佐藤榮作の発言 (予算委員会)

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○佐藤内閣総理大臣 いろいろな問題が起こりまして、ただいまのお尋ねの結論としては、エンタープライズはなぜ入ったかという非常に簡単なことのようでありますが、しかし、前提となります事柄について、まず国民の皆さんの御理解もいただきたいと思います。また、山本君はその点はよく御承知のことだと思いますが、いまのようなお尋ねだと国民に与える影響等もありますから、私はわが国の基本的方針、これを重ねてこの機会に申し上げてみたい。
 私どもは、自由を守り、平和に徹する、いずれの国とも仲よくするという、いわゆる平和国家としての日本、これを念願しております。その意味におきまして、平和憲法を守るが、しかし、平和憲法そのものが自衛権は否定しておらない、したがって、わが国は国力、国情に応じて自衛隊を持つということ、そうしてただいまの平和国家の安全を確保しようとしております。しかし、単独に日本だけでは安全確保できない、こういうことでございますから、ただいま日米安全保障条約を結んで、いわゆるアメリカの核の抑止力のもとに日本の安全を確保している、これがいまの現状でございます。また、日本を取り巻く国際環境、それはただいま御指摘になりましたベトナムというような戦争がございます。また最近は、日本海におきましてプエブロ拿捕事件など起こってなかなか騒然たるものもございます。しかしてベトナム戦争につきましては、いままでしばしば申しておりますように、日本は軍事的に介入は一切しない、これはもうはっきりいたしております。また、米国自身もベトナムの関係で、日本の本土において武器を調達するというようなことはございません。したがいまして、ただいま戦争が行なわれておることはまことに残念でありますが、このベトナム戦争に何もかも結びつけて解釈しようとする、こういうことは、実は政府は非常に迷惑であり、また、日本国自身も非常に迷惑なことだ、かように思いますから、ベトナム戦争とはひとつはっきり分けていただく。
 そこで、このエンタープライズがなぜ入ってきたか、日米安全保障条約、この条約によりまして、私どもは、日本の施設、区域をアメリカの艦隊が使う、いわゆる寄港する、こういうようなことについてはそれを許す義務がございます。したがいまして、当時の、エンタープライズが入ってきたときの国論、世論等を見ましても、これはどうも望ましいことではないが、ただいまの安全保障条約のもとにおいては寄港を認めざるを得ないという、こういう意見もずいぶん出ております。頭からこれは反対だという意見もありますが、さような状況のもとに行なわれておると思う。この点でエンタープライズが入ってきたことは、これはエンタープライズ自身が原子力を推進力にしておる。したがって、他の航空母艦と違うようでありますが、この推進力が原子力であるというだけの相違で、その他の点では航空母艦と同じような用途、目的を持っておるわけであります。したがいまして、一般の軍艦、航空母艦が寄港すること、それと同じでございます。そこで……(山本(幸)委員「それはいいのです。」と呼ぶ)いや、これらの点は一応よく説明しておかないと親切な答弁にならないだろうと思いますので、ひとつまあがまんしてお聞き取りをいただきたいと思います。
 そこで、日本に寄ってきた。そこで、これは一体どういうわけなのか。これは正式の書面でははっきり補給、休養、そのために寄港する、こういう書面で申し出てきております。これは私ども外交ルートでその書面をいただいておりますから、ただいまエンタープライズの艦長がどう言おうと、その目的ははっきりしておる。したがって、私はただいまのこのエンタープライズの艦長の一言そのものをとやかく申すことでなしに、私どもは政府として、アメリカから申し出たその書面によってその目的をはっきりさせればいい、かように私は考えております。

発言情報

speech_id: 105805261X00219680206_006

発言者: 佐藤榮作

speaker_id: 21117

日付: 1968-02-06

院: 衆議院

会議名: 予算委員会