の効果を減殺するじゃないか、こういうお話でありまするが、物価の上昇と、それに対して調整を必要とする減税額はどうかという問題は、非常に検討のむずかしい問題です。しかし、高額所得者にはその問題は考える必要はないと思います。低額所得者についてのみ、その問題があると思います。低額所得者につきまして一番問題になりますのは、課税最低限の問題です。四十年度の課税最低限を、消費者物価の上昇にもかかわらず、実質的にそれを維持するというためには、一体幾ばくの減税が必要であるかということを考えてみますると、約三百億円であります。政府が今回お願いしておりまする減税案は、課税最低限の引き上げだけにつきましても九百億円ということであります。優にそれを上回っておるということを御承知願いたいのであります。
 なお、公共料金と減税を比較いたしまして、減税の効果を批判されますが、公共料金は、その相当部分がやはり対価——サービスの強化等として支払われる。また、国鉄運賃の引き上げ、これは、運賃引き上げによった収入を、かん詰めにしておくわけじゃないのであります。これを賃金の支払いあるいは物資の調達に充てていくわけなんです。所得の増加の根源をつくる支出に充てられるわけなんであります。私は、減税と公共料金の引き上げとを相殺せんとする——対立して考えようとする考え方には、大いにこれを疑問としております。
 それから、さらに、こまかいことでありますが、配当所得税——配当につきましては、課税最低限が二百十四万円である、不当じゃないか、こういうお話でありますが、これは田中さんもよく御承知と思うのでありまするが、これは法人擬制説の上に立っている。これはシャウプ税制以来、こういう考え方がとられてきておるわけでありますが、これがはたして適当であるか、適当でないか。これは非常に学問的な深い問題につながってくるのですが、これは、私は将来の問題として深く検討をしてみたい、さように考えております。
 また、妻の座をどうするかという、妻の位置づけ、これにつきまして、今回の税制改正案では、依然として一万円の差がある、こういうお話でございまするが、これも私は、今後非常に検討しなければならぬ問題である。私は長期税制ということを言っておるわけです。その一つの大きな問題点としてとらえていきたい、かように本日はお答えをいたしておきます。
 また、利子配当優遇措置を明年度は廃止すべきじゃないかということでございますが、これは、この前もお答えしたのですが、経済情勢、そういうものとも非常に関係のある問題であります。慎重に検討いたしてみたい、かように考えております。
 また、昭和四十八年ごろの税制は一体どうなるのだろうかという御質問でありますが、おそらく、昭和四十八年には、国債の償還期が到来する。その国債を、全額、税で払うことになりはしないか、その場合の国民負担は非常に重くなるのじゃないかという御趣旨の御質問かと思います。私は、昭和四十八年になりますると、今回発行する公債の償還期になるわけですが、それはできる限り通常財源をもって払う努力はします。しかし、今回発行する公債は、七年の償還期限になっておるのです。私どもが発行せんとする公債は、これは公共事業等でありまして、つまり、今後、国家国民の財産として、資産として長く残るものが、その見合いとなっておるのであります。したがいまして、今回発行する公債は、私は、二十年とか三十年、長期償還のものにしたいと、こういうふうに考えておったわけであります。ところが、市中の情勢等から、それができないので、七年にしたのです。そういうようなことを考えまして、私は、全額四十八年度にこれを償還するということにこだわる必要はない。できる限り努力はしますけれども、これは相当の部分を長きにわたって償還するという考え方をとって差しつかえない。したがいまして、四十八年度ごろにおける国民負担の量、そういうものにつきましては、そう心配をいたす必要はない、そういうように考えております。
 御指摘の大口脱税につきましては、極力さようなことがないように、また、一面におきまして、こういう経済情勢でありますので、税務の執行上、行き過ぎがないようにということにつきましては、今後とも大いに努力をいたしていきたいと存じております。拍手
   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
