小平忠の発言 (予算委員会)

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○小平(忠)委員 私は、民社党を代表し、ただいま提案されております昭和四十二年度一般会計補正予算案、特別会計補正予算案、政府関係機関補正予算案の三案に対し、一括して反対するものであります。
 現下の日本経済を取り巻く環境は、内外ともにまことに多事多難であります。景気過熱による金融引き締めの措置、依然として高騰する消費者物価、顕在化した財政硬直化問題、さらにはイギリスのポンド切り下げ、世界的高金利時代の到来などがそれであります。これらが対処の方向を万一誤るならば、わが国経済、ひいては国民生活に与える悪影響は、きわめて大きいと断言せざるを得ないのであります。しかるに、本臨時国会を通じて明らかにされた政府の経済運営方針は、重大な環境の変化にもかかわらず、従来の政策に固執し、意欲的な経済改革案と対策を持たず、いたずらに当面を糊塗することにきゅうきゅうとしているのであります。
 その第一は、景気調整問題であります。政府は、国際収支の赤字に直面して、この九月に公定歩合の一厘引き上げ、予算の三千億繰り延べなど、一連の景気引き締め政策を打ち出しました。これはかって昭和三十二年三月、三十六年七月、三十九年三月の三回にわたって繰り返してきた道であり、まさにいつか来た道、不況の道であります。
 資本主義経済の最大の欠陥は、その無計画性、無政府性にありますが、今回の国際収支赤字を招いた最大の原因も、また従来の例に漏れず、民間設備投資の行き過ぎであります。民間設備投資は、政府の当初見通し一四・八%の伸びに対して、実に三〇%近い伸びが予想されているのであります。この設備投資の合理的、計画的調整こそ、わが国経済の最大の課題と言わざるを得ません。ところが、政府は、景気過熱のしわ寄せを公共事業の繰り延べ手段をもって社会資本に加え、金融引き締めによって結果的には中小企業に加え、さらには、先進国中最もわが国が比率において低いといわれる消費支出に対してさえ、その抑制をはかろうとしているのであります。ここに明らかに政府の大企業重視、国民生活軽視の姿勢を読み取ることができるのであります。
 わが党は、過去数回の、そしていままた、激しい景気変動を引き起こさざるを得ない資本主義の無政府性、民間設備投資の無計画性にこそ、根本的なメスを入れなければならないと考えるのであります。このため、法律に基づいた設備投資計画会議の設置、新しい設備投資調整税制の導入などを早急に確立すべきであります。
 第二は、依然として解決を見ない物価上昇問題であります。
 われわれがこの席において物価上昇の原因とその解決策を政府に追及して以来、すでに六年有余を経過しているにもかかわらず、何ら効果的な対策が持たれず、物価は上昇し続けてきたのであります。これほど政府の無為無策を示すものは他にありません。それどころか、本年初頭においては比較的安定してきた物価を、八月、九月、十月のわずか三カ月間に四・五%も高騰させた原因は、政府による一連の公共料金値上げ措置であります。政府主導型の物価上昇こそ、現在の物価問題の基本的性格であると言わなければなりません。
 健康保険料は八月から値上げし、消費者米価は三年連続して引き上げられたことは御承知のとおりであります。また、来年度には電報電話料、国鉄定期、たばこ、酒、消費者米価などの値上げがすでに既定の事実のごとく報ぜられているのであります。これら公共料金の値上げが物価上昇ムードをかき立て、その政策的波及が一般物価の便乗値上げを誘発せしめていることは明らかであります。物価抑制の衝に当たらなければならない政府が、みずから物価を引き上げて、どうして物価を安定させることができるでありましょうか。矛盾撞着もはなはだしいと言わなければなりません。
 現在、最も必要なことは、政府の断固たる物価抑制の政策を国民に示すことであります。そのためには、公共料金の一年間値上げストップと、消費者基本法をすみやかに制定すべきであります。異常事態に対しては異常措置をもって対処することはけだし当然であります。
 わが党が政府に対してきびしく反省を求める第三の問題は、財政硬直化対策についてであります。
 政府は、財政硬直化があたかも突如としてあらわれた問題であるかに見せ、国民に対し、増税、公共料金値上げか、さもなければ民主的支出の削減かという二者択一の道しかないと主張しているのであります。これは政府の責任回避もはなはだしいと言わなければなりません。財政硬直化のもとをただせば、歴代保守党による総花的放漫財政と、無計画にしてかつ安易な国債政策の導入にその原因があることは、いまや国民の常識的理解となっております。また、数年来の物価上昇が、名目的な財政の膨張をもたらしていることも明らかであります。まさに政府の無為無策を天下に暴露したものと言うべきでありましょう。
 しかるに、これが対策の犠牲を公共事業費、公務員給与費、社会保障費、地方交付税交付金などの削減、公共料金の引き上げなどに転嫁せしめんとする政府の意図は、断じてわが党の容認せざるところであります。
 まず政府が手をつけるべきことは、現在のむだと非能率が充満している行政機構を徹底的に改革することであります。ところが、今回の補正予算案におきましては、わずかに二百九十二億円の既定経費削減が行なわれているにすぎません。わが党は、行政改革緊急三カ年計画を作成し、計画的な人員配置公社、公団の整理統合、零細補助金の統廃合などを行なうならば、約五千億円の新規財源を確保できると確信しているのであります。
 次に、政府は、税の公平の原則を犯し、一部階級の利益だけに奉仕している租税特別措置を大幅に整理しなければなりません。これら改革を放置した政府の財政硬直化対策は、国民に苦痛をしいる何ものでもないと言わなければならないのであります。
 第四に、政府は、今回の補正予算案において、公務員の当然の権利である人事院勧告の完全実施をまた見送ったことであります。
 これに関連して、政府は、国家公務員の給与引き上げを物価上昇率に見合って当初予算で見込むことを検討しているのでありますが、これは人事院勧告制度を根本からくつがえし、ひいては公務員給与を抑制しようとするものでありまして、このような措置は、われわれの断じて認め得ないところであります。
 最後に、私は、新しい目的意識とそれを実現する新しい経済制度の必要性を強調したいと思います。
 硬直化したものは、財政のみならず、政治、経済、社会の制度もまた、戦後二十二年の間に硬直化してしまったのであります。生産力、経済成長第一主義の全般的風潮こそ、この二十年間国民の意識を支配し、硬直化してしまったものであります。しかるに、政治家が昨日解決した問題は、新しい情勢を生み、それがあすの問題をつくり出すのであります。
 それでは、政治家の新しい課題は何でありましょうか。国民福祉中心の政治と、それを可能にする経済の計画化であります。国民福祉を忘れた経済の計画化は統制経済であり、経済の計画化を忘れた国民の福祉は画餅にしかすぎません。二者相まって初めて現在の内外の諸情勢によく対処し、新しい目的を達成できるものと確信するものであります。
 これをもちまして私の反対討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 105705261X00619671215_249

発言者: 小平忠

speaker_id: 11712

日付: 1967-12-15

院: 衆議院

会議名: 予算委員会