森義視の発言 (農林水産委員会)
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○森(義)委員 供給力の増大、いわゆる確保のためにはいろいろなファクターがあるのですが、その中で、あちらへ飛んだりこちらへ飛んだりしますと、時間的に何も得られなかったということになるので、私は、いま労働力にしぼってちょっとお尋ねをしておるわけですが、これは長官、労働力の確保の問題については、いま長官の考えておられることは、林業基本法ができてから三年間の間何一つとしてやられておりませんし、今日までも、そういうお答えのような、労働力確保のため、あるいは養成のための政策というものが、何ら実を結んでおらないわけです。実はこれは林野庁からもらった資料ですが、現在の「年令階層別林業就業者数と同比率」、この数字は出かせぎ農民のあれを含んでおりますので、専業労働者の年齢よりも比較的若い層がかなりな比重を占めております。しかし、これによりましても、いわゆる二十五歳以下の林業労働者というのは、昭和四十年度において一〇%です。逆に六十歳以上の林業労働者も一〇%です。一番多い層としては三十五歳から三十九歳というのが二八%でございます。これはいわゆる農閑期の出かせぎ農民に、都市に行く出かせぎ農民と山村に行く出かせぎ農民とがある。その出かせぎ農民の青年層を入れての数字で、現状の林業専業労働者の年齢ではありません。林業専業労働者の年齢が毎年一年ずつ伸びていって、奈良県の林業地帯において平均年齢四十四歳である。こういう実態数字を見ながら、今後の日本の林業の需要の拡大に伴って供給力を伸ばしていく場合にどうなるのかということについて、ほんとうに心配をしているわけなんです。十年先には山村は養老院のようになってしまう。これはもう厳然たる事実であります。奈良県では十津川という村がありますが、あそこの高等学校の卒業生に何とかして村に残ってもらおうと思って、村長以下かけずり回ったが、女子の卒業生が一名役場の職員に採用されただけである。あと全員離村であります。こういう実態の中でいま機械化が進んでいく。その中で、機械を駆使して若年労働者が住みつけるような山村地帯にし、その機械化による労働生産性を高めることによって、需要の拡大に供給力が見合うような体制をつくっていこうということは、私は、それは文字どおり現状を知らない人の言うことだと思うのです。
そこで、一つ具体的にお尋ねいたしますが、社会保障の問題について、林業労働者が今度の失業保険法の一部改正の中からもはずされております。いま林業労働者が社会保障の問題で恩恵を受けておるのは、国有林を除く民有林の労働者の中で恩恵を受けておるのは、いわゆる労災保険だけであります。この労災保険の恩恵を受け、その中で、なおわれわれ奈良県のように、労働者の組合をつくって、失業保険、あるいは健康保険、あるいは中退法の適用等によって、何とかして山に労働者が残るような努力をしておりますが、その中で奈良の昨年一年間における林業労働者の負傷者は千三百名です。七名死んでいるわけです。これはもう奈良県における労働者の災害率の最高であります。組合があって、安全の問題について指導員をつくってせっかくの努力をしておる中においてすら、年間千三百名の負傷者が出、七名の死亡者が出ておる。
〔倉成委員長代理退席、森田委員長代理着席〕
こういう危険な労働の中に社会保障の他の面がほとんど適用されておらないというのが現状です。これは長官も御承知のように、林業というのは気候に非常に影響を受けるわけです。雨が降れば山へ行けません。雪が降れば山へ行けません。おそらく年間林業労働者が稼働する全国平均というのは、百五十日ないし百七十日だと思います。そこで、かりに日給二千円としまして、百五十日で年間三十万です。失業保険は何もない。そしてけが人がどんどん出てくる。健康保険がない。そして、いわゆる退職金的な、あるいは老後保障的なものが何もない。こういう環境において現在働いておる山林労働者の実態というものに対して、これから社会保障を拡充して、山林にも機械を駆使する若い労働力が安定して生活できるような条件をつくり上げていくんだとおっしゃるが、それでは、具体的にどの面からそういう問題について取りかかろうといま計画し、決意をしておられるのか。長官の先ほどのおことばでは、いろいろなことをやりたいとおっしゃっておられますが、これはいつの場合においても言っておられるわけだ。しかし、一つもその問題について成果があがっておりません。林業基本法ができたときに、私は、初めて林業労働者として位置づけられたんだ、いままでおまえたちは産業労働者じゃなかったんだ、いわゆる森林法のもとにおける日本の国土保全の公務員であったのだ、いわゆる召使いであったのだ、ところが、林業基本法ができて、ようやく林業が産業的見地からとらまえられることによって産業労働者になったのだから、都市産業労働者と同じ社会保障の恩典を受けられるんだからしばらくしんぼうしろということで、林業労働者に話をしてまいりました。しかし、あれからすでに三年たちます。ところが、林業基本法にうたわれておる林業労働者の社会保障の拡充の問題について、林野庁から何の具体的な施策もいまだ聞いたことはありません。また、こういう計画をしておるということも聞いたことがありません。そういう実態を放任しながら、いまのような機械化によるところの労働の生産性から換算をして、労働力が昭和九十年には現行の労働力の八〇%で充足されるんだというふうな数字を出されますと、どうしても私どもは納得できないわけなんです。この点について、具体的にいつどういう方法で林業労働者にこういう程度の社会保障の確立をやるんだということについて、林野庁に案があるならば長官から明確にお答えをいただきたい。