中嶋英夫の発言 (本会議)
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○中嶋英夫君 答弁申し上げます。
国会の権威を保持し、国会の正常化を確立することのために、議長にぜひ積極的に働いていただきたいことを私どもは望みます。かりに、それが消極的であっても、好ましいことではありませんが、ある程度許し得ると思うのです。何ぶんの御年配であります。しかし、怠慢であることは許し得ないと思うのであります。ただいまの武藤山治議員からの質問の諸点は、私は、石井光次郎議長のこの怠慢な点をつかれたのだと思うのであります。私が不信任の決議の趣旨を説明したのも、指導性の喪失と同時に、その怠慢を責めたいのであります。
第一点の国会法第十九条、二十条の関連において、「議長は、委員会に出席し発言することができる。」ということは、議長の任務である国会の権威を保持し、正常な運営を期するという立場から、必要があった場合は、議長はどの委員会にも行って話をすることができるということであります。前にも私は石井議長に、この点についての積極的な活躍を期待し、要求したことがあります。ところが、石井議長の考え方は、議長は委員会には口を出すべきではない、委員会でどんなことが起きようとも、とにかく、そこの委員長から報告が来れば、これを議長である私は拒み得ないのです、こういうお話であります。それは非常に大きな考え違いであるということでお話し合いをしたことがありますが、意識的なのか、あるいは錯覚なのか、ともかく、この考え方を一向に変えようとされないのでありまして、そういう点から、今回の問題についても、議長の怠慢のために、せっかく議長が国会の権威を守り、正常な運営のために積極的に動き得る余地があるのに、その余地に一歩も足を踏み入れることなく終わったことは、まことに遺憾であります。
第二点の、国会法四十九条の関係であります。武藤議員は、問題の焦点である第三委員室の動きやいかにと、国民の生活に直結する問題がかかっておるだけに、重大な関心をお持ちになって、当日の様子をよく御存じのようであります。確かに、後部のほうに主ないし四名の自民党の議員がおられたことは私も知っております。同時に、前のとびらのほうから、やはり三、四名の人が委員室に片足あるいは両足お入りになったことも事実であります。したがって、どう見ても、与党の委員の出席は七名以下となるわけであります。この状態の中で採決がかりに行なわれたとしますならば、賛成者七名、当然否決をされる状態でありました。もっとも自民党諸君は、そのことなどはあまり気にしていないのであります。それは、あとの御質問にある厚生大臣が政府の意見を述べたかという問題との関連で、ともにお答えしたいと思うのであります。
確かに斎藤厚生大臣の顔は見えました。そうすると、大臣のそばにおる自民党のある議員が、とにかく、わあっと叫んで手をあげていればいいのだ、とにかく、わあっと言って手をあげればそれで済むのだと盛んに指導をいたしておりました。これに対し斎藤厚生大臣は、うんうんと、あごを上下するだけ、うなずいただけであります。間もなく退席をいたしました。したがいまして、