外務委員会

1969-07-09 衆議院 全236発言

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会議録情報#0
昭和四十四年七月九日(水曜日)
   午前十一時三十七分開議
 出席委員
   委員長 北澤 直吉君
   理事 青木 正久君 理事 秋田 大助君
   理事 蔵内 修治君 理事 田中 榮一君
   理事 山田 久就君 理事 戸叶 里子君
   理事 穗積 七郎君 理事 曽祢  益君
      佐藤洋之助君    坂本三十次君
      世耕 政隆君    永田 亮一君
     橋本登美三郎君    福田 篤泰君
      古屋  亨君    松田竹千代君
      宮澤 喜一君    毛利 松平君
      木原津與志君    堂森 芳夫君
      山本 幸一君    米田 東吾君
      樋上 新一君    渡部 一郎君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 西郷吉之助君
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
 出席政府委員
        内閣法制局第三
        部長      荒井  勇君
        法務省刑事局長 川井 英良君
        法務省入国管理
        局長      中川  進君
        公安調査庁長官 吉橋 敏雄君
        外務政務次官  田中 六助君
        外務大臣官房長 齋藤 鎭男君
        外務大臣官房領
        事移住部長   山下 重明君
 委員外の出席者
        法務大臣官房訟
        務部長     川島 一郎君
        外務大臣官房領
        事移住部
        旅券課長事務取
        扱       林  祐一君
        外務省アジア局
        外務参事官   金沢 正雄君
    ―――――――――――――
七月七日
 委員世耕政隆君辞任につき、その補欠として中
 村庸一郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員中村庸一郎君辞任につき、その補欠として
 世耕政隆君が議長の指名で委員に選任された。
同月八日
 委員坂本三十次君、世耕政隆君及び毛利松平君
 辞任につき、その補欠として周東英雄君、田川
 誠一君及び中村庸一郎君が議長の指名で委員に
 選任された。
同日
 委員周東英雄君、田川誠一君及び中村庸一郎君
 辞任につき、その補欠として坂本三十次君、世
 耕政隆君及び毛利松平君が議長の指名で委員に
 選任された。
同月九日
 委員宇都宮徳馬君、勝間田清一君及び渡部一郎
 君辞任につき、その補欠として古屋亨君、米田
 東吾君及び樋上新一君が議長の指名で委員に選
 任された。
同日
 委員古屋亨君及び米田東吾君辞任につき、その
 補欠として宇都宮徳馬君及び勝間田清一君が議
 長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
七月七日
 世界連邦建設の決議に関する請願(井手以誠君
 紹介)(第九八五七号)
 同(板川正吾君紹介)(第九八五八号)
 同(只松祐治君紹介)(第九九四九号)
 同(藤波孝生君紹介)(第九九五〇号)
 同(角屋堅次郎君紹介)(第一〇〇一九号)
 同(楢崎弥之助君紹介)(第一〇〇二〇号)
 同(八百板正君紹介)(第一〇〇四七号)
 日米安全保障条約廃棄等に関する請願(野間千
 代三君紹介)(第九八五九号)
 同(八木一男君紹介)(第九八六〇号)
 日米安全保障条約の廃棄等に関する請願外一件
 (川村継義君紹介)(第九九五一号)
 同(長谷川正三君紹介)(第九九五二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
七月八日
 日米安全保障条約の堅持に関する陳情書
 (第五
 六八号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 旅券法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
 〇二号)
     ――――◇―――――
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北澤直吉#1
○北澤委員長 これより会議を開きます。
 旅券法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。米田東吾君。
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米田東吾#2
○米田委員 私は、前回に引き続きまして、法案に関係する基本的な問題の一、二をさらに質問をきしていただきたいと思うわけであります。
 大臣にお聞きするわけでありますが、朝鮮民主主義人民共和国の建国二十周年の式典に参加するために、在日朝鮮の公民の方がお祝いに朝鮮に帰りたい、しかし、それは国益に反するということで法務省が不許可にいたしました。これが昨年二回にわたって、政府のそのような方針については基本的人権を侵すものであるという趣旨の判決がありました。これは現在法務大臣が上告して最高裁で争われている問題でございますけれども、この法務大臣の上告理由書の中に次のような文書があるわけであります。大きな二の白の項でございますが、「また、昭和四三年一二月から同四四年一月にかけ、戦前から在留し、北朝鮮に本籍を有する在日朝鮮人六名に対して、戦前に離別した親族を訪問し、墓参することを目的とする北朝鮮向け再入国を許可したことに関し、韓国政府は外交機関を通じさらには使節団を派遣して、わが国に対し再三にわたり厳重な抗議を繰り返していること。」これは法務大臣の最高裁長官に対する上告理由書の一節であります。
