渡部一郎の発言 (外務委員会)
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○渡部委員 それではその問題はちょっと預かりにしまして、次に移ります。
旅券法の第二十三条、「左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」こうなっております。また、同条の二項では「次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。」こういうようになっておりますが、この規定は裁量の余地のない罰則規定であります。ところが、第十三条は「一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。」第十九条には「旅券の名義人に対して、期限を付けて、旅券の返納を命ずることができる。」こうなっております。これは政府の裁量行為であるかのような答弁が、前回の委員会の際に私に対して行なわれました。すなわち、裁量行為でありますから、しないこともできるし、することもできる、どっちでもできる、それは政府の解釈の次第であるというようなお考えのようでありますが、政府側のこの御見解は必ずしも明確ではないと存じます。すなわち、日米安保条約第六条「アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」こういうようになっております。また、地位協定の五条では「日本国の港又は飛行場に出入することができる。」それは日本国に裁量権があるような解釈であるかのごとくいま見えるわけであります、法令から見れば。では、することが許される、あるいはすることができるというような場合に、日本政府として裁量権を持っておるのか。別にことばをかえていえば、日本国政府はアメリカに対して区域や施設の使用を許さないこともできるし、またそのこともあり得るというような解釈が成立するのかどうか、また、日本政府は日本国の港または飛行場に出入することを許さない、または認めない権利があるというのかどうか、この辺が全部ひっかかってまいってくるのではないかと思います。ところが、アメリカ側としては、施設及び区域を使用する権利、飛行場に出入する権利と理解しているかのごとくであります。したがって、日本国政府に裁量権があるなどということは考慮していないのではないかと思います。したがって、私がいまここで問題にしておるのは、ことばじりをつかまえるようでありますが、法律上の文言だけで実態を議論するわけにはいかないということを申し上げたいわけであります。要するに、日本政府の腹のうちは、渡航先の追加をしない、旅券の返納を命ずる、こういうふうに解釈しているのじゃないかという疑いも残るわけでございます。実際上はでき得るとかあり得るとかという表現になっていても、裁量権を政府が持っているかのごとくであったとしても……。したがって、疑っていうならば、委員会の審議の際にはきれいに言っても、実態的にはほとんど懲罰的な旅券の発給停止ということが行なわれるのではないかという疑問もなおかつ残るわけであります。したがって、この点について、部長及び外務大臣に明確に御回答をお願いしたいと存じます。