河野正の発言 (社会労働委員会)
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○河野(正)議員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました駐留軍労働者の雇用安定に関する法律案の提案理由並びにその骨子について、御説明申し上げます。
御承知のように、この法律案はわが党から数回にわたって提案いたしてまいったものでありますが、残念ながら成立を見なかったのであります。しかしながら、日本社会党が再三再四にわたってこの法律案を提案いたします理由は、この法律案が駐留軍労働者の雇用の安定と生活確保のために、必要欠くべからざるものと判断しているからであります。
これまでも強調してまいりましたが、駐留軍労働者の地位はきわめて不安定であります。三十九年には、アメリカのドル防衛政策とその戦略変更によって、五千人をこえる労働者が解雇されました。また四十年においても約二千人に近い労働者が離職するなど、毎年数千名にのぼる労働者が予算の削減や部隊の統廃合などの合理化によって離職せざるを得なくなっているのであります。しかも、これらの離職者のうち、再就職したものはわずかその三〇%前後にすぎず、その他の者は、なお安定した職場を得ていないというのが実情であります。
この一事をもってしても、駐留軍労働者の雇用がいかに不安定であるか明らかだと思いますが、日本社会党といたしましてはぜひとも、緊急にこれらの労働者の雇用安定をはかる必要があると考える次第であります。
特にこれらの労働者は米軍のもとで働いているものでありますが、その雇用については日本政府が雇用主であります。したがいまして、これらの労働者がもし米軍の都合により解雇されました場合には、日本政府がその再雇用の責任を持つのが当然だと考えるのであります。
しかも米軍基地は、日本政府の意向とはかかわりなく、アメリカ政府の軍事戦略によって、変更、移動または廃止される地位にあるのであります。したがいまして、駐留軍労働者の職場は、いつ、いかなる事由によってなくなるかわからないという特殊性、不安定さを持っているのであります。この点こそが、一般産業の雇用問題と根本的に相違するところでありまして、そこに、駐留軍労働者の雇用安定策の必要性が存在するのであります。
日本社会党は、以上のような理由から、特にこれらの労働者の雇用について法的保障が必要と考え、駐留軍労働者雇用安定法案を提案いたしているのであります。
次に法律案の概略を御説明申し上げます。
第一に目的では、米軍の撤退等に伴って解雇される場合には、安定した職場への再就職を容易にするための必要な措置を講じ、これらの労働者の雇用の安定をはかろうといたしているのであります。
第二に、本法案によって保護される駐留軍労働者の範囲は、もっぱら政府雇用労務者だけを対象といたしております。
第三に、防衛施設庁長官がアメリカ軍の撤退等の場合に余剰となった労働者を解雇しようとするときは、労働大臣の同意を得なければならないことといたしました。この場合に労働大臣の同意は、解雇されようとする労働者が安定した職業に再就職することが確実である場合にだけ許され、かつ、その同意はあらかじめ駐留軍労働者雇用安定審議会の意見を聞かなければならないことといたしております。さらに、同意を得ないでなされた解雇は無効であることを確認的に規定いたしております。
第四に、雇用計画についての規定は、アメリカ軍の撤退等による余剰の労働者を転職させる計画の作成義務を労働大臣に負わせ、これには解雇制限を受けた労働者についてだけでなく、将来予想される余剰労働者についても雇用計画に織り込むことといたしております。
第五に、転職促進の措置の実施を規定し、職業指導、職業紹介、公共職業訓練その他の措置が効果的に関連して実施されるような義務を労働大臣に義務づけました。
第六に、労働大臣の不同意にかかる労働者に対する措置を規定し、解雇制限を受けた労働者にはそのすべてに対して転職促進の措置を必ず受けさせる義務を課すことといたしました。
第七に、駐留軍労働者雇用安定審議会に関する事項を規定いたしました。
以上が、駐留軍労働者の雇用安定に関する法律案の提案理由とその骨子であります。何とぞ慎重審議の上、本法案の御採決をお願いするものであります。