足鹿覺の発言 (本会議)
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○足鹿覺君 私は、日本社会党を代表して、総理の所信表明に対し、内政問題、特に物価と本年産米価をめぐる諸問題について質問をいたします。
まず初めに、現在国民の最大関心事である物価問題についてお尋ねいたします。
総理は、所信表明の中で物価問題について、「政府は、当面、生鮮食料品の安定的供給、卸売り市場の改善をはじめとする流通改善策や小麦粉価格の値上げの抑止など、諸物価に対する強力な行政措置を講じている」と述べられました。この中で、実際に国民の目に見えるように値上げを押えたのは小麦粉だけであって、その他の生鮮食料品対策は全くの作文にしかすぎません。(拍手)所信表明で意識的に逃げておられる公共料金は、値上げに次ぐ値上げの連続であり、また、大企業の独占管理価格も値上がりの一途をたどっております。このため一卸売り物価、消費者物価ともに激しい上昇を続ける事態を招いておるのであります。すなわち、卸売り物価は、昨年六月から本年六月までの一年間に四・四%も上がり、本年一月から六月まででも二・八%の大幅な値上がりとなっております。また、都市の消費者物価は、御承知のとおり昨年一年間に七・六%上がり、本年に入ってからもこれと同じように上昇し続けております。
ここで私は、昨今の物価値上がりの二つの重大な特徴を指摘しなければなりません。
一つは、かつて池田さんは、消費者物価が上がっても、卸売り物価が上がらなければ心配ないと言われましたが、いまや卸売り物価と消費者物価がお互いに原因となり結果となってからみ合い、大幅に上昇していることであり、したがって、池田内閣時代に比べると、現在は物価問題が一そう深刻かつ悪質な様相を呈し、国民生活を脅かしつつある事実であります。
いま一つの特徴として注目すべきことは、農林省の発表によれば、昭和四十年の農村における消費者物価は、実に九・一%も上がっているのであります。かつては都市に比べて農村のほうが物価が安いというのが常識であったのでありますが、いまではむしろ都市よりも農村のほうが物価が高いということであります。
佐藤総理はこうした事態を正しく認識されているかどうか、そして一体どんな対策を講じられたでしょうか。具体的に承りたいのであります。(拍手)
佐藤さんによれば、具体的にはただ一つ小麦粉の値上がりを押えたと言われますが、それではその結果小麦粉を原料とする菓子類、パン、めん類等の値段が幾ら下がったのでしょうか。むしろ、下がるどころか、去る七月六日東京都内で行なった主婦連の調査で明らかなとおり、食パン一斤の量目は平均三十グラムの不足で、実質的な値上げにさえなっておるのであります。これでは小麦粉の値上げを抑えたといばられても、国民の側からいわせれば、全く無縁なものであり、物価対策として何の価値もないといわなければなりません。(拍手)佐藤さんのトレードマークであるその大きな目玉は、国民生活の実態と台所が見えないのではないでしょうか。(拍手)正しい物価対策を進めるために、特別製のめがねでもあつらえられてはと申し上げたいくらいであります。
佐藤内閣の支持率が物価の上昇と逆比例して下がっていくのは、まことに当然といわなければなりません。その責任をほおかぶりして、政府が物価上昇の責任を生産者米価になすりつけようとした、ここにこそ本年の米価問題が混乱したほんとうの原因があると考えますが、総理の本年産米価に対する基本的な考え方について御所見を承りたいのであります。(拍手)
現在の物価高は、自民党政府の高度成長政策や小麦粉の場合に見られる的はずれの物価政策によって止まれたものであり、農民の責任では絶対にないのであります。農業のおくれている生産性、深刻な労力不足、悲惨な出かせぎや兼業など、農業、農民が直面しておる重大な問題をほうっておいて米価だけを抑えるというやり方は、全く筋の通らぬことといわねばなりません。(拍手)
たとえば、農業生産資材の中心である肥料を見るに、昭和三十九年当時に年間輸出量二百五十万トンと見込まれていたものが、いまや四百六十万トンを突破し、価格もきわめて好調で、肥料業界はブームの中で飛躍的に経営内容は向上しております。このため、三十九年当時二百億円に及ぶ赤字を向こう十カ年間に解消する目的で多額の政府融資を受けた業界は、早くもここ三年のうちに赤字を解消してしまうという驚くべき実績をあげておるのであります。しかるに、一面、農民に対する硫安の値段は、この三年間に一かますにつき二十円しか下がっていないのであります。つまり、輸出価格の上昇と量の増大、経営の合理化、政府融資による技術革新などの利益の増加部分、いわゆるメリットは、そっくりメーカーのふところに吸い込まれているのであります。