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藤山愛一郎#26
○国務大臣(藤山愛一郎君) お答えいたします。
 今回の所得税減税にあたって、物価関係が十分考慮されているか、こういう御質問の趣旨でございますが、ただいま大蔵大臣が説明されましたとおり、所得税の課税最低限度の積算にあたりましても、四十年度の物価修正をした標準食料費に対して、エンゲル係数で除したもので内容を形づくっておりますので、私どもは、物価の問題は十分この点において考えられていると思います。
 なお、先ほど大蔵大臣が説明されましたように、累進税率が適用されておりますものについての調整につきましても、先般木村委員からもお話がありましたとおりで、大蔵大臣から、二百九十億というのが、物価調整減税に該当するものだ、こうお答えしておりますが、そういう意味で、十分これらの最低限度の問題につきましても、そういうものを織り込んで考えられておりますので、必ずしも、この問題が完ぺきであるとは申せないかもしれませんが、いろいろな注意をもって所得税減税に当たっておりますので、この案が適当なものだと考えております。
 なお、生計費非課税の問題につきましては、内容等十分に拝聴いたしておりませんので、今後そういう問題について御意見を伺った上で、意見を申し上げることにいたします。拍手
    —————————————
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河野謙三#27
○副議長(河野謙三君) 中尾辰義君。
   〔中尾辰義君登壇、拍手〕
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中尾辰義#28
○中尾辰義君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました所得税、法人税、租税特別措置法案に関しまして、若干の質疑を行なうものであります。
 新年度予算は、四兆三千百四十二億円になっておりまするが、そのうち、減税の規模は、国税で、平年度が三千六十九億円、初年度で二千五十八億円になっております。政府は、三千億円の減税を史上最大の大幅減税と宣伝をいたしておりますが、かつては、一兆円予算で一千億円減税と騒がれたこともある。今日四兆三千億円の財政規模で、国税三千億円の減税と言いましても、それは歳入予算のわずか七%にすぎないのでありまして、必ずしも大幅減税とは言えないのであります。しかも、国債導入政策による財政規模の拡大と、相次ぐ物価の値上がりによる名目的な増加所得に対する租税並びに減税でありまして、実質的な所得減税とは言えないのであります。したがって、国民大衆の中には、減税の実感がわかない減税、あるいは三千億円減税も物価高で帳消しと、このような辛らつな声さえ聞くのであります。
 新年度の税制改正の特徴を見ますると、所得減税が千五百五億円、企業減税が千七十七億円、その比率は六対四になり、企業減税は、昨年に比べまして、かなり重視されております。所得減税は、年収百万から三百万円の所得層を中心として税率が緩和されており、また、従来、税制調査会から整理縮小を勧告されている租税特別措置法が、逆に拡大をされていることであります。しこうして、国税三千億円減税の中身は、企業減税と特別措置の新設に、かなり占められているのであります。もちろん、税調答申が政府案の理論的裏づけをしているものと思われまするが、新年度の減税の規模と減税政策は、何を基準に、また、いかなる方針のもとに行なわれるのか、総理、大蔵大臣にお伺いしたいのであります。また、従来の減税の基準は、自然増収の二〇%とか、あるいは三分の一とか、また、国民所得の二〇%というように示されておりましたが、今後公債発行下の財政政策におきましては、将来何を減税の基準にするのか、あわせて承りたいのであります。
 質問の第二点は、所得減税と物価との関係であります。
