中嶋英夫の発言 (本会議)

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○中嶋英夫君 私は、日本社会党、民主社会党、公明党三党を代表し、衆議院議長石井光次郎君の不信任決議案の提案理由を申し上げます。
 まず、決議案文を朗読いたします。
    衆議院議長石井光次郎君不信任決議案
 本院は、衆議院議長石井光次郎君を信任せず。
    〔拍手〕
      理 由
 議長は、議会運営の全体に責任を負う最高の機関であり、ことに国会正常化を自ら提唱している石井議長は、国会正常化について大きな責任があり、その実現のために全力を傾注すべき立場にある。
 しかるに石井議長は、今国会の重要法案であり、国民生活に直接影響をおよぼす「健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案」に対する修正案が、自民党のかつてない議会政治無視の暴挙によって強行採決された社会労働委員会の異常な事態を正常なものと認め、政府与党の意のままに、この法案の本会議上程に加担した。
 この行為は、自ら主張した国会正常化を自ら放棄したばかりでなく、議長の職をけがしたものであり、その責任はきわめて重大といわねばならない。かかる議長をそのまま放置しては正常な国会運営はとうてい期することはできない。
 これが、本決議案を提出する理由である。
    〔拍手〕
 私から申し上げるまでもなく、憲法第四十一条におきまして、「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」と規定しておるのであります。衆議院議長はこの国権の最高機関の長であり、いやしくも、その席を占める人は、その権威を少しでもそこなうようなことがあってはならないのであります。本来、議会制民主主義は、普選獲得運動をはじめとして、国民の政治的自由を保障し、その政治的要求を実現する方途として生み出されたのであります。いわば、近代民主主義の政治的所産であります。したがいまして、議会制民主主義に沿うた国会運営は、あらゆる民主的慣行と手続によって円滑に行なわれるために、十分なる用意と万全なる手続が規定され、かつ、要求されているところであります。
 しかるに、石井衆議院議長は、今回の第六十一国会において、まさに国会の最高機関としての権威を消失せしめ、議会制民主主義を破壊し、国民の国会不信、国会軽視に拍車をかける役割りを演じ来たったことは、国民周知のこととなってまいりました。石井議長は、自民党と佐藤内閣の議会軽視の行動に唯々諾々として加担し続け、今国会においては実に十一回にのぼる不法不当な強行採決を許し、過般の国鉄運賃値上げ法案の例に見られるように、正常な議会運営について何らの責任を持とうともしなかったのであります。あまつさえ、昨夜、社会労働委員会におきまして発生した事態、すなわち、自由民主党の十一回目の暴挙につきましても、これを合法的と称し、本日の本会議の議事日程にのせておるのであります。
 昨日の社労委員会は、与党議員の出席数名、速記者も不在、委員会開催の放送に先がけ、存在しない審議をあったがごとく言いくるめ、ルールに全然合致しない行動——委員会で健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正が、その提案と政府見解の発表と採決とを数分問で行なったと称する自民党の態度も暴挙でありますが、それを合法と認めた石井議長のなした措置こそ大暴挙というべきであります。(拍手)私ども野党各党は幾たびか石井議長に反省を求め、その撤回を強く要求してまいりましたが、石井議長は頑迷にこれを拒み、ついに本会議を開会いたしました。
 本来、議会の運営の中心として中立性を要求されております衆議院議長が与党に加担し、その暴挙を是認するとき、国会における民主主義はその影をひそめ、ファシズムが台頭し、議会はみずからを葬る暗黒に向かって傾斜をいたします。
 石井議長は、昭和四十二年二月、本院議長に選任され、その際の就任あいさつにおきまして「私は、議会人といたしましての覚悟を新たにいたしまして、誠意を尽くして議院の運営に当たり、もって国会の権威を一そう高め、国民の期待にこたえるよう、最善の努力を払う所存でございます。」と述べておられるのであります。しかるに、今国会におけるきょうまでの運営は、戦前戦後を通じてのわが国の議会史上かつてない暴走、混乱の連続であり、まさに最低の議会運営と断ぜざるを得ないのであります。
 イギリス議会の議長は、一党一派に偏しないために、党籍を離れることはもちろん、その公正、厳正を保つために、同僚議員とも、ともに食事をすることなく、私的交流もほとんど行なわないことが不文律となっているほどであります。私は、石井議長就任のあいさつを聞きながら、このことを思い、それを期待いたしたのであります。しかし、いま目の前にあるのは、まさに石井議長の言行不一致、指導性の喪失、職務怠慢であるといわなければならないのはまことに残念でなりません。(拍手)
 特に、自由民主党の党利党略に屈して、今国会の会期延長においての七十二日に及ぶ大幅延長を強行し、その上に、健保特例法案をはじめとして大学管理法案、防衛二法案、出入国管理法案、靖国神社法案など、日米安保体制の核安保、アジア安保への拡大発展に沿うた国内体制を確立する反動立法の成立を期そうとしたことに協力したことは、行政府に対し厳然として立法府の独立性を堅持すべき議長として、まことに許しがたいことであります。(拍手)
 そして、今回の健康保険特例法延長法案は、いまより二年前に、石井議長のあっせん過程で時限立法として生まれたものであります。この議長手元において各党が申し合わせたところの、二年間に抜本改正を行ない、特例法再延長は行なわないと約束されていたのでありますから、石井議事は、みずからの権威をみずからの手によって打ち砕いたことになり、行政府に対し完全屈服をしたことになるのであります。その責任は、まさに重大であります。
 私は、本提案に対する採決の以前において、石井光次郎君が議長を辞すべきだと考えます。辞職することによって、せめて晩節を少しでも守っていただきたいのであります。代議士当選九回、商工大臣、運輸大臣、通産大臣、国務大臣など多くの重職を歴任した政治家石井光次郎君の傾き倒れんとする名誉を何とか守るには、石井議長みずからの決断あるのみであります。
 石井議長はよく知っているはずであります。昭和四十二年八月五日、健康保険特例法案をめぐって紛糾しておる際に、わが党の成田委員長は、当時書記長として、議長の再三にわたる懇請とその権威を認める立場から、石井議長あっせん案を党に持ち帰り、その承認を得られないと知ったとき、公党の信義の立場から、中央執行委員長とともに従容としてその役職をみずから辞したこと、これを知っておるはずであります。責任のとり方の大切なことを、九州男児石井光次郎君は知っておられると思います。
 石井議長の決断を求め、決議案の趣旨弁明を終わります。諸君の賛同を得たいと存じます。(拍手)
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発言情報

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発言者: 中嶋英夫

speaker_id: 9540

日付: 1969-07-11

院: 衆議院

会議名: 本会議