田上穰治の発言 (外務委員会)

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○田上参考人 お答えをいたします。
 第一点の三万円の罰金でございますが、今日は過料のほかに行政上の――秩序罰ということばは、学問的にはことばづかいがいろいろございまして、過料ということを秩序罰というふうに、内容ではなくて、むしろ刑罰の罰、処罰の形式についてそういうことばを使う場合があります。しかし、私どもは、先ほどから御質問もおそらくそのように伺っておるのでございますが、実質的な違法性よりも、形式的な手続の上において渡航先を追加しなかったという意味における義務違反というか、違法であるというように伺っているのでございますが、私といたしましては、大体そういうふうな考えでございまして、そういう意味で、反社会性が実質犯というほどの顕著なものではない。したがって、刑罰も軽くしなければならないということを申し上げたのでございます。秩序犯といったほうが正確でございますが、行政法上の義務違反、行政犯と申しますか、そういう意味において、刑罰は軽くしなければならない。けれども、過料でなければならないというふうには考えないのでございます。過料は戦前にはかなりございましたが、戦後はむしろその点において、罰金刑は必ずしも行政犯に対する処罰としてきびしいとは考えないのでございます。むしろ問題は、非常にきびしくおとりになると思いますが、それは旅券を将来において発給しない、発給を拒否するという効果が伴うことではないかと思うのでございます。それは先ほど私ちょっと初めに申し上げたところでありますが、この旅券発給拒否の現出として、旅券法十三条の一項に五つ列挙してございますが、その中で、いまの第五号あたりはもちろん重大であり、特にそういう比較的例外の場合ということが一応文章の中に織り込んであるのでございますが、第四号の、旅券法の罰則、二十三条違反の事実があった場合、これにはいろいろその違法性と申しましても、程度の差があり、しかも、それは一度二十三条によって罰せられますと、当然四号に該当するということになってしまって、あとで反省をしても必ずしもそれが旅券をもらえないような感じがするかと思いますが、私はそのように法文を見ないのでございます。旅券の発給または渡航先の追加をしないことができるという法文でございまして、これは必ず機械的に発給を拒否するという理由とは見ないのでございます。もしそのように具体的にこの法を適用するといたしますと、それはおそらくわれわれとしても法律の規定に合わないと思いますし、また訴訟の問題になれば当然裁判官のほうからも違った解釈が出てくると思うのでございます。つまり、この二十三条の規定に該当して刑に処せられた者については旅券を発給しないこともあるというのであって、常に当然旅券が発給されないというふうには読むことができない。ことに罰せられてから何年かたっておる場合、あるいはその違反の理由、事情によるのでございますが、たとえばただいま御指摘になっておる、中共に行く旅券を出してもらって、中共に渡航するためにわが政府から旅券を発給された者が、横すべり――このことばもあるいは不適当かと思いますが、渡航先を追加しないで北鮮に入ったということで、将来二十三条の規定によって罰せられるといたしますと、その次に今度はまともに北鮮に向けて渡航したいから旅券を出してもらいたい、こういう申請に対しては、また再度横すべりのおそれがあるということを考えましても、それは北鮮の問題ではなくて、この北鮮からさらによその国に無断で旅行するのではないか。こういうおそれがない限りは、北鮮に横すべりをしたという事実が直ちに北鮮向けの旅券の発給の拒否の理由にはならないのじゃないか、かような考えでございます。したがって、一応それは旅券発給申請においてはマイナスの事由として一つ計算には入るといたしましても、それだけで直ちに機械的に旅券の発給が拒否されるという結論にはならないし、またそう簡単に解釈をし、結論を出してはならないというふうに考えるのでございます。ただ、ほかの場合、たとえば同じく十三条の一号、二号、三号あたりのほうになりますか、かなり明白でありまして、おそらくこれに該当すれば、もう機械的に当然に発給されないという感じがするのでございますが、四号の場合はかなり幅が広いものでございますから、二十三条の規定に該当して何らかの形で処罰されれば、もう何か何年たっても旅券が発給されないような受け取り方、読み方もあるかと思いますが、それはわれわれのほうの解釈としては、そういう結論は十分警戒を要するし、また機械的にそのように判断することは誤りであるというふうに見ているのでございます。それから……。

発言情報

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発言者: 田上穰治

speaker_id: 10934

日付: 1969-07-03

院: 衆議院

会議名: 外務委員会