 私が大臣にお聞きいたしたいのは、まさに人道の問題として、法務大臣が許可をされて、墓参をしてこられたわけでありますけれども、これに対して、ここに書いておりますように、韓国政府は外交機関を通じ、あるいは使節団を派遣して、そしてわが国に対して厳重に抗議を繰り返しておる、こういう上告理由が明確にされておるわけであります。この問題はきわめて重要だと私は思うのであります。内容のいかんによりましては、わが国の主権にかかわる問題にもなろう、内政干渉に関する問題にもなろう、きわめて重要でございまして、この問題は、やはり旅券法の国益、公安条項とまた十分関係を持つわけであります。そういう点で大臣にお聞きしたいのでありますが、韓国政府は外交機関を通してどのような抗議があったか、それから使節団を派遣してどういう抗議をされておるのか、これに対して外務大臣はどういう態度をとられてこの問題について対処しておられるか、この点をひとつ明確にお聞かせをいただきたいと思うわけであります。
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愛知揆一#3
○愛知国務大臣 その上告書に書かれてあるような事実がございましたことは、これは事実でございます。そしてこれは結論的に申しますと、あまり法律的その他でぎくしゃく論ずることは、私は、事柄の性質上いかがかと思う点もございますけれども、御案内のように、日本は大韓民国政府との間に正常な国交を持ちまして、ここに三年余りになっております。この両国間の親善友好関係を保っていくということが、私は日本の国益の命ずるところでなかろうかと考えるわけであります。それが日本に対する内政干渉というふうにいきなり取り上げないで、やはり友好関係にあるところの韓国政府の言い分、懸念というようなものも、十分聞くべきものは聞くということが、一面におきまして外交政策上たいへん大切なことではないかと私は思うのであります。同時に、日本の主体的な主権国家としての立場というものは明確にしておかなければならぬ、これは当然のことでございます。その立場から申しまして、人道的な事案の処理というようなことにつきましては、日本国政府といたしまして十分考えていかなければならない。いわばそこの調節のところが、実際問題としてなかなかむずかしいと思うのでございます。先般も、当委員会でも率直に申し上げましたように、日本の周辺にいわゆる分裂国家というようなものが三つも存在するというようなことは、たいへん不幸なことだと私は思うのでありますが、しかし、これが事実でありますことは、これはまた明白な事実なんでありまして、その間に処して日本の主体的な立場を維持しながら、同時にまた、現実の日本をめぐる国際情勢の中に処して、友好国との関係は十分友好的な関係を維持していかなければならない、その間に調整のむずかしさがある、かようなのが現状でございますから、御意見のほどは、私前回も伺いましてよく理解できますが、その言わんとされるところのお気持ちも、十分私どもとしては体して善処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
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米田東吾#4
○米田委員 私の言わんとすることもよくわかるという大臣の御答弁でございますので、私も大臣の御答弁については了承いたしますが、ただ、こういう問題は法律事項でございませんで、まさに外務大臣の権限に属する外交上の問題であることは、私も認めるわけであります。しかし、どうも私ども見ておりまして、愛知大臣の外交は、特に人道主義というものが非常に弱いのじゃないか、国益、公安あるいは外交上の高度な日本の安全なり、そういう問題については、なかなか実績をあげておられると思うのでありますけれども、特にいま一面の人道の問題を主体とするところの外交面というものが非常に弱いように実は感ずるわけであります。特にいま大臣もおっしゃいましたように、日本の周辺にたとえば朝鮮あるいは中国、ベトナム、いわゆる分裂国家といわれる国々がある。しかも歴史的にこれらの国々と日本とは切っても切れない関係にある。特にその中で、大臣の外交上一番配慮をしていただかなければならないのは朝鮮の問題ではないか、こういうふうに思っておるのでありまして、私が言う人道上の配慮が弱いのじゃないかというのも、主として朝鮮に対する問題でございます。この問題につきましては、ひとつ大臣からき然たる措置をとって、人道はいかなるものに対しても優先するし、それからまた、これこそ政治の最も基本をなす問題でなければならぬと思うわけでありますから、これからひとつ大いに大臣からき然たる人道を貫くところの外交を進めていただきまして、特に朝鮮に起きておる、いろいろな在日朝鮮公民、あるいは日本の朝鮮に対する渡航、こういう問題について、ひとつ前向きの配慮をお願いしたいと思うわけであります。
 そこで、いまの関係でありますが、実はこの上告理由書にありますように、昨年確かに六名北朝鮮を訪問して帰ってこられました。お帰りになりまして、これは法務大臣にお礼に参上して、いろいろ話をされておるくらいに非常に喜んで帰られたわけであります。問題は、あと二人残っておるわけであります。法務大臣が許可をされまして、行ってくるようにということになったのが、当初は八名であります。その後、私の承知するところでは、いわゆる外交上の問題が出てまいりまして、そしてそのうち二名はカットした。その理由も、政府のほうで、たとえば朝鮮総連の金融機関の役員をしておるというようなことが一つの理由になりまして、政治的に利用されるのではないかという判断だろうと思うのであります。そういうようなことで、一人の方は許可を得ながらも削られてしまった。いま一人の方は御婦人でありますが、この方はたまたま本籍が韓国のほうにある。したがって、南に郷里のある人が北に行くのはおかしいじゃないか、こういう配慮で、とうとうこれが削られまして、二名許可になっておりながら行かれなかったわけであります。