農民が買うものはこのように管理、協定価格で高く売りつけられ、農民の売るものは一方的に相手に安い値段できめられる。一体どこに農民の生きる道があるのでしょうか。(拍手)米価が上がれば賃金が上がり、物価が上がるという財界の言い分は、全く主客転倒といわなければなりません。真の物価対策は、独占管理価格にメスを入れ、大企業のカルテルや生産調整をきびしく取り締まり、通貨の膨張を極力押え、これによってインフレの根を断つことだと考えますが、政府はこのような強力な物価対策を断行する決意があるかどうか、主管大臣たる藤山経済企画庁長官の御意見と、肥料、飼料等農業生産資材の値下げ対策について農林大臣の御所見もあわせて伺いたいのであります。(拍手)
わが党は、物価安定緊急指貫法を制定して、物価安定のあらゆる要因を調査審議して内閣に勧告する強い諮問機関を設け、生産者、消費者米価をはじめ、おもな公共料金の決定を国会の議決できめるよう主張しておりますが、総理には、こうしたわが党の構想についてどのようにお考えであるか、御所信のほどを具体的に承りたいのであります。
第二に、本年産米価に象徴されるわが国農業の日本経済における位置づけ並びに食糧の国内自給に対する総理の基本的な考え方についてお聞きしたい。
現在、日本の食糧は重大な危機に直面しているといっても言い過ぎではありません。農林省が出した資料によると、昭和三十五年の自給率八五%は、三十九年に七九・六%にまで下落しております。また、農産物の輸入は三十九年に十九億四千万ドル、邦貨で約七千億の巨額に達し、総輸入額の約三割を占めております。このことは、わが国貿易収支の上からも重大な問題として憂慮される事態であることは周知のとおりであります。
一方、国内の米の生産は、昭和三十七年を頂点として、作付面積、反収ともに減少しつつあります。特に重大なことは、反収の著しい減少であり、過去三カ年間に約一斗一升以上も反収が減り、その当然の結果として、米の総生産量も著しく減り、昭和三十七年の千三百万トンが、昨年は千二百四十万トン台に落ち込んでおるのであります。しかも、これは決して一時的な災害等の原因によるものではなく、その根は深く、いわゆる政府の構造政策の失敗のあらわれであり、農業政策不在の政治がもたらした結果であり、歴代保守党政府の重大な責任と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
一方、米の消費人口は年々百万人以上の増加で、米の需要はふえる一方、したがって、このままでは食糧の需給操作はますます困難となっていくことは明らかであります。もし不幸にして、あってはならぬことでありますが、本年の作柄が悪かったり、外米の輸入が予定どおり進まぬときは、現在の一カ月十キロの配給が困難となったり、米の遅配といった重大な事態を起こすことも心配されるのであります。外米の輸入は年々ふえ、準内地米は昭和三十五年度の十万トンが昨年度は八十六万トンをこえておるのであります。このまま進むならば、四十一年度の輸入は八十三万トンの予定を上回り、百万トン近い輸入が必要とされるのではないかと憂慮されておるのであります。
このような米をめぐるわが国の実情について、総理は、「近年の米の生産事情にもかんがみ、あわせて強力な稲作改善対策を講じたいと考えております。」と述べられましたが、その意味するところは、日本経済が調和のとれた成長をするためには、重化学工業に不当な重みをかけることは破滅のもとであること、東南アジア向け輸出のために外米を輸入せよというよりは、国内市場が伸びるような政策のほうが確実であること、要するに目先の商業的な利益を追求するような経済体制ではなく、安定した産業基盤をつくり出すことに政治の方向が向かなければならないことをようやく認識されたのではないかと私はひそかに思いますが、自由化ムードの中で食糧自給を論ずることを農本主義と言い去るのは誤りであり、それは過去の歴史が証明するところでありますが、ほぼ以上のような理解に基づく御所信と承ってよろしいかどうか、承りたいのであります。(拍手)
