早川崇の発言 (社会労働委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○国務大臣(早川崇君) ただいま議題となりました炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
炭鉱災害による一酸化炭素中毒症につきましては、昭和三十八年の三井三池の災害以来、とみに一般の関心が高まっておりますが、その後も昭和四十年における北炭夕張、山野炭鉱のガス爆発等大規模な炭鉱災害が続発し、これにより重篤かつ多数の一酸化炭素中毒患者の発生をみたのであります。政府としましては、かかる炭鉱災害の防止に十全の努力を払うとともに、災害発生に際しては、被災労働者に対する救急対策と災害補償に万全を期してまいったところでありますが、特に炭鉱災害に際しては、著しく多数の一酸化炭素中毒患者が発生し、しかも、重篤な精神神経症状を呈する者が多いことから、昨年の通常国会におきましては、一酸化炭素中毒症について何らかの特別な立法措置が必要ではないかとの論議が行なわれ、参議院社会労働委員会におきまして、「政府は、一酸化炭素中毒被災者援護措置について、差当り炭鉱労働者に限り、今後一ヶ年以内に立法措置を講ずるよう努力す」べき旨の決議が行なわれたのであります。政府といたしましては、かかる経過等にかんがみ、昨年十月、労働者災害補償保険審議会に対し、一酸化炭素中毒症に関する特別措置について諮問し、去る五月十六日答申を得たのでありますが、さらに社会保障制度審議会にも諮問の上、ここに炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案を提出いたした次第であります。
次に、この法律案の内容につきまして、その概略を御説明申し上げます。
第一に、この法律の適用範囲につきましては、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に限定しております。炭鉱災害に限った点につきましては、労働者災害補償保険審議会の答申においても、一酸化炭素中毒症が炭鉱において特に多数発生し、かつ、重篤な者が多い等の特殊事情及び国の石炭政策等にかんがみ、この際は、炭鉱における一酸化炭素中毒症に限って措置するのはやむを得ないとしておるところであり、また、さきに申し上げました参議院社会労働委員会における決議の趣旨をも考慮して措置することとした次第であります。
第二に、使用者及び労働者に対し、一酸化炭素中毒症の防止について適切な措置を講ずるよう努力すべき旨の努力義務規定を設けることといたしております。炭鉱における一酸化炭素中毒症の防止につきましては、現在、鉱山保安法等において所要の定めがなされているのでありますが、さらに労使の自主的努力なくしては実効を期し得ないものであることにかんがみ、その趣旨を明文で定めることにしたのであります。
第三に、使用者に対し、一酸化炭素中毒症に関する特別の健康診断の実施を義務づけることとしております。健康診断については、現在、労働基準法におきましても、所要の規定を設けておりますが、本法案におきましては、さらに一酸化炭素中毒症に関する災害直後の健康診断を義務づけるとともに、原則としてさらに二年間、定期に一酸化炭素中毒症に関する特別の健康診断を実施すべきこととしております。
第四に、一酸化炭素中毒症にかかった者に対する介護料の支給についてであります。炭鉱災害の被災者につきましては、もとより労働者災害補償保険法により、療養補償をはじめ、必要な災害補償が行なわれるのでありますが、一酸化炭素中毒症にかかった者のうちには、重篤な精神神経症状のため、家族等による特別の介護を要する者が少なくないので、その実情に応じ、特別の援護措置として一定の介護料を支給することとしたのであります。
最後に、一酸化炭素中毒症がなおったと認められた者につきましても、その特殊な症状の推移から、必要と認める場合にはアフターケアとして所要の措置を講ずることとしております。
なお、この法律の施行期日につきましては、健康診断の方法等について専門家の意見を徴するための期間をも考慮し、公布の日から起算して九十日をこえない範囲内において政令で定める日といたしております。
以上、この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。