これはおそらく主管が法務大臣でありますから、私は法務委員会においても聞きたいと思っておりますけれども、いろいろその後法務省においても配慮をされまして、おそらくこの残された二名の方は、これは法務大臣約束しておるわけであります。いずれそのうちに行っていただきますよということを約束しておるわけでありますから、当然、私は、ごく近い時期に里帰りで朝鮮を訪問される、自分の郷里に帰ってこられる、こういうことになるのじゃないかと思うのであります。これはあくまでも私の推定であります。その場合に、また外交的配慮で大臣が待ったをかけたり、いろいろこれに対して率直にいえば干渉されるようなことになって、不首尾になってしまうということでは、私は人道がない結果になるのじゃないと実はおそれるわけであります。したがって、仮定の問題でありますけれども、法務大臣が約束どおり、いつになるかわかりませんが、行っていらっしゃいということになった場合は、ひとつ大臣もぜひこれを認めて、人道の問題を優先させる外交の推進としてぜひ協力をしていただけるかどうか、このことをお聞きしておきたいと思います。
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愛知揆一#5
○愛知国務大臣 人道ということを中心にしている米田委員から御意見を交えてお尋ねでございましたが、私は、いま御批判をいただいたり、あるいは御助言をいただいたりして、非常に感謝いたしますが、政府といたしましても、人道の問題としてこの種の問題を扱うことを第一義に考えるということは、従来足りなかったかもしれませんけれども、政府の方針としては、この人道ということを非常に重視しておるということは、先ほどもちょっと触れたとおりでございます。同時に、私の立場としては、そういうことが、関係者、その中には、たとえばいまの具体的な問題でいえば、韓国政府も入るわけでございますが、十分日本政府の考え方というものを理解されるということも、また必要な要素でございます。その点については、従来からも努力いたしておるつもりでございますが、法務大臣と私の間にも、そういう点の扱い方については食い違いはないはずでございます。先般も当委員会で法務大臣ともども御答弁申し上げているわけでございますから、そういう点については、御意見やいまの御批判などを十分体しまして、また一方におきましては、さらに政府として努力すべき点についても十分努力をして、御趣旨に沿うように考えてまいりたい、かように存じます。
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米田東吾#6
○米田委員 ぜひひとつそういう姿勢で御配慮いただきたいと思うわけであります。
 次に、同じ性質の問題でございますが、この機会にぜひ大臣の御見解を承っておきたい問題があるわけでありますが、それはやはり朝鮮の方々の帰国の問題であります。これは大臣も十分御承知のように、カルカッタ協定が結ばれましてすでにもう十年近く、日本が国交のない北朝鮮に対しまして、在日公民の皆さんをお帰しするという平和、人道の事業が進められてまいったわけであります。しかし、八年間、約九万名の方々をお送りいたしまして、世界的に大きな評価をいただいておったわけでありますが、もうすでに二年前になりますけれども、政府の方針によりまして、もう帰国事業はその目的を果たしたから打ち切るという閣議決定が出まして、以来この問題につきましては、朝鮮赤十字会から再三にわたって、帰国事業を継続するようにという会談なりあるいは申し入れがあるのでありますけれども、日本政府の態度が変わりませんために、この事業は現在ストップしておるわけであります。しかし、ストップではございましても、両国の赤十字間におきましては、御存じのとおり、この間ずいぶん努力をいたしておりまして、ことにカルカッタ協定が有効な期間内において帰国の申請を受け付けた約一万七千名の方々の帰還の問題等につきましては、これは協定に対する義務としての日赤の送還行為というものが終わっておらない、こういうことで接触が繰り返されまして、そうして現在に至っておるわけでありますが、ことしの三月三日には、日赤のほうから朝鮮赤十字会に申し入れをいたしまして、国際赤十字を通すことによってこの問題の解決をはかりたいという趣旨の申し入れがあったわけであります。しかし、これまた大臣も御承知でありますように、この問題は、日本の赤十字あるいは日本と朝鮮政府並びに朝鮮赤十字との間の問題であり、今日までそういう関係で処理されて、しかも実績をあげてきておるのであるから、ここで第三者である国際赤十字を通すということは、この実績にかんがみてもよろしくないし、これはまたコロンボで日本赤十字が約束いたしました約束の趣旨にも反するじゃないか、こういうことで、朝鮮赤十字会のほうがお断わりをする、拒否をするという事態になって、今日に至っておるわけであります。私どもは、この人道と、それから赤十字精神によるところの帰国事業というものは、まず残りの部分も、それから在日六十万の方々がおられるわけでありますから、やはり国連の人権宣言あるいは日本の憲法にも明記されておりますように、おのおの自分の祖国へ帰る、そういうことについては十分保障されていかなければならないものと確信しておりまして、この事業は当然継続されなければならない、かように考えて、今日までいろいろ政府を激励しながら、問題の解決のために努力をしてまいっておるわけであります。
 そこで、私が大臣にお聞きをしたいというのは、この帰国事業、人道の帰国事業というものは、特に韓国との関係において好ましくないのかどうか、大臣はどのようにお考えでございましょう。
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愛知揆一#7