次に第三点として、昭和四十一年産米の政府買い入れ価格並びにその算定方式について伺いたい。
佐藤総理は所信表明において、「本年も生産費及び所得補償の考え方に基づいて決定いたしました。これは、昨年産米の政府買い入れ価格に比べ、約九・二%の引き上げとなっております。」と述べられたが、この決定までの経過を振り返り、問題点を指摘しながら見解をただしたいと存じます。
政府は、米価審議会に、実質的には指数化方式を諮問したのでありますが、審議会の大勢が積み上げ方式を望んだのに対し、政府及びこれに同調する一部の学識経験者委員等があくまで指数化方式に固執したため、審議会は会期を延長してまで論議を尽くしたにもかかわらず、ついに答申できないという異例の事態に立ち至ったことは周知のとおりであります。わが党は、審議会の答申を得ずして米価を決定することは、法規や長い審議会の歴史的慣例を無視する暴挙だと、審議会の再開と、その答申の出るまで米価決定をするなと再度申し入れたのでありますが、政府は何らの努力をすることなく、民主主義のルールを破って、答申のないままに決定したのであります。この間、自民党内部にあっても、党の正式機関といわれる臨時米価基本対策懇談会は指数化方式に反対して、積み上げ方式をとることを決議、一万八千百五円という小委員会案を決定したのでありますが、応援団であり、俗にベトコンと称せられる米価対策協議会の突き上げにより、一万八千五百五十九円を決定し、全国農民に淡い幻想を与えるに至ったのであります。
ところがこれもつかの間、佐藤総理の一声でこの正式機関の決定も一転して、一万七千八百七十五円に転落、米価は政府・与党の間で、エレベーターよろしく上げたり下げたりする始末に、農民の憤激はまさに頂点に達したのであります。(拍手)農民大衆のこの憤激による激しい抗議によって、米価の閣議決定は日米経済合同委員会後に持ち越されたのでありますが、あなた方がのがれるように新幹線にすべり込まれ、みえも外聞もなく眠りこげておられる臓中の模様は、当時の新聞にはでに取り扱われ、まことにあわれともお気の毒ともいうほかはなかったのであります。(拍手)
このような経過を経た後、米価は一万七千八百七十五円に閣議決定されたと伝えられておるのでありますが、ついては、総理が昨年比九・二%引き上げたと言われるこの価格、及びそれがいかなる根拠によって算出されたものでありますか、付いたい。また、その算定方式は、坂田農相が固執する指数化方式であるのか、わが党及び自民党内機関が主張する積み上げ方式であるのか、あるいはそのいずれでもなく、田中幹事長が言われる混合方式と称する新方式であるのか、明確にお答えいただきたいのであります。(拍手)
さらにまた、総理が党内機関の決定をけってまで裁断された三百五円という上積みの数字的根拠を、この際明らかにしていただきたい。
聞くところによれば、米価決定に際して、政府・与党間に了解事項として取りかわされたものがあるそうだが、総理はそのことを御存じであるかどうか。このことは重大ですから、必ず明確に御答弁を願いたい。その第三項によれば、「政府は稲作改善政策を強力に遂行する。」また、「米作増産対策費として五十億円を新たに支出する。この方策の遂行による効果が供出農家に均てんすることに重点を置いて検討する。」と記載されております。
そこで、試みにこの五十億円がかりに米価に加算されるものとして計算をすれば、政府の予定買い入れ数量が七百十四万トン、約四千七百万石でありますから、石当たり百五円となる勘定であります。したがって、これを上積みすれば、本年産米価水準は一−四等平均一万七千九百八十二円ということになるのであります。したがって、いま公然といわれておる米価は一万七千八百七十七円の、いわゆる閣議決定米価、これが一つと、この五十億円を均等に配分し算出した一万七千九百八十二円の米価とがあります。これが第二の米価。さらにこのほかに、各地で自民党の代議士諸公が演説をされておるそうでありますが、一万八千円米価なるものがあるそうであります。すなわち、これは右の五十億円の配分、百五円をプラスした米価の一−四等平均をとらないで、三等建て値を言っておられるわけでありますが、御承知のとおり、米価の建て値は一−四等で今日まで取引されております。それを三等建て値で、あたかも一−四等の平均が一万八千円のごとき幻想を農民に宣伝することは、インチキな宣伝用米価といわれても弁明の余地はなかろうと思います。(拍手)
