三原朝雄の発言 (石炭対策特別委員会)

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○三原委員 北海道班を代表いたしまして、私から報告いたします。
 北海道地区に参りました派遣委員は、委員長の多賀谷真稔君、自由民主党の鹿野彦吉君、三原朝雄、日本社会党の井手以誠君、八木昇君の五名で、それに現地より、自由民主党の篠田弘作君、日本社会党の岡田利春君、渡辺惣蔵君、民主社会党の小平忠君が参加され、九月二十五日から二十九日までの五日間にわたり、北海道地区における石炭事情を調査してまいりました。
 まず、初日は札幌におきまして札幌通産局、札幌鉱山保安監督局、道及び道議会、産炭地市町村大手の石炭協会、中小の石炭鉱業協会、道炭労、道炭職協等と懇談を行ないました。
 通産局、鉱山保安監督局からは、北海道における石炭鉱業の概況と保安対策について説明があったのでありますが、特にその中で労働力の不足によって生産の確保がむずかしいので、緊急対策として、保安の確保、高賃金、環境改善の必要があるとの説明が注目されるところでありました。
 道庁よりは、産炭地振興関係と離職者対策での要望があり、産炭地市町村からは、産炭地市町村の財政援助等について要望が出されました。
 石炭の労使では、大手の使用者側からは、需要確保対策、資金、経理対策(特に中小企業金融公庫が開銀並みに石炭の融資ワクを設定されたい)、
労務者の確保対策としては募集対象区域制限の緩和、職業安定所の炭鉱への優先紹介、坑内労働の制限年齢の引き下げ、現行移住資金制度の不合理の是正、炭鉱住宅改造、改築費の助成、医療体制の充実等を中心に労働力の確保策について要望があり、中小の使用者側は、大手と中小が石炭政策の中で差別されておるので公平な政策を望むとし、安定補給金の二百円に増額、中小炭鉱金融、租鉱の買い上げ、鉱員確保策等について要望があったのでありますが、特に会長の私見として企業合同の必要性について強い意見が出されました。
 道炭労は、石炭の将来に夢を与えてほしいとし、保安の確保と雇用の安定、炭鉱の福祉、文化施設の充実、若手労働者の確保策としての道立鉱山学校の設置等について要望し、道炭職協からは、四十二年度予算における石炭鉱業自立安定費の拡大、労働力の確保(賃金の引き上げ、生活環境改善、鉱山学校の設置と資格付与)、保安教育施設の拡充と保安監督の強化等を中心に要望がありました。
 二日目は、三菱南大夕張の新鉱開発と北炭夕張に参りましたが、南大夕張は、原料炭の新鉱開発を行なっており、四十四年度から出炭を始め、四十八年度に九十万トンを出炭することを目途に、目下開発中の炭鉱でありますが、ここでは会社側からは、労働者の道外募集の認可、職業紹介の炭鉱優先、移住資金制度の改正、炭鉱住宅への助成、
医療関係の充実、炭鉱労働者の最低年齢の引き下げ、北海道炭の手取り増対策、鉄道運賃の通算制の延長等について要望のほか、特に開発資金の確保策として、新鉱では開発資金を集中的に必要とするので貸付ワクを拡大し坑道には新鉱であるという点を加味した坑道掘進補助金を適用してほしい旨の要望がありました。
 労職組からは大夕張も含めまして、厳寒僻地の土地であるので、外便所、外水道の炭住を早急に改善し、炭鉱病院のみで公立病院のない大夕張地区に、医療施設の充実をはかり、炭鉱災害の遺族援助は国で行なってほしいとの要望がありました。
 北炭夕張では、会社側からは、炭層が褶曲しており、ガスの発生が多く、採炭が深部化しておるので、ガス抜きの投資も多く、坑道掘進が全般的におくれておるので生産減となっており、原料炭需要の多い時期に生産が減退しておることは遺憾であるとし、四十七年度の清水沢の新鉱開発を強く期待しておりました。
 労組からは、労働者の定着策と清水沢の新鉱開発の助成のほか、特に夕張二坑の中央に排気立て坑の実現を保安面から要望されましたので、再び会社側に会いその点をただし、保安には万全を期するように要望し、会社、労組、札幌鉱山保安監督局に、それぞれ文書で本問題の解決策を本委員会あてに提出するように要請してまいりました。