○愛知国務大臣 この北鮮帰還問題につきましては、いまもいろいろお話がございましたように、昭和三十四年八月のカルカッタ協定以来、経緯の非常にある問題でございます。ただいまもお話のございましたように、八万人の帰還を実施して、所期の目的をおおむね達したと認められましたので、政府としては四十二年の十一月十二日をもって終了をいたしたわけでございます。その後、コロンボにおいて会議がございまして、約一万五千人の取り扱い等についての一つの考え方と、それからさらに、その後においても起こり得る事態についての話し合いというようなことになりまして、だんだん話が、率直に申しますと、こじれてまいった。ただいまの御質疑に対してとやかく私が申し上げるべきではございませんけれども、ただ、いわゆる北鮮側の言い分だけが正しく、日本政府の考え方が間違いであるというふうに一方的におきめいただいているとすれば、この点については、政府としても残念なところでございます。赤十字を通しまして、誠意を尽くして政府としては交渉に当たってきたと思います。その後、朝鮮赤十字のほうから出てきた案というようなものも、必ずしも最初の線のようなことでないことも出てきておるようなこともございますので、今後におきましても、政府としては従来からの考え方を主体的に考えながら善処しなければならないと考えるわけでございます。お尋ねの中に、これについては韓国政府側からの意見があるので、政府は基本的に反対なのか、こういうふうな御趣旨のお尋ねがございましたが、その点は、先ほども申しましたように、人道的な立場に立って、そして過去千年間にわたって行なわれました実績等に顧みて、日本としては最善の措置をとりたい、かように考えておるわけでございますから、韓国が文句を言うから従前からの考え方を日本としては実行できないのであるとか、あるいは北鮮側に対して日本側が逆に前に考えておった線を逸脱するような考え方を新たに出しているとか、そういうことは実はございませんのでありますから、ひとつその点は、問題の取り上げ方の基本的な態度というものは御理解をいただきたいと思うのであります。
 なお、こまかい経過等につきましては、場合によれば政府委員からさらにこまかくお答えをいたさせたいと思います。
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米田東吾#8
○米田委員 なかなか大臣からこの種の問題について御意見を直接お聞きすることができませんので、主として大臣にお聞きをしているわけであります。
 それで、私も大臣のおっしゃることもわかるつもりでございますが、問題は、韓国の関係というものを直接受けられるのは、外交ルートを通しての外務省であり、外務大臣だと思うのであります。したがって、私どもは、この問題についていろいろ進めてまいりました際にも承知いたしておるわけでありますが、たとえば三月三日の電報の趣旨になっている、国際赤十字機関を通すという一つの方式を考えたのも、韓国との関係を配慮して外務省が生み出した案である。これは各省相談された結果だという御答弁になりましょうけれども、そういうことをお考えになったのは外務省の案である。それから、たとえば里帰りの問題にいたしましても、あるいは朝鮮の渡航の問題にいたしましても、帰国の問題にいたしましても、政府部内でとにかく一番この問題に敏感であり、しかも一番きびしく規制をされているのが、外交を扱っている関係からくるのだろうと思いますけれども、外務省である。一時、私どもは、この出入国の関係については、むしろ法務大臣、法務省の態度がガンになって、非常に困難をした時代もあったわけでありますけれども、最近はむしろその中心は外務省である。私どもも実際にそういう感じを受けますし、またそういうふうに聞いておるわけであります。とにかく日本の外務省は韓国との関係には非常に神経質である。何かいわれると、こうした人道や赤十字精神に基ずくところの、むしろ新しい日本の事業としてふさわしいような、こういうものがすぐ後退してしまう、あるいは動揺してしり切れトンボになってしまう、こういうようなことを私どもは遺憾ながら認めざるを得ないと思うわけであります。したがって、私がこうして大臣に御質問をするのも、あまり気がねをしないで、愛知外交というものをひとつ十分推進をしてもらいたい。特にこの韓国との関係等につきましては、私はそういうことを強調して大臣を激励したいくらいでございます。
 この帰国の関係につきましては、私はどうも外務省がガンだというふうに聞いておるわけであります。もしそうでなければ、明確に大臣からそうでないというふうにお答えいただきたいと思いますし、また、帰国事業がまだ未処理、未解決のまま残っているわけでありますから、この関係については、外務大臣としても、十分各省と協力をして推進することについての御決意を披瀝していただきたいと思うわけであります。私の聞いているのは、どうも外務省が一番ガンだ、こういうことを聞いておりますので、こういう御質問を申し上げました。ひとつ大臣の御答弁をいただきたいと思うわけであります。
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愛知揆一#9
○愛知国務大臣 先ほども申し上げましたように、私は率直に申し上げているつもりで、あるいは御批判をいただき、御激励をいただきまして、まことにありがたい次第でございますが、大韓民国政府との間に日本が三年有余前に国交を樹立いたしまして、この国との間に友好親善関係を確立するということが、私どもの外交方針の一つの柱になっておりますことは、これは御承知のとおりだと思います。そこで、先ほど申し上げましたように、人道的立場に立った問題の処理については、政府として主体的に考えておりますけれども、これを円滑に処理をいたしますためには、先ほど申しましたように、分裂国家の事実がここに存在しておって、あるいはこれはことばの使い方がまことにむずかしいのでありますけれども、常識的にいえば戦争状態が依然として続いておる。そしてゲリラ活動その他は、韓国側からいえば非常に憂慮にたえないということで、三十八度線を境にして対峙しているこの国の国民の気持ちあるいは政府の人たちの態度、立場というものを、やはり友好国としては十分私どもも関心を持たざるを得ない。したがって、こういう種類の問題を処理いたしますのには、私は、やはり理解を十分求めていくことが円滑に処理できるゆえんであると思います。