ともかく、このように三本の米価が存在して、農家を全く混乱におとしいれているのが現状でありますが、いずれにせよ、この五十億円が全供出米の米価に加算され、いわゆる均てんするものと理解してよいのでありましょうか。特に、念のためにお伺いしておきます。しかと御答弁願います。
かくして、世に混乱方式といわれるだけあって、いまだに正確な買い入れ価格が明らかにされないのは何ゆえか、裁断された総理から直接お答えをいただきたいのであります。
次に、大蔵、農林、両大臣に伺いたいが、この五十億円の処理は、当然食管会計に計上すべきだと考えるのでありますが、これが財政上の処理及び支出の具体的な方針と取り扱いについて、明らかにしていただきたい。
第四に、消費者米価と食管制度について伺いたい。
総理は、所信表明において、「米価は農家の所得形成に重大であり、国民経済にとってもきわめて重要な意味を持つものでありますので、価格政策の適切な運用に配意しつつ」云々と述べておられるが、消費者米価のあり方や、食管制度、これを裏づける食管財政等については、何ら具体的に触れておられないのは、どういうわけでありましょうか。今回の米価の改定により、石当たり千五百二円の値上がりになるといたしますならば、食管赤字は七百十四億円の増加となる見込みであります。当初、赤字見込み計上額が千三百五十六億、計二千七十億円と想定されるのであります。この赤字を強調して、あたかも農民が税金を乱費しているように言われているのが、いわゆる財界その他の意見のようでありますが、決してそうではない。むしろ消費者を守るためのものであることを知るべきでありましょう。すなわち、この際、総理は、食管財政を根本的に検討し、その社会保障的性格を打ち出すべきではないか。
以下、若干赤字と称されるものの実態について申し上げますならば、実際の売り買いの損は六百八億円、残る七百四十八億円は集荷、運賃、保管、事務人件費、金利でありまして、したがって、この中から運賃、保管料、各百二十億円、計二百四十億円は当然必要経費として除くとしても、残る集荷経費百十六億円、事務人件費二百一億円、金利二百七億円、計五百二十四億円は、政府が食糧をその責任において管理する以上、一般行政費において当然計上支出すべきものであると思うのであります。(拍手)これを赤字と称していることはまことに当を得ない意見といわざるを得ないのでありますが、御所見を承りたい。
一例を金利にとるならば、米を買い入れるための食糧証券が年によっては一兆円近く発行されます。その食糧証券に対して金利五分五厘というものが支払われておる。政府が政府に支払っておる。民間金利の引き下げを行ないながら、この金利は据え置いて、一文も引き下げないというこの一例を見ても、いかに矛盾きわまる経理であるかと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
したがって、このような実態にかんがみ、食管財政は、法律の精神からいって、二重価格になることは当然であります。これが一方において消費者の家計を守り、一方において生産者の再生産を確保する意味から、社会保障的性格を持つものというべきでありましょう。これをあたかも、生産者米価の値上げだけが食管赤字を増大し、税金を食いつぶしているかのような論理は全く当たらないものであり、これを明確に社会保障費として性格づけ、国の財政支出によってまかなうことを制度化すべきではないかと考えるが、総理大臣の根本的御所見を承っておきたいのであります。(拍手)
佐藤さん、四兆三千億の大型予算の五%を食管制度に支出することは、国の財政を危うくすることでもなく、困難なことでないと私は考える。やればやり得るのではないかと考えますが、総理の善処すべき構想についてこの際承っておきたいと思います。
