山田耻目の発言 (社会労働委員会)
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○山田(耻)委員 ようやくここまでの資料を出していただきまして、ありがとうございました。
問題は、四十四年度の保険財政を確立なさいますのに、その基礎である標準報酬月額というものが少なくとも当を欠いていることは間違いございません。これはもちろん、算定の月が四十三年十月になっておりますので、その変化は認めますけれども、やはりここに推定される資料が出ておりますように、七十四億の増収になります。あるいは二八%であった場合は五十六億の増収でございますから、いわゆる審議を求められております予算雷を見ますと、今年度は二十七億の赤字です。それが転じまして、一七%で推計される場合は四十一億の黒字、五十六億で推計される場合は二十九億の黒字に転化をいたします。
私は、国会で審議をいたしますときには、こうした保険財政が赤字であるか黒字であるかということ以前に大切なことがございますけれども、特に特例法で議論を行なっておりますので、やはり赤字であるから特例法をつくりたい、保険財政が危殆に瀕するから特例法をつくるのだ、これが少なくとも四十二年の本委員会並びに国会における大きな論争の争点でございました。このようにながめてまいりますと、この特例法をめぐって健保財政論争をいたしますときに、赤字、黒字の分岐というものはきわめて政治的に重大であります。そうしたことが、当然この審議にあたって重要なポイントになりますにあたって、二十七億の赤字を計上され、しかも総額において千四百二十三億の赤字を計上されて、しかも存続を求められて、なおその上に千分の一の料率を引き上げていきたいというのが今回の政府の態度でありますだけに、承服できないのであります。赤字ではないでしょう。この推計は推計だとおっしゃればそれまででございますけれども、労働省なり関係各省の検討の中で、私は、この推計がそう大幅に狂って赤字に転化をすることは、万々ないと存じております。
この表の中で、一つお気づきになっておられると思いますけれども、いわゆるベースアップ率と標準報酬との差に二・四%の開きがございます。この二・四%の開きの傾向値を見ていただくとわかりますけれども、四十年は三・一%の開きがございます。そうして昭和四十三年は二・一%の開きに縮まっております。最近の中小企業雇用対策の中で大きく問題になりましたのは退職金です。退職金の算定基礎は基本賃金であります。過去の中小企業というものは、基本給は安く、関連する基準内賃金に算定されない給与が多かったのであります。こういう傾向では雇用安定対策にならないから、労働省みずからの指導も手伝って、基本給の引き上げにつとめてきた姿がこういう傾向値をたどっておるのであります。これは昭和四十三年、四十四年、四十五年と進んでいくに従いまして、この二・四%の差というものは縮まっていくのであります。
このように見てまいりますと、私は、ここにいただきました資料というものが、もちろん試算でございますし、推計でございますけれども、この中にもまだ甘さがあると思うのです。千分の一の料率を見ましても、六十三億と出ておりますけれども、おそらく七十億近くなるでしょう。このようにして、収入面は減らし支出面はふやし、意識的に、目的的に赤字を累増していって料率を引き上げていく、この思想というものを解明をしていかない限り、具体的にそのことを例示していかない限り、私は本問題の審議に入ることにちゅうちょいたします。いま私、いただきましたこの資料ではまだ不十分で、これから私が審議に入りたいと思う二百二十五億の政府の助成についても、今日の疾病構造の変化などによって生ずる姿の中に、どれだけそれが影響値を保っていくのか、これからただしていかなくちゃなりません。いまの千分の一の料率についても深めていかなければなりません。しかし、こうした赤字の現状というものが、このような状態で資料の再提出をなさらないということになりますと、私の審議をこれ以上進めていくことに実はちゅうちょするのであります。これから審議の過程を通しまして、私は随所においてこの問題について解明を試みてまいりたいと思いますが、本日は委員長、理事各位におはかりいただきまして、私のこれからの質問については留保させていただいて——この状態ではとても私は赤字解明への審議ができない。このことは委員各位、政府各位もおわかりいただけることと思うのです。そういう意味から私は、もっと事態というものを、赤字、黒字の処理を明確にしていく政府の資料をお出しいただく中で審議を進めていきたいと思いますので、どうかひとつ理事各位におはかりをいただきまして、私の発言は留保して、次の問題に対して進めていけるようにお取り計らいをいただきたいと思います。