私は、これは決して内政干渉とかなんとかいうことではなくて、やはりこういうことが複雑で、またきびしい現状のもとにおいて、人道的なわれわれの善意というものが実現できるために必要な措置ではなかろうか、そのためには、ある程度の時間もかかりましょうし、またいろいろのくふうも必要でございましょう。赤十字に応援を頼み、また赤十字国際委員会が非常な善意による努力をしてくれておりますことにわれわれとしても感謝いたしておりますのは、そういう趣旨から出ておることでございまして、要するに、この赤十字間の話し合いもいろいろ経緯がありますが、私としては、最近における朝鮮赤十字の考え方も、私たちの善意というものがわかってくれて、たとえば三月三日の日赤の提案のラインというようなものをまたここでくずしてまで、たとえば日赤の証明書で事足りるようにするということは、これは日本の立場からいいましてもいかがかと思っているわけでございまして、そういう点について朝鮮赤十字の側もわれわれの善意というものを信頼し、そして従前のような線で話し合いができるようなことになれば、一面において、私どもといたしましては、韓国側に対しても、われわれの意のあるところを必要ならばさらに説明につとめるということも可能ではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
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米田東吾#10
○米田委員 大臣の御答弁で、あるいは私聞き違いかもしれませんが、非常に重要な点があると思うのでございますが、三月三日提案の線をくずしてまでという御答弁だったように思うのでございますけれども、私は、三月三日の提案というのは、国際赤十字を介するということについての提案という趣旨だろう、大臣の御答弁ではそういうことだろうと思うのであります。この問題を扱っているのは主として厚生省であり、あるいは法務省であり、内閣官房というところでございますから、外務省が相当大きな指導権を持っておられることは当然でありますけれども、そういう各省の関係があるわけであります。いろいろ事態の推移というものは一つはあるだろうと思いますけれども、三月三日のいわば国際赤十字を介しての処理という関係につきましては、これは大臣もおっしゃいましたように、その真意は朝鮮のほうでもだんだんわかっていただいておるようだという御答弁があったようでありますが、それはあるいはそうかもしれませんけれども、しかし、この提案が現実には受け入れられないまま今日の七月までずっと空白という状態はさらに続いており、時間はたっておる。この事実だけは間違いがないと私は思うのであります。したがって、この段階で、大臣がおっしゃるように、人道の問題として解決するためには、この問題の提起をした日本側において、ある程度一つの提案なり対案なり、そういうものを出して、そして解決をしていく。そのかぎは、私は、相手の朝鮮民主主義人民共和国から出てくるのでなくて、むしろ日本側のほうで提起をして、円満に、しかも早急に、こうした人道の問題については解決をはかるということが、今日の状態として必要だと思うのであります。したがって、大臣のおっしゃった趣旨がどうもちょっとわからなかったということと、それから三月三日の提案の事態にこだわっておったのでは、問題の解決にならぬのではないか。むしろ私が率直に言わしていただくことができますならば、新しい何かのものを、外務大臣なり政府から提起してもらって、そして早急に解決に当たらせる、そういう一つの英断を持ってもらわなければならない時期に来ているのではないか、こういう感じがいたしますので、御質問をしておるわけであります。お答えをいただきたいと思います。
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愛知揆一#11
○愛知国務大臣 米田委員のお尋ねになる趣旨は、私理解しているつもりなんでありますけれども、そこで、先ほど率直に申しましたように、この問題については長い経緯がございますが、たとえば昨年の九月二十八日でございますか、日赤から朝鮮赤十字あてに提案いたしました内容がございます。コロンボ会議の際、明らかにした考え方に基づいて、申請済みの未帰還者については、六カ月に限って協定の例による暫定措置を実施するというようなことが提案の内容でございますが、こちらがこういうふうな提案をしておりまして、たとえばその後になって、朝鮮赤十字としては、赤十字代表者の取り扱いの問題、いろいろ入国手続等についても申してきたり何かいたしまして、従来こちらも非常ににむずかしい環境の中において、いろいろ人道的な立場から考えてかくもしようかというのについては、私率直に申しまして、ずいぶん日本側としてもいわば低姿勢でこの問題を処理してきているつもりですが、低姿勢にも、これはお許しをいただきたいのですけれども、限度がある。これはやはり日本の主体的な立場というものから考えまして、これ以上御要請になったり、あるいはこれ以上前々の話を蒸し返して、さらにそれをひっくり返すというようなことまでなさらぬでもいいではないかということで、前々からの線を私どもは最善の案と考えておるわけでございます。したがいまして、今後、両赤十字代表がたとえばイスタンブール会議で接触するということもございましょうが、私が日赤に期待しておりますのは、従来からの考え方や提案を朝鮮赤十字側に十分説明していただいて、その受諾を求めるということになりますれば、この問題は非常に大きく前進するわけでございます。
 まず、そういうところを現在の私としては期待いたしておるというのが実情であり、また私のほんとうの腹でございます。この考え方につきましては、いろいろ御観察がおありと思いますけれども、ただいまお述べになった中にもございますように、これはひとり外務省だけの問題ではございませんので、関係各省も非常に多いことでございますから、従来から政府としては内閣官房が座元になりまして、関係各省庁、日本赤十字と十分意見の交換につとめておるわけでございます。私は、前に、本件については内閣側においても関与いたしましたものでございますから、この一連の経過につきましては、私としても従来から誠意を尽くして当たってまいりました。現状の心境は、外務省の立場におきましても、いま申し述べましたような考え方が、外務省としてだけではなくて、政府全体として、こういう行き方でいくのが最善ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
