石田宥全の発言 (本会議)
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○石田宥全君 私は、日本社会党を代表し、今回の梅雨前線による北陸、東北地方、特に新潟県における集中豪雨の被害対策につき質問せんとするものであります。
まず最初に、家を奪われ、あるいは収穫を持つばかりの多くの稲作農民並びに関係市民各位に対し、心からお見舞い申し上げるとともに、一日も早く災害を克服され、更生されんことをお祈り申し上げる次第であります。(拍手)
災害は忘れたころにやってくるといわれますが、新潟県加治川改修工事のごときは、十年前から工事の完成を地元民は強く要請してまいったにかかわらず、国並びに県当局は予算上の困難を理由とし、ついに今日の悲惨事を引き起こしたものであって、産業資本の高度成長政策に狂奔し、社会投資をなおざりにしてまいりました政府・与党の責任は強く責められなければならないと考えるのであります。(拍手)また、治水のための堤防に、老木となった桜並み木を観光地として温存するがごときは、地方公共団体の直接の責任とはいえ、これを放置してまいりました建設省の責任もまた重大といわなければなりません。農林省所管の内ノ倉多目的ダムの構築にいたしましても、十年の歳月を経てようやく着工の運びとなったものでありまして、これが早期完成と洪水調整施設の完備についての努力を怠るなどが、今日の災害の最大の要因であるといわなければならないのであります。すでに現地踏査報告が行なわれ、稻葉代議士の質問にもありましたように、その規模と深刻さは、全く涙なしには語り得ないところであります。水稲単作地帯にあって、冬季間妻子と別れて遠く出かせぎに出ており、雪解けを待って農耕に従事し、いまや出穂の様子を胸をふくらませながら待ち望んでいたやさきの災害であってみれば、農民の心情まことに察するに余りあるものがあるのであります。
さて、質問の第一は、激甚災害指定の緊急実施でありますが、この激甚災害法は、災害復旧に際して大きな役割りをになうものであり、その指定を受けることはまことに切実なものであります。今回の新潟県内の被害のみで百四十億に達し、さらに増加の実情にありますので、緊急に激甚災害法の地域指定を行なうべきものと考えますが、政府のお考えを承りたいと思います。
なお、この指定の手続でありますが、何回もの調査、審議を経なければ決定されません。そのために、ネコの手も借りたいような被災地において、復旧の先頭に立たねばならない行政機関の責任者が、政府に対しての陳情に労力をさかねばならないことは、まことに遺憾千万といわなければなりません。政府は、この指定制度を改正し、一定の基準を定めて、具体的に発生した災害は自動的に認定され、それによってすみやかに援護措置を実施せられるようにすべきであると思うが、政府の見解を明らかにしていただきたいと思うのであります。
次に、このような惨事を再び繰り返さないために、政府はいかなる施策をお考えでありますか。国民は、忘れていても、災害はやってこない、天災が起こっても被害を受けないで済むことを期待しており、また、それが災害常襲国といわれる政府の責任でもあり、災害の防止は政治の力で解決できないものではありません。特に河川はんらんによる大災害の続発を見るとき、強調されておる治山治水対策はどうなっているか、まことに憂慮にたえないものがあります。この治山治水の根本対策の確立を質問するとともに、いまだ対策の及ばざる地域において災害が発生した際には、当然、国の責任において復旧、補償を行なうべきものと考えますが、とのような災害防止に対する国の責任を明らかにしていただきたいと思うのであります。
次に、最近の集中豪雨の被害を見ると、小河川の被害が激甚をきわめていることは御承知のとおりであります。ただいま建設大臣からもお話があったわけでありますが、したがって、小河川の改修をすみやかに行なわねばなりません。その緊急性にかんがみ、補助率の引き上げが必要とされております。政府は、この補助率を引き上げて小河川の改修を促進する意思ありやいなやをお伺いいたしたいと思います。
また、復旧工事については常に改良復旧が要請されているにもかかわらず、必ずしもこれにこたえておらないのであります。災いの中から二度と悲しみを引き起こさないことが政治の責任であります。万全の防災対策を確立し、災害発生に対してはすみやかにあらゆる手だてを講じ、あたたかい救いの手を差し伸べることが政府の具体的施策であります。そのためには、現行の激甚災の財政援助を大幅に改善し、対象事業の範囲を、緊急砂防、民間家屋等への流入土砂の排除にまで広げ、国庫負担率あるいは貸し付け金の引き上げ等が行なわれるべきものと考えますが、政府の見解を明らかにしていただきたいと思うのであります。
さらに、災害を受けて最も塗炭の苦しみをさせられるのは、個人の被災者であります。ところが、これらの被災者に対する国の援助は、はなはだ薄いものであります。被災者はまさに災難としてあきらめねばならないほど、封建時代と変わりないほどの実情にあるのが、今日の災害援助の実態であります。個人被災者に対し、自立更生がすみやかに行なわれるよう、見舞い金、弔慰金の支給、医療費の一定期間の無料支給、生活資金の貸し付け等が、国の責任によって行なわれるべきでありますが、政府はいかなる対策をお考えになっておられますか、お伺いいたします。
次に、今回の新潟県下の集中豪雨は、十五市町村にもまたがる広範囲な地域に被害を出し、地方財政に著しい負担をもたらしているので、県及び当該市町村の当面の資金繰りのため、地方交付税の繰り上げ交付を行なうべきものと思いますが、大蔵大臣の御所見を伺いたいと存じます。
また、今回の災害は、日本の穀倉地帯といわれる米作地帯に起きた災害であるため、農林、農地関係の被害がその大半を占めているが、被災農民の生活を守り、生活の基盤である田畑の復旧を一日も早く行なうよう、政府に対し次の事項を要望し、政府の考えを承りたいと思います。
まずその一つは、壊廃した農地の復旧を、明年の作付を可能ならしめるよう農民に約束をすること。その二は、被災農民のため、堤防復旧工事等の土木工事を特別失対事業として行ない、農業所得を失った農民に現金収入を確保することでありますが、ただいま総理もこれに賛意を表しておられます。これをから手形に終わらないように特に要請をいたしたいと思います。三は、農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金及び自作農維持創設資金等の貸し付け条件の緩和を行なうと同時に、すでにこれらの資金を借り入れている被災農民に対し、償還条件の緩和など、特別の措置を講じ、さらに、米穀予約申し込み農家の概算金返納に対する特別措置を講ずべきであります。また、農災法による保険金の概算払いの手続につき、すみやかに対策を要望するものであります。これについては、農林大臣の所信のほどを承りたいと存じます。
緊急措置として、飲用水並びに食料品、衣料品など、豊栄町をはじめ、孤立しておる町村、部落に対する給与が行き届いておらない実情でありますが、非常事態に対しては非常の手段をもって対応すべきであり、すみやかに手配するとともに、排水後の防疫措置など万全を期せられるよう、強く要請をいたします。
最後に、佐藤総理にお伺いいたしますが、いつも、災害の直後には、担当大臣をはじめ政府も積極的な姿勢を示しておるのでありますが、最後には、公共事業に対しては通り一ぺんの対策が行なわれ、個人災に対してはほとんど見るべき施策がとられないで終わるのが実情であります。特に今回は対策本部の設置もしないまま、冷淡さを示しておるのであります。少なくともわが国のような高度に発達した国家としては、個人災に対して何らかの救済措置をとるべきものと考えられるのでありますが、これに対する所信のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わる次第でございます。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