 大幅減税といわれるわりあいに減税の実感がないのは、案外、所得減税が少ないことと、さらに最近における国鉄、私鉄、米価等をはじめ、一連の公共料金の相次ぐ大幅値上げと諸物価の値上がりによるものであります。改正案は、一応課税最低限が、標準五人家族で、五十六万四千円から六十三万一千円に引き上げられ、また、税率も多少緩和されておりますが、年収百万円の親子五人家族では、その減税額が年間一万一千三百五円、一ヵ月ざっと千円、一日にピース一個分であります。また、年収六十万円の親子三人世帯の場合は、減税額が年間三千二十四円、一ヵ月二百五十円、一日わずか八円の減税にすぎないのであります。一方、都市勤労者が生活面にこうむった最大の打撃は、今回の国鉄運賃の値上げであります。一例をあげますというと、国電柏駅から新橋駅まで、その運賃は、一ヵ月千百七十円から二千二百七十円に改正をされ、さらに地下鉄に乗りかえまして新橋から国会まで参りますと、六百三十円から八百九十円に改正をされ、合計一ヵ月の値上がり分が千三百六十円であります。一年間では約一万六千円の値上がりとなるのであります。そのほか、食料費をはじめ、その他の生活費等を加えますというと大幅な支出増となり、一日八円くらいの減税では、とうてい物価高の調整減税にもならないと思われますが、大蔵大臣の所見をお伺いしたいのであります。
 質問の第三点は、非課税層に対する物価の値上がりに見合う調整措置であります。物価の値上がりにより一番困るのは、所得税を納めない低所得階層の人々であります。このような非課税階層に対しまして、物価の値上がりに対する手当てをどのように施策の面にあらわしたか、関係大臣にお伺いしたいのであります。
 まず厚生大臣には、生活保護基準をはじめとする民生関係では、どのような措置をされたか。文部大臣には、生活の苦しい世帯の児童についての給食費等の補助については、いかように措置をされたか。大蔵大臣には、所得税を納めない階層に対して間接税の減税をどのように考えるか。経企長官には、食料品をはじめ、物価抑制にどのように努力をし、また実効があがりつつあるか。
 以上、一連の物価値上がりに対する調整的救済措置についてお伺いをいたします。
 質問の第四は、大企業に対する租税特別措置に関してであります。
 新年度の企業減税は、所得税に比べて、はるかに優遇をされております。わが国の法人税は、諸外国に比べまして決して高くなく、税負担の公平という面から見まするならば、企業減税より所得税のほうが重税となっております。さらに、今回の税制改正によりまして、企業の体質改善促進という名目で、資本金一億円以上の大企業に対して、自己資本比率の改善のための減税、また合併の助成、機械設備のスクラップ化促進のための特別減税措置等は、従来大蔵省が言ってきた、特別措置は整理をしていくという方針に、全く逆行するものであります。今回の特別措置は、産業界の要望をいれたものと思われまするが、スクラップ化にしても、合併助成にしても、また資本構成の是正措置にいたしましても、単なる誘導のための税制であって、不況下に遊休設備をかかえる大企業のみが恩恵にあずかるものとしか思われないのであります。また、これを実施をして、どの程度の効果があがるのか、はなはだ疑問であります。むしろ、大企業の下請によって不況のしわ寄せを受ける中小企業のための減税措置を、さらに考慮したらどうか、とのような特別減税を、税負担の公平という見地から、いかように考えるか、総理、大蔵大臣の所見を伺いたいのであります。
 質問の第五は、所得税に関連をいたしまして物品税についてお伺いをいたします。
 今度の物品税の減税は、小型乗用車、腕時計、大型テレビ、石油ストーブ等、四十八品目が選ばれておりまして、若干の免税点の引き上げと、税率の緩和が行なわれておりまするが、従来の経験から見まして、はたして減税の分だけ商品価格が安くなるかどうか疑問であります。中でも、家庭電気器具の業界におきましては、原材料や人件費、生産調整によるコストアップ等により、値上げの動きさえあるように思われるのであります。一般の消費者は、物品税が減税されれば、その分だけ商品が安くなるものと正直に考えまするが、政府は、消費者にこたえまして、いかように行政指導をなさるのか、また、値下がりが見込みがないようであれば、むしろ物品税の減税分二百八十七億円を所得税の減税に回して、国民の購買力を刺激したほうが効果的ではないか、この点、大蔵大臣にお伺いをいたします。
