佐藤榮作の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 過日の私の所信表明につきまして、今日の経済は、政府の見るような楽観的なものではないんだ。さらに、これに注意をしないと、とんでもない状態になるという御忠告がございました。私は、決して楽観しておるものではございません。ただ、ただいまの状況が上昇の方向に向かっておる。これを、在来の政策を強力に充実し、努力することによりまして、さらに成果をあげることができる、かように私は考えておるのでありまして、そういう意味で、いろいろの御批判につきましてもこれをまじめに考えておる次第であります。
 しかし、近く補正予算を組んではどうか、ことに下期対策としてそのことをやることを進言されたと、かように思いますが、私は、ただいままで下期対策として補正予算を組むというような結論には達しておりません。玉置君も御承知のように、いろいろ世間では議論をしております。今回の景気上昇は、非常に短期的な景気短命説、これがある程度強く出ております。さような意味で、私どもも今回の経済の動向についてこの上とも注意するつもりでございます。
 次に、第二の問題として、物価の問題についてのお話がありました。生鮮食料品の値上がりを防止する、そのために民主社会党も二法案を提案しておるから十分取り入れろ、こういう御注意でございますが、この点はさらに検討を加えていきたいと思います。いわゆる物価と申しましても、国民生活に直結しておるものが最も強く感じられるのでありますので、生鮮食料品などは特にその供給を円滑にしたいものだ、かように思い、せっかく努力しておる際でございます。
 また、経済の基本的な構想につきましていろいろのお話があり、インフレを防止しろ、あるいは姿勢を正せ等々の御意見が出ておりますが、ただいま経済企画庁を中心にいたしまして、いろいろ長期経済計画の樹立について努力しておる際であります。いずれ成案を得た上で強力に実施していくことにいたしたいと思います。
 今回の米価決定に際しまして、いろいろの御批判を受けました。たいへんむずかしい問題であっただけに、このことがあの程度の摩擦で済んだということは、私は成功だ、かように思っております。御承知のように、今回の米価自体は、先ほども足鹿君にお答えいたしましたように、九・二%の値上げでございます。したがいまして、私はいわゆる低米価、こういうことは当たらないと思います。適正なる米価を決定した、かように自信を持っておるのでございます。農家の方々が愛情を持って米作に努力しておられる、このお気持ち、その努力、これに対して政府はこたえるものがなければならない。御指摘になるまでもなく私もさように考えます。そういう意味で、ただいまのような適正米価を決定いたした次第であります。
 なお、今日これが文字どおり政治米価だ、かような御批判を受けておりますが、食糧管理制度のもとにおきまして、ただいまのこの価格決定は、もともと政治米価であります。さような意味において、私は、政治米価の批判を受けたからと申して、別にこれは恥ずかしい思いではないのでございます。食管会計を行なっております限りにおいて、政治米価であることは当然でございます。
 なお、この問題について、農家の努力に対してこの際農民年金制度を制定しろというお話でございますが、私は、国民年金制度、これを充実することについてなお一そうの努力はいたしますが、特に農民であるがゆえにというような立場から、特別な年金制度を考慮しろということは、農民の努力に報いるにいたしましても、国民を分けることになるのでありまして、私は賛成をいたさないのであります。
 次に、アジア外交の基本方針について、いろいろお尋ねがございました。御承知のように、アジアにおきましては、いろいろ問題が集約されております。ただいまベトナム紛争がまことに刺激的なものでありますし、同時にまた、中国国連加盟、あるいは核実験禁止の問題等々、幾つも問題が重なっておると思います。したがいまして、アジアに位する日本として、そうしてどこまでも平和を愛好し、平和に徹し、お互いの繁栄を心から願っておる日本のあり方といたしまして、非常にむずかしい問題に当面しておるといわなければなりません。かような際におきまして、私どもがいずれの国とも仲よくしていく、そうして平和に徹して、お互いの繁栄を願っておる、これを十分理解していただくことこそ、日本外交の基本的態度である、かように私は言うのでございます。
 中共に対する封じ込めその他の政策が云々されますが、米国自身もいわゆる封じ込め政策というものをとっておりません。これが武力拡張を防ぐというならば、アメリカはそのとおりの政策をとっております。しかしながら、いわゆる封じ込め、こういうものでないことはだんだん理解がいったように私は思います。私は、日本のあり方、アメリカのあり方、中共のあり方、北越のあり方等々、それぞれの国々がそれぞれの行き方をいたしますが、お互いにその立場を理解し、平和を求めるというところに一致点を見出すならば、必ず話し合いの場は見出せると思うのでありまして、私は、そういう意味におきまして、日本の中共対策もこれで御理解がいただけると思います。
 沖縄の問題について、ただいま問題になっております具体的な裁判移送の問題を取り上げられました。私は、ラスク長官の所管の問題でもありますので、この問題をラスク長官と話し合ったわけであります。十分理解のある処置がとられる、かように私は思うのであります。また、協議会を開催しろ、あるいは抗議を申し込め等々のお話もございますが、最も効果的な方法といたしましては、率直にラスク長官と話をすることが効果のある方法だ、かように私は考えましたので、日米合同委員会のこの機会に、ラスク長官とも話し合った次第であります。
 また、この沖縄の問題をめぐって、過日の私の発言が挑戦的である、あるいは慎重を欠く等の御批判がございました。これは御忠言として伺っておきたいと思います。
 最後に、政治姿勢につきましていろいろお話がございました。これは私に対するお尋ねだとは——私が答弁する問題ではないと思いますが、しかし、玉置君が、私並びにわが党の考え方につきましていろいろ御忠告をしてくださいましたことについて、心からお礼を申し上げるとともに、今後の反省の貴重な資料にいたしたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣坂田英一君登壇〕

発言情報

speech_id: 105205254X00419660714_015

発言者: 佐藤榮作

speaker_id: 21117

日付: 1966-07-14

院: 衆議院

会議名: 本会議