いわんや、生産者米価の石当たり千五百二円の値上げをかりに見たといたしますならば、消費者米価に自動的にスライドさせることは、さきにも述べたとおり、食管法の精神をじゅうりんするものであり、食管制度をなしくずしに廃止しようとするものといわねばなりません。ここ二年間、政府は法律違反を犯して、生産者米価にスライドして消費者米価を値上げし続けてきたことは、きびしく糾弾されなければなりませんが、政府は、このたびの生産者米価の改定による食管財政の処理についていかように考えられておるのか。大蔵大臣は、予算編成期にならなければわからないと言い、坂田農林大臣は、当分の間消費者米価は上げないと言い、藤山経済企画庁長官は、本年度中の値上げに反対だと、それぞれ各所でニュアンスの違う発言をなされておるのであります。われわれは、消費者米価の値上げは絶対に認めない。しかるに、暗に消費者米価の値上げは時間の問題だと思わせるような発言は、厳に慎むべきものでありましょう。物価対策に真剣に取り組むという佐藤総理は、消費者米価のあり方についてどういう考えをお持ちであるか。また、各地で発言をしておる各大臣から、それぞれこの場でその真意を明らかにされたいのであります。(拍手)
最後に、米価問題に関連して、米価審議会の現状について、坂田農相の責任と政党政治に対する佐藤総理の責任について所信を伺いたいと思います。
楠見米審会長が責任をとって辞任されたことは、まことにお気の毒にたえませんが、審議会の中間に立って、常に公正な取りまとめに努力すべき学識経験委員八氏が連名で辞表を提出されたことは、きわめて遺憾に思うものであります。米は百姓がつくれ、値段は政府がかってにきめるというのでは、全く封建時代のそれと変わりありません。過去において答申取りまとめのために、一週間ないし十日間を要したこともあったことは、不肖私もみずからその経験をしているところであります。しかも低米価につながる指数化方式を主張する学識経験委員の中に、かつて農林、大蔵の高級官僚であった人々がその中心的存在であったことは、まことに遺憾千万のきわみと断ぜざるを得ません。(拍手)この米審の空中分解にもひとしき重大な事態にあたって、坂田農林大臣は、いかに事態を収拾するお考えであるかを承りたいのであります。
坂田さん、あなたは十日であったと思いますが、石川県で記者会見をし、委員が辞表を提出したのは一本答申ができなかったからだと、指数化に固執したみずからの責任をたなに上げ、楠見会長にその責めを負わせて、しかも米審を改組する方向として、国会議員を除外するなどとまことに不謹慎な発言をしておられるのであります。かつてあなたは野にあるとき、自民党の米価懇談会の責任者として、農民の立場に立って、時の権力者と戦われたことは周知の事実であるのであります。一たび大臣という権力の座に着くや、この不況下に低所得を余儀なくされておる農民に対し無慈悲にも低米価を押しつけ、事態の収拾を怠るなど、まことに言語道断の態度をとって恥じることがないのであります。(拍手)人間にとって最も大切なことは、節操を重んずるということであると私は思うのでありますが、あなたのあまりの豹変ぶりに、われわれは全国の農民大衆とともに、驚きと憤りを禁じ得ないのであります。あなたは全国の農民の前に、みずからの能力の足らざるをわびるために、きっぱりと責任をおとりになるべきだと思うが、その意思をお持ちであるかどうか承りたい。(拍手)
同時に、佐藤総理にお尋ねいたしたい。私は、決して事をかまえて他党のことに干渉するものではありません。しかし、本年の米価決定当初、自民党の田中幹事長は、同党所属の国会議員に対し、中央、地方の米価大会に出席禁止の指令を出されたことは周知のとおりであります。にもかかわらず、中央、地方の各大会にはその指令が破られ、多数の議員諸公が御出席になり、また、さきにも触れたとおり米対協なる二百名を上回る国会議員が政府・与党の幹部とことごとに渡り合われた事実は、私どもも漏れ承っておるのであります。このような政府・与党の動揺と混乱を収拾し切れず、農民が注目しておる農家手取り米価もいまだ明確でないという事実は、米価問題を契機として、総理、総裁としての佐藤さんの統率力の欠除を遺憾なく物語るものだと断ぜざるを得ません。(拍手)現に、保守党内有力者から、保守二党論が公然と打ち出されていることも、まことにむべなるかなと考えさせられるのであります。(拍手)また、もしこの一連の動きが、農民に低米価を押しつけるためのものであるとするならば、それはゼスチュア的なサル芝居といわなければならないでありましょう。(拍手)そのいずれであるにせよ、自民党政府の農民に対する責任は免れることはできないのであります。
全国農民大衆の強い抗議と、とどまるところを知らない物価値上がりの中で、佐藤総理は佐藤内閣の信を天下に問わんとする勇気をお持ちであるかどうか、この点を強くお尋ねを申し上げまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