 三日目は、中小炭鉱で暖厨房用炭を主力としておる朝日炭鉱と、原料炭を中心とする住友赤平に参りました。朝日炭鉱は年間十二万トン規模の出炭で、四十四年に十二万トンベースとなる典型的な中小炭鉱でありますが、炭層はほぼ垂直で、坑内条件もよい炭鉱でありまして、需要面も一応安定しており、労使ともに特別の要望もなかったのでありますが、中小炭鉱対策の充実と労働力の確保策はここでも要望されたところであります。
 住友赤平では、会社側からは、坑内条件が悪く、自然発火の可能性が多いため、保安対策上、岩石坑道、ガス抜き、通気、炭じん対策等の投資が多いのに加え、石炭の輸送費が割り高であるので、流通血の合理化について要望があり、また他の炭鉱同様、労働力の確保策についても要望がありましたが、ここでは優秀なる鉱業学校を持ち、若年労働力の確保に努力しておることが注目されました。
 労職組からは、原料炭の価格体系の再考と大手への安定補給金の交付を内容とした原料炭の生産拡大対策、賃金のアップのワク撤廃等、労働条件の向上、住宅改善と一万円年金等の雇用安定策、保安行政、監督官の増員等保安の確保について要望がありました。
 四日目は、明治昭和、雨竜、太刀川の二鉱の労使と沼田町で懇談し、その後留萌市産業会館、留萌港の石炭焔頭、羽幌炭鉱に参りました。
 明治昭和、雨竜、九州鉱山大刀別の三鉱はともに空知の北部沼田町にあり、三鉱で年間、五十万トン余の出炭をし、そのほとんどが電力用炭であります。ここの三鉱はともに地理的条件が同じであるため、要望も同趣旨であり、沼田町、三鉱の労使から次の要望がありました。
 一、地理的条件からトラック輸送が最適であるので、輸送路の道路の整備と除雪対策(特に久、期の輸送確保のため)
 一、多雪寒冷地区であるので、特に外科医等医師の確保と医療施設の充実
 一、留萌港の北炭貯炭場使用許可(トラック輸送の場合の使用許可)
 一、国鉄恵比島駅に、業者負担によらない石炭積み込み用ホッパーの設置の四点であります。
 留萌市における陳情の中で特記すべきは、小平町であります。小平町においては、住吉、日新、福久の三鉱が相次いで閉山し、同町の石炭産業は終末をつげたのでありますが、炭鉱の閉山に伴い天塩鉄道も閉鎖をし、その影響を受けて、石炭の町であった同町の財政もきわめて逼迫しておるのが実情であります。そのうち、特に、学校の建設に要した起債が、炭鉱の閉山に伴い学校施設の休遊とともに残り、町の財政収支に大きな負担となっております。また、鉄道の閉鎖に伴い、通学の高校生の交通費が過重負担となったための助成等が必要となり、炭鉱に依存する町の閉山は、町の死活につながる社会問題でありますので、これら財政の再建策について強い要望が出されたのであります。
 留萌の港湾整備は、現坂の石炭積み出し施設二百万トンを、四十五年度までに三百万トンに拡張整備しようとするものであります。
 羽幌炭鉱においては、会社側からは、特に出炭量が多いということで、中小の系列に入っておりながら、安定補給金の交付を受けられなかったので、その交付を切望し、電力用炭が中小系列のため大手に比して低いので、値差を撤廃していただきたい等の要望があり、労職組からは、炭住が数戸建てのハーモニカ長屋であるので、隣室の会話等がみな聞こえるので、種々生活上の不便が多く、その改築改造の融資、補助を中心に、医師の補充と医療関係の充実、炭鉱従業員に対する所得税減免措置等について要望がありました。
 以上、名所における要望点のおもなるものを列記したのでありますが、北海道における石炭の概況について申し上げますと、北海道の炭田は石狩炭田を中心として、北に天北、留萌炭田あり、東に釧路炭田、西に茅沼炭田があり、埋蔵量は、全国の四八%に当たる百億トンといわれ、そのうち、石狩炭田は日本最大の炭田で、埋蔵量は五十八億トンもあり、炭質優良で開発の歴史も浅く、将来の増産が期待されるところでありますが、現在稼行中の炭鉱は第三紀層の瀝青炭がその大部分を占めている関係上、可燃性ガスの発生量がきわめて多く、九州の四倍にもなっております。
 炭層は摺曲が多く、また断層も多く見られ、急傾斜層を採掘する結果、炭の軟化、粉化度が大きく、炭じんの発生が多いのであります。