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米田東吾#12
○米田委員 この委員会で大臣と問答いたしましても、そうすっきりとした結論が出てくることはないと思いますし、また、私も十分政治的な関係も配慮しながら質問いたしておりますが、この問題は一番障害になり、しかもたった一つだけ障害になって、今日のような事態になっているポイントは、いまも大臣が御答弁されましたように、昨年の九月二十八日に、コロンボ会議の集約をまとめて日赤が朝赤に書簡という形で提案をされました、この提案の趣旨というものは、実は二つあるわけでありまして、いま大臣が御答弁されましたように、六カ月の期間で返そう、それから引き続く問題については、これも従来の精神に準じて帰国をしてもらいましょう、配船については二カ月に一ぺんなり三カ月に一ぺんなりしてもらって、日赤も十分協力して進めていきましょう、この二つの提案のそれぞれは、大臣も御承知でありますように、朝赤側も基本的には了承されておるわけであります。ただ問題は、六カ月の期間の関係は、これは協定に基づくところの帰還であるから、朝赤代表の入国の関係については、従来どおり問題はない。ところが、協定が切れたと理解される六カ月以後の帰還業務について、迎えに来られる朝赤の代表の入国がどういうふうになるか、これが実はポイントなんであります。法務省のほうでは、国交未回復であるから、出入国管理法の関係もあって、相当な手続をしてもらわなければならぬ、朝赤側のほうでは、従来の事業の実績と歴史にかんがみて、ひとつ簡単に入国できるように、手っとり早くいえば、いままでどおり朝赤代表が入国できるようにそういう措置をしろ、こういうことになって、その措置をめぐっての経過であり。でありますから、これは大臣が言われておりますように、朝赤側のほうが譲ってくれなければということでございますが、経過からいきますと、そのかぎを持っているのは、実は、この問題の性質からいきまして、日本側である、そういうことになるわけであります。したがって、私は、そういう点で、ひとつ外務大臣からも、人道と赤十字精神に基づくところの在日朝鮮人の皆さんの帰国の問題でございますから、朝赤代表の入国については、従来に準じて外務省も最大限協力をする、そういう御答弁をいただければ、私はもうこれで終わるわけであります。そういうふうにひとつ外務大臣としてのお考えを披瀝していただけないものかどうか。再度失礼でありますけれども……。
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愛知揆一#13
○愛知国務大臣 お述べになっております御趣旨は、先ほど申しましたように、私も理解できますけれども、ただ、本件については、何と申しましても日本政府といたしましての主体的な立場というものを確保したい、この点だけは、残念ながら米田委員と見解が違うのではないかと思われますけれども、私は、率直にいうと、そのかぎを握るものは、朝鮮赤十字のほうの態度にかかっていると思うのです。つまり、詳しく経過などをくどくど申し上げませんけれども、まとまりつつあった線があるわけでございますね。それを何か最近におきましては、われわれにも理解できにくいような態度や提案があるらしく思われますので、従来の線でまとまれば本件の処理はつくのではないか、私はこう考え、これ以上何も日本政府の権威や面目を失墜してまでやる必要はないのじゃないか、率直にいえば、私はそういう感じがいたすわけでございます。せっかくの御熱心な御意見でございますから、私もこれは十分胸に入れますけれども、同時に、私の率直な気持ちはいま申しましたとおりであることを念のため申し上げる次第でございます。
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米田東吾#14
○米田委員 大臣の御答弁わかりました。しかし、胸に入れておくという御答弁でございますので、どうかひとつしっかり胸におさめていただきまして、この問題の解決にあたりましては、政府部内を特に大臣からリードしていただきますように、これは御希望を申し上げておきたいと思います。
 なお、この問題は政府間の問題でございませんで、赤十字間の問題でございますので、したがって、まず赤十字間で十分その意思疎通と、いま大臣もしばしば御答弁されましたように、問題の理解にあたって誤解があったりそういうようなことがあってもいかぬわけでありますから、赤十字間で十分話をしてもらう。そういうことは、特に今日まで、三月三日電報提案、それ以来特にそうでありますが、相当空白がありますので私は、赤十字間で早急に意思疎通をはかってもらう必要が、まず、第一段階としてあるのじゃないか、こういう感じを持っておるわけでありますが、このことにつきましては、大臣も御異論はないと思いますけれども、御答弁いただきたいと思います。
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愛知揆一#15
○愛知国務大臣 先ほど申しましたように、日本赤十字にもいま非常に苦労をお願いいたしておるわけでございますから、ただいまのお話には私は異論はございません。
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北澤直吉#16
○北澤委員長 米田君、お約束の時間もきているのですが、どうぞひとつ……。
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米田東吾#17
○米田委員 あともうすぐやめますから……。