 最後に、三千億減税と言われますが、その内容は、はなはだこれは総花的でありまして、皿数の多い、中身の少ない減税になり過ぎた感がいたすのであります。新年度予算は不況克服を当面の目標として編成したのであれば、減税にいたしましても、そこに重点を置いて、このようなこま切れ減税を、あれもこれもと盛り込むよりも、大衆課税としての所得税を一挙に軽減したほうが、税負担の公平、景気刺激としても、より効果的であると思われるのであります。それには、わが党がしばしば言明をいたしておりまするように、標準五人家族の現行五十六万円の課税最低限を一挙に百万円まで引き上げ、中堅勤労者以下の所得税負担を大幅に減税したほうが、より効果的であると思うが、大蔵大臣にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。拍手
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
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佐藤榮作#29
○国務大臣(佐藤榮作君) 中尾君にお答えいたします。
 今回の減税は、いまだかつてない大型の減税である。これはもう金額が示しておるので、はっきり御承知のとおりだと思います。ただいま、一兆円予算の際に一千億減税が云々されたと、かように言われて、その割合からいけば今回も少ないのではないか、こういうような御指摘のようでありますが、これはいずれ大蔵大臣からまたお答えすると思いますが、予算規模、これに関連して減税を比較するわけにはいかぬと、私はかように思います。特に、今回の予算を編成するに際しまして私どもが意を用いましたのは、たびたび御説明いたしますように、申すまでもなく、不況を克服し、同時にまた、物価を安定する、さような意味で予算を編成したわけであります。また、同時に、このことを実現するためには、ゆとりのある家計、また、蓄積ある企業、こういうものを現出しなければ、不況の克服、あるいは物価の安定に十分の成果をあげることができない、こういうことで基礎的な構想を固めまして、そうして、いざ今度は、これによって不況の克服を——有効需要をふやすにはどうしたらいいか、どのくらいの規模が必要なのか、こういう点を財政の見積もり——財政収入等を検討いたしまして、そうして公債発行等もいたしたわけであります。その場合に、公債発行はする、また、ただいまのゆとりのある家計、また企業の蓄積を進める、こういう意味で、可能な減税を計画いたしたわけであります。
 ただいま、国民所得に対して国民負担はいかにあるべきかというようなお尋ねがございましたが、これは将来の長い考え方におきまして、とにかく国民負担の軽減をはかっていく、こういうのが長期減税構想だと、かように思います。
 今回は、課税最低限五十六万円を六十三万円にする、こういうところに一つの目標を置きまして減税をいたしたつもりでありますし、また、企業減税につきましては、中小企業等の経済の現状を十分に勘案いたしまして、これに効果のあるような処置をとったつもりであります。したがいまして、ただいまの全部をまとめて、そうして所得減税だけ一本にしぼったらどうか、こういうお話もありますけれども、経済の事情はそう簡単なものではございませんので、私どもは、ただいま、くふういたしましたように、所得減税もするし、企業減税もするし、あるいはまた物品税の減税もする、住民税の減税もする、各方面の減税を計画いたしたわけであります。中尾君の御提案には私どもは賛成いたしません。しかし、先ほどもお答えをいたしましたように、課税最低限を六十三万円で満足しておるものではございません。公明党の百万円には、まだ、ずいぶん差はございますけれども、私どもも、さらに努力いたしまして、八十万円程度のものは早く実現するように、ぜひともいたしたい、かように考えておる次第であります。
 また、特別措置につきましていろいろの御意見等がなされましたが、先ほどもお答えいたしましたように、公平の原則、これを貫かなければならないこと、これは税制におきましては当然でありますけれども、しかし、特別な政策を実施するにあたりまして特別措置を講ずること、これまた各国が採用しておることでございますので、わが国だけが特別の例をとっておるわけではありません。また、税制調査会が答申いたしておりますような特別措置についての整理、または廃止等につきましても、今回可能な範囲におきまして、これを実現した次第でございます。拍手
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
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