 鉱山は山間僻地の採炭が多いため、鉱害の発生は少ないのであります。北海道においては、このような条件のもと、昭和四十一年度においては、生産量が二千二百九十六万トンで、全国の四五・四%を占め、常用労働者は四万三千五百六十五人、能率は四十五・五トン、エネルギーの消費構成は、石炭が過半数の五〇・六%を占め、石油が二五・一%、水力一四・四%となっております。
 これが四十二年度の見込みでは、生炭量が二千百六十万トン、労務者が四万人を切りそうであり、能率も四十一年度の四十五・五トンをわずかではありますが下回るものと想定されております。
 もちろんこの減産の原因は、坑内夫千四百人、請負夫九百人という労働力の不足に起因することは明らかでありますが、北海道における石炭問題を要約すれば次の諸点であろうかと思います。
 第一に労働力の確保対策であります。労働力の不足は北海道に限ったことではなく、斜陽を叫ばれておる石炭産業全般の問題でありますが、特に五千万トンの維持を旗じるしとして再建に乗り出したわが国石炭産業にとっては、ゆゆしき問題であります。
 近来の石炭産業を見るに各社ともに、労働力の不足が原因となって生産が減退しつつあり、需要の多くなりつつある原料炭にその弊が多くあらわれておることは、石炭の将来を暗くし、労働倒産すら懸念されるところであり、早急にその確保策が望まれるところであります。北海道の石炭鉱山はほとんどが僻地にあり、しかも酷寒の地にあります。それにもかかわらず、医師の不足に起因する医療施設の不備といまだ外便所、外水道の炭住が多く、しかも賃金は他産業に比し劣悪であり、毎年七%のアップより認められない政策賃金であります。これでは若年労働者ならずとも、労働者の確保は困難であろうかと思われます。
 労働力の確保策の第一は、まず石炭産業の将来に夢を与えることであり、石炭の位置づけを明確にすることであります。
 第二は、保安対策に万全を期し、炭鉱災害に対する恐怖感を払拭することであります。
 第三は、外使所、外水道等の前近代的な炭住を改造改築するとともに、医療問題等は、人道上の立場からも国の強力な施策で、その充実をはかり、労働環境の改善を行なうことであります。
 節附は、賃金についても労働者をつなぎ得る賃金とし、年金についても一万円にする等その改善を行なうべきであります。
 第五は、政府の関係でありますが、道外募集を認めるように行政基準を改善し、職業紹介や移住資金についても、他産業への移住が有利となっておる現行制度を改めて、再就職に有利になるよう、制度の是正が望まれるところであります。
 問題の第二は、保安対策についてであります。
 北海道においては、傾斜層の採炭とガス、炭じんの発生が多いため、特に保安対策に重点を置かなければなりません。保安確保は事、人命に関する問題でもありますので、すべての対策の基盤をなすべきであることは言うを待ちませんが、特にガス抜き徹底、傾斜採炭の機械化、後退式の坑道掘進、監督官の増員、保安教育の徹底等が必要とされるでありましょう。
 第三は、流通機構の整備であります。
 北海道におきましては、昭和四十五年度には雑炭を入れまして二千七百万トンの出炭が予想される反面、道内の需要が減退いたしますので、北海道炭の需要拡大のためには道外への輸送コストの低減等、流通価の考慮が必要となってまいります。そのためには、流通の共同化、スラリー輸送の実現、港湾の整備、石炭専用船の建造等流道面の合理化が早急に行なわれなければなりません。
 第四は、鉱区調整ないし再編についてであります。
 鉱区の訓整については、名企業とも最近、前向きの姿勢で取り組んでおり、今日までも相当の効果をあげておりますが、いかにせん部分的な鉱区調整が大部分でありますので、地下資源の有効利用と石炭産業の合理化という大乗的見地から、この際相当大規模な鉱区の再編を考える必要があり、その推進、が望まれるところであります。
 その他もろもろの問題がありますが、それらは別の機会に譲ることとし、以上をもちまして、簡単ではございますが、報告を終わります。

発言情報

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発言者: 三原朝雄

speaker_id: 5419

日付: 1967-10-11

院: 衆議院

会議名: 石炭対策特別委員会