 やはり大臣から御答弁いただきたいのでありますが、日朝貿易の問題につきましては、これはすでにこの委員会でも十分論議をされておるわけであります。一つだけ大臣から答えていただきたいのは、日本から朝鮮に行くことも、もちろんこの委員会で明らかになりましたように、ほとんど閉ざされておる。しかし、横すべりは、これはわずかでありますけれども、百名程度は特に貿易関係、通商関係の方々が渡航しておられる。しかし、朝鮮からは日本には全く入ってこれない。特に貿易関係において、この一方交通が、商取引やあるいは今後技術やプラント等を含めてだんだん貿易が拡大し、上昇していくにあたって、こうした片道通行というものがどれほど災いをするか、これはもうしばしば委員会においても議論になっておりますし、また、従来からも予算委員会や外務委員会、そういうところで指摘をされておるわけであります。そこで、去年の三月二十九日の衆議院の予算委員会で、わが党の横山利秋代議士がこの問題に触れまして、北朝鮮からの商談について必要な技術者の入国について考える時期に来ているのじゃないか、考える気持ちはないかということを当時の三木外務大臣に質問をされておられます。このときの三木外務大臣は、会議録によりますと、具体的な問題ごとに検討をしたい、要するに、ケース・バイ・ケースでということだと思いますけれども、検討したいという答弁があるわけであります。この問題につきましては、今度のこの旅券法の関係についても、朝鮮との渡航の問題が最大の焦点でございます。これにかんがみまして、朝鮮からのこうした技術者の入国等については、従来からさらに前進する方向というものは見出せるのかどうか、これは外務大臣からひとつ御見解をこの機会に聞かしておいていただきたいと思うわけであります。ケース・バイ・ケースというのが三木さんのお答えでありますけれども、情勢も変わっておるし、今度の旅券法の審議にあたりましても、この問題が、北朝鮮との関係が一番問題になって、議論されて今日に至っておるわけでありまして、私は、やはりこの事態というものは前進をさせなければならないと思うわけでありますが、このことについての大臣のお考えを一点だけ聞いておきたいと思います。
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愛知揆一#18
○愛知国務大臣 先ほども率直に申し上げましたように、この朝鮮半島と日本との関係というものは、まことに微妙なものでございますので、現在私といたしましても、三木前大臣が答弁を申しましたそれを繰り返すということにとどまる次第でございます。何とぞ御了承願いたいと思います。
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米田東吾#19
○米田委員 三木さんの御答弁は昨年の春なんでありますが、どうでございますか。その繰り返しということは、どうも外交に進歩がないように思
 いますが、いかがでございますか。
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愛知揆一#20
○愛知国務大臣 この点におきましては、昨年以上に私、公に申し上げることはございません。それ以上に政府としては考えておりません。
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米田東吾#21
○米田委員 終わります。
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北澤直吉#22
○北澤委員長 渡部一郎君。
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渡部一郎#23
○渡部委員 さっそくでございますが、前回委員会におきまして、日本と朝鮮の間、特に北朝鮮との間の貿易に関しまして、これが今回の旅券法において阻害されるような事態になったとしたら非常に問題である、この両国の貿易については、どういう見通しあるいはどういう経緯を持っているか、その点をお伺いしょうとして、私は金沢参事官に御質問をいたしましたところが、御回答が明確でございませんで、質問に対するお答えが中途はんぱになっております。その後、資料等もいただいておりますが、金沢参事官の口から、その問題について総括してまずお答えをいただいたほうがよろしいんじゃないかと思いますので、お願いいたします。
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金沢正雄#24
○金沢説明員 日本と北朝鮮との貿易につきましては、お手元に書類を差し上げたわけでございますが、逐年増加いたしておりまして、昨年度におきましてはわがほうからの輸出が約二千万、わがほうの輸入が三千四百万、合計五千四百万という数字になっておるわけでございます。それで、これは表をごらんいただければわかりますように、昭和三十一年から日朝間の貿易が始まったわけでございます。逐年増加してきておりまして、昨年の総計五千四百万ドルのこの数字は、その前年に比べまして——前年は三千五百万ドルでございまして、こういうふうに逐年ふえてきておるというのが実情ではないかというふうに考える次第でございます。
 その商品の構成でございますが、わが国からの北鮮への輸出におきましては機械類が第一位を占めておりまして、昨年度におきましては八百万ドルでございます。それからついで化学製品がございます。それから電気機械、繊維品、鉄鋼、こういう順序でございます。北鮮からの輸入につきましては銑鉄が第一位を占めておりまして、ついで鉄鉱石、それから非金属鉱物、生糸、綿、こういうふうな順序でございます。
 こういうふうにだんだん伸びておりますので、今後も自然の勢いといたしまして、伸びていくのではないかというふうに考えておるわけでございます。
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渡部一郎#25
