熊崎正夫の発言 (社会労働委員会)

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○熊崎政府委員 私の前の局長の名前が出ましたので、保険局長として御答弁申し上げたいと思います。
 当時の制限診療撤廃という表現でございますが、これはいろいろと当時のいきさつがございまして、御存じの方も多いと思いますけれども、古井厚生大臣のときに総辞退という問題が起こりまして、それで引き続き灘尾厚生大臣が御就任になりまして、当時の医療保険の混乱を収拾したいということで、医療懇談会という会談を約一月持ちまして、これには大臣みずから毎日御出席になりまして、保険問題を今後どのように収拾していくかということに努力をされたのであります。そのときに、医療担当者代表の方には、当時の医療界の長老の先生——学者の方でございますが、その方も直接出られまして、現在の医療保険につきまして、いろいろと治療方法あるいは薬の使用について制限が多過ぎる、保険制度につきまして全部の医療機関の方々が非常に協力しがたい理由もこれが大きくあるのだ、この点を考えていくためには、新しい治療方法なり新しい薬ができた場合には、直ちに採用できるような形態にすべきであるというふうな事項も、懇談会の了解事項としてはっきりうたわれまして、保険というものについては明らかに制限があるという考え方を、その懇談会を契機といたしまして、制限を撤廃していこうというふうな話が当時としてはにわかに高まったわけでございます。その政治的なあるいは行政的な背景をもとにいたしまして、当時の保険局長といたしましては、やはり保険医療には、いままでの制限的なものはこの際やめていくほうが適当ではなかろうか、それが新しい医学、薬学の進歩に対応していく保険の歩むべき道であるというふうに考えられまして、それで制限診療を撤廃していくというムードを打ち出したわけでございます。
 ところが、そのムードに直接乗りまして、当時抗生物質の使用基準あるいは副じん皮質ホルモンの使用基準等につきましては改正をいたしておりませんでしたのを、抗生物質につきましても大幅に使用基準を変え、また副じん皮質ホルモンの使用基準を制定いたしまして、それで制限診療撤廃ムードというものが一そうかき立てられた。ところが、これは抗生物質なりあるいは副じん皮質ホルモンだけのムードだけではないわけでありまして、一般的に保険の問題につきましては、医療機関が支払い基準に請求した場合に非常に点数の削減が行なわれる、これがおかしいではないか、点数の削減は行なうべきではないというふうな考え方が、全国にも大いにびまんしたのでございましょうか、それからあと、いろいろと各県の医師会においてお互いに相談をして、保険点数の請求の引き上げ運動と言ったら適当でないかもしれませんが、ある程度引き上げていこうというふうなムードが出てまいりまして、それで、ただいま医療保険部長が言いましたような医療費のはなはだしい増高を来たした、こういうことがいきさつでございます。
 したがいまして、そういう個々のお医者さん、あるいは各県のお医者さんと言ってもいいかもしれませんが、そういうお医者さん方が、ひとつこの際、たとえば外来診療については、従来はその程度で請求はよかったのを、もう少しふやしていこうというふうな形になった場合には、これは支払い基金におきましてもなかなか査定はできません。また、そういう一つの機運に対しまして、これをあらかじめ予測するとかなんとかいうことは、現在出来高払い制度をとっておる限りにおいては、行政当局としては非常に把握しにくいということは御了解いただけるのじゃないか、こう思っておるわけであります。

発言情報

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発言者: 熊崎正夫

speaker_id: 15975

日付: 1967-07-05

院: 衆議院

会議名: 社会労働委員会