佐藤榮作の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。
 最初に、物価問題全般についての政府の態度並びに今日物価が動いておる、それについての御批判があり、政府の考え方をただされました。
 私は過日の所信表明でも申しましたように、今日経済はすでにその不況を脱却し上昇の機運にある、こういうことを申しました。ただいまのこの物価の動きを見ましても、その感を実は一そう強めるのであります。足鹿君から御指摘になりましたように、最近の物価は、消費者物価のみならず、卸売り物価も上昇しております。この卸売り物価が上昇しておることがただいまの景気が上昇しておることを実は物語っておるのであります。私が申し上げるまでもなく、この物価の動向については、十分その原因を探求して、そうしてその原因に対応する対策をとらなければならない。今日の物価の動きは、いわゆる構造的なものだとしばしばいわれております。したがいまして、私どもはいわゆるひずみを是正する、そういう考え方でこれと取り組んでおりますが、その過程におきまして、言わるるごとく一足飛びにいかないところもあります。
 そこで御指摘になりました卸売り物価が二・八%も上昇した、こういうことでありますが、しかし、その中身をさらにしさいに検討してみますと、いわゆる非鉄金属、銅の値上がりも非常に大きい、農産物価格もその中で大きな上昇の率を占めておる、したがって、この二つを除いて物価を検討してみますと、卸売り物価はいわゆる一・
 一%の上昇であります。これは過去の景気上昇の際に示しました物価の上昇とその軌を同じくするものでありまして、ただいま御指摘になりました点が、私が景気は上昇しつつある、かように申しておるゆえんでもあります。この点は十分お考えをいただきたいと思います。
 次に、米価に対する基本的な態度はどうだ、こういうお尋ねでありますが、私どもは今回の米価決定に際しまして示しましたように、政府の態度は各界の御理解を得つつある、かような確信を持っておるわけであります。申し上げるまでもなく、所得補償方式と生産費補償、この二つを考えて、そうして最終的に決定したものでありまして、閣議で決定されましたものは一万七千八百七十七円であります。これ一つであります。この点ははっきりいたしたいと思います。農家の収入のこれが基本でもありますし、また、国民にとりましても、米価のあり方はたいへん関心事でもございますので、十分慎重にいたしたのであります。過去の経験を生かし、そうして今日の実情に即した決定をいたしたのでありまして、今日各界における批判も大体落ちついたように私は思っておるのでございます。
 次に、米価を国会で決定することの問題を御提案になりました。ただいまの食糧管理法に基づく食管特別会計、このもとにおける食糧管理行政、その中の中心をなすものは米価であります。したがいまして、食糧管理行政の一貫性の面から見ましても、現在の取り扱い方のほうが適当であって、米価だけを引き抜いて国会で審議すること、これには私は反対でございます。(拍手、「具体的に答弁しろ」と呼ぶ者あり)
 次に、具体的にお答えいたしますが、米価が占める日本経済におけるその位置づけであります。過去におきましては、農は国本とまでいわれたものでありますが、現在におきましても、この農業が国家的に重要な柱であることは、私が申し上げるまでもございません。申すまでもなく、国民食糧の安定的供給、そういうものを確保する。同時にまた、農家が地域社会の重要な役割りを果たしておるということ等を考えますると、農業についてのその重要性がはっきりわかるのでありますし、同時にまた、日本経済における米価の位置づけは、この点からもおのずからきまるのであります。この観点に立ちまして、あるいは近く開かれる東南アジア農業開発会議、これなどはいわゆる国内における食糧不足を外国産米に仰ごうとするような計画ではないか、こういうお尋ねがございましたが、(「そんなことは聞いていない」と呼び、その他発言する者あり)明らかに聞かれました。アジアの状況は、これは深刻な食糧事情にあるのであります。したがいまして、アジア諸国が、その観点に立ちまして、会議を行ない、自給自足体制をとることが必要であります。わが国がアジアの諸国から食糧を輸入する、かような考え方でこの農業開発会議をきめるわけのものでは絶対にございません。その点は誤解のないようにお願いをしておきます。
 次に、農業構造政策の失敗と価格政策との問題であります。この問題は、農業基本法に基づいて農業構造改善をいろいろ計画いたしておりますが、同時にこれには時間を要する問題であります。そう簡単に、右から左に実現するものではございません。したがいまして、この基本法に基づく根本的改善をいたしますと同時に、生産政策、構造政策の推進によりまして、また価格政策の運営も十分配慮する考え方でございます。