○渡部委員 北朝鮮に対するところの西欧貿易と日本の貿易とのふえ方を見ておりますと、昭和三十六年以降、わが日本政府が朝鮮民主主義人民共和国との貿易を認め、輸出入取引に許可を与えておりますことは、これは明らかに国益に反するとは認められないからであると存じます。それでありますならば、もしも貿易に必要な関係者の北朝鮮に対する渡航に対しまして、国益に反するということで、旅券を出さないということになりますならば、それはさらに現行のやり方さえも否定する考え方になりますし、はなはだしい矛盾におちいると思われるのであります。したがいまして、貿易業務に関しては、この際大幅な旅券の発給が認められてしかるべきであろう、こういうふうに考えられるか、それとも、この際国益に反するという項目をさらに拡大して、北朝鮮に対する貿易にたがをはめる方向にいくかは、日本政府として大きな方向の岐路に立っておると思うのであります。この点について、くどいようでありますが、外務大臣から所信を伺いたいと存じます。
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愛知揆一#26
○愛知国務大臣 この問題は、おことばがございましたが、西欧と日本の立場とは、私は相当大きく違うのではないかと思います。日本といたしましては、一衣帯水の間に朝鮮半島を持っておりまして、先ほどもお答えをいたしましたように、まことに悲しむべきことでありますけれども、そこで分裂抗争の状態が起こっておる。わが国としては、韓国との間に友好親善関係の正常な国交を持っておる。これが現状でございますので、私は、日本の外交政策といたしましては、韓国政府との友好親善関係を確立していくということが、まず考えなければならない主題である、かように存じます。そういう観点から考えますと、積極的に大いに北鮮との貿易を伸長する、これから旅券法の改正を契機にして、どしどしこの方面に積極的な奨励策をするというようなことは、私としては考えたくございません。
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渡部一郎#27
○渡部委員 北朝鮮との貿易に関しては、これを続々ふやす方向というものはとりたくないというお話でございますと、もう一歩突っ込みまして、この北朝鮮との貿易の拡大が日本の国益に反するとまでお考えになるのかならないのか、その点を明らかにしていただきたいと存じます。
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愛知揆一#28
○愛知国務大臣 これは微妙な問題でございますから、イエスとかノーとか、端的にお答えはできないと思います。やはり日本の立場に立ちまして、韓国との間の親善友好関係を確立する、そしてそういったような——これは大きな国益だと私は信じておりますが、それをそこなわないということでやる得る程度のことは考えてもしかるべきじゃなかろうかと思っております。
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渡部一郎#29
○渡部委員 それではその問題はちょっと預かりにしまして、次に移ります。
 旅券法の第二十三条、「左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」こうなっております。また、同条の二項では「次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。」こういうようになっておりますが、この規定は裁量の余地のない罰則規定であります。ところが、第十三条は「一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。」第十九条には「旅券の名義人に対して、期限を付けて、旅券の返納を命ずることができる。」こうなっております。これは政府の裁量行為であるかのような答弁が、前回の委員会の際に私に対して行なわれました。すなわち、裁量行為でありますから、しないこともできるし、することもできる、どっちでもできる、それは政府の解釈の次第であるというようなお考えのようでありますが、政府側のこの御見解は必ずしも明確ではないと存じます。すなわち、日米安保条約第六条「アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」こういうようになっております。また、地位協定の五条では「日本国の港又は飛行場に出入することができる。」それは日本国に裁量権があるような解釈であるかのごとくいま見えるわけであります、法令から見れば。では、することが許される、あるいはすることができるというような場合に、日本政府として裁量権を持っておるのか。別にことばをかえていえば、日本国政府はアメリカに対して区域や施設の使用を許さないこともできるし、またそのこともあり得るというような解釈が成立するのかどうか、また、日本政府は日本国の港または飛行場に出入することを許さない、または認めない権利があるというのかどうか、この辺が全部ひっかかってまいってくるのではないかと思います。ところが、アメリカ側としては、施設及び区域を使用する権利、飛行場に出入する権利と理解しているかのごとくであります。したがって、日本国政府に裁量権があるなどということは考慮していないのではないかと思います。したがって、私がいまここで問題にしておるのは、ことばじりをつかまえるようでありますが、法律上の文言だけで実態を議論するわけにはいかないということを申し上げたいわけであります。要するに、日本政府の腹のうちは、渡航先の追加をしない、旅券の返納を命ずる、こういうふうに解釈しているのじゃないかという疑いも残るわけでございます。実際上はでき得るとかあり得るとかという表現になっていても、裁量権を政府が持っているかのごとくであったとしても……。したがって、疑っていうならば、委員会の審議の際にはきれいに言っても、実態的にはほとんど懲罰的な旅券の発給停止ということが行なわれるのではないかという疑問もなおかつ残るわけであります。したがって、この点について、部長及び外務大臣に明確に御回答をお願いしたいと存じます。
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