北澤直吉の発言 (外務委員会)
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○北澤委員長 政府は、昭和二十七年に戦後の海外移住が開始されるとともに、財団法人海外協会連合会及びその後身である海外移住事業団を通じて、昭和四十一年三月末に至るまで、中南米移住者に対し、渡航費として総計五十四億五千万円余を貸し付けてまいりました。
中南米に移住された方々の総数は昭和四十三年末現在で約六万人でありまして、そのうち九〇%以上が農業に従事しておるものであります。
これら農業移住者の現状を概観いたしますと、政府及び海外移住事業団の諸援護並びに営農確立のための現地の融資等の措置にもかかわらず、いまだに定着安定の域に達していない方々も多いのであります。
以上のような点にかんがみまして、政府は、昭和四十一年に行なわれた海外移住事業団法の一部改正により、昭和二十七年四月一日から四十一年三月三十一日までの間に事業団に貸し付けた五十四億円余の渡航費貸し付け金債権を免除するとともに、同年四月以降は事業団に渡航費を交付することとし、事業団も移住者に対して渡航費を支給することに業務内容を改正したのであります。
しかし、法改正後も、渡航費貸し付け金債権は依然として事業団と移住者との間に残っておりますので、事業団はその回収に努力してまいりましたが、四十一年四月以降は、渡航費を全額支給していること、同じ移住地に渡航費を貸し付けられた人と支給された人が混在して不公平が生じていること、さらには移住者の中に経済的に良好でない人もいること等の理由によって、回収状況ははなはだ芳しくないのであります。
一方、それに伴って債権管理費の累積が無視できない事情にあります。
また、戦後、米国難民救済法の適用を受けてアメリカ合衆国に移住した三百八十八名に対し、政府は三千百八十五万円余を渡航費として貸し付けておりますが、すでにその九五%が回収済みでありまして、残余の分は回収見込みが立たない状況でございます。
よって、このような渡航費貸し付け金の返済という移住者の心理的負担と、四十一年の法改正による不公平を除き、かつ、経済的向上をはかり、もって移住者の営農定着を実現させるため、次のような法的措置を講じようとするものであります。
すなわち、本改正案の第一点は、政府は昭和四十一年の事業団法の一部改正の際除外されたアメリカ合衆国向け移住者のため事業団に貸し付けた渡航費貸し付け金債権約四百六十万円を免除するものであります。
第二点は、事業団は、移住者に貸し付けた渡航費貸し付け金債権を一括して免除するものであります。
なお、本法案に対しましては、過去に渡航費を返済した者との間に不公平が生じますので、これに対処する方法として、海外移住事業団が現在特別勘定に保管している回収金を移住者全体の利益になるように使用することが適当と思われます。
よって、このような観点から、移住者の団体を選定し、これに対し、基金として回収金を寄贈することとし、あわせて貸し付け金を返済した移住者に対しましては、右団体より感謝状を贈る措置をとりたいと存じます。
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