 次に、米価の問題について先ほどお話がありましたが、一万七千八百七十七円を閣議決定をいたしました。これは、いわゆる低米価と、かように私は言うべきものではないと思います。先ほどは、低米価と、かようにらく印を押されましたが、昨年に比べ九・二%の値上げであります。さように考えますると、これは絶対に低米価ではない。
 さらにまた、与党と政府との間における申し合わせ事項についてお尋ねがありましたが、これはお尋ねのとおりであります。政府と与党との間に取りかわしたものもあります。そうして、その五十億そのものの使い方についてはただいま検討中でありますので、ただいまこの席におきまして、この使い方がかくかくなりと、かように申し上げるわけにはまいりません。この点を御了承いただきたいと思います。いずれ近く関係省におきまして十分検討の上決定するつもりでございます。
 また、食管特別会計において、この米価そのものが社会保障的性格を持つということを特に強調されましたが、御承知のように国民全体が米食の国民であります。そういう意味におきまして、金持ちも、また恵まれない階層も、ひとしく米を食べるのでありますので、米価自身においていわゆる社会保障的性格を盛ることは、これは私は適当でないと思います。むしろその階層階層に対して社会保障は政策を充実さすべきものであって、米価そのもので社会保障的性格をきめようというのは、これは私は賛成をいたさないものであります。(拍手)
 また、予算のあり方から見て、全体の五%程度の予算は何だと、こういうような表現をされましたが、赤字が二千億に達するということは、これはそう軽視すべき問題ではございません。いずれにいたしましても国民の負担であること、このことを忘れてはならないのであります。いかなる場合においても国民の負担だ。したがいまして、政府は、この食管会計の赤字、その解消については十分慎重に考えるつもりであります。ただ、この際に、さような意味において、消費者米価で、消費者の負担で食管会計の赤字をなくする、かように私は申し上げるわけではありません。簡単な理論から申せば、まさしく食管会計の赤字は消費者の負担においてこれは消されるべきが当然だと思います。しかし、それは簡単な理論というものです。ただいま足鹿君からいわゆる赤字の内容についても、これこれはその赤字として計上すべきではないというような御批判がございましたが、今日まで取り扱いの点では、これは間違いはございません。足鹿君はその道の専門家だから、しばしば農林委員会等においてこの議論を展開されたと思いますが、今日までこれはちゃんと議論済みのものであります。運送費、管理費その他は食管特別会計においては当然の支出であります。それらのものを除外すべき筋のものではない。このことは足鹿君御自身よく御承知のとおりであります。その範囲は一応済むといたしましても、ただいま申し上げますように、私は、この赤字を食管会計だけで片づける、そのためには諸物価の動向なり、また、国民生活にいかなる影響を与えるか等も考えなければならないのでありますので、もちろん慎重に検討する考えでございます。
 この点で、それぞれの関係大臣が、あるいはことしじゅうは上げないとか、あるいはいろいろ検討しておるとか、それぞれの議論があったということを御披露になりましたが、私が御披露いたしますように、まだ結論が出ておらないのでありますから、それぞれの大臣がかくかくしたいという気持ちは、これは多分にあるだろうと思いますけれども、この最終的な決定、それは検討の上お聞き取りをいただきたいと思います。私自身の考え方は、検討したいということを申しておりますが、これは消費者米価を上げる、そういうことを前提にして検討するわけではありません。また、上げないということを前提にして検討するわけのものでもありません。いわゆる白紙の状態で、ただわれわれの気持ちとして、上げないで済むような方法はないか、こういうような気持ちを持ちまして種々検討しておるような次第でございますから、それをしばらくお待ちをいただきたいと思います。
 最後に、米審のあり方についていろいろ御批判がございました。私は、今回の米価決定において、米審に期待したような答申を出していただくことができなかったこと、これはまことに残念に思います。しかし、この数日にわたる、四日か五日にわたるその期間中、その審議を十二分に農林大臣は直接聞いております。したがいまして、今回の米価決定にあたりましては、この米価審議会の委員諸君の意見を十分取り入れた、かように私は思っております。しかし、今後の問題といたしまして、これがいかにあるべきか、さらに検討をする必要があればさらに検討いたしたいと思います。
 また、こういうような問題を通じまして、国民に信を問う考えはないかというお尋ねでございますが、私はその点については、ただいま何ら考えておりません。(拍手)
  〔国務大臣坂田英一君登壇〕

発言情報

speech_id: 105205254X00419660714_006

発言者: 佐藤榮作

speaker_id: 21117

日付: 1966-07-14

院: 衆議院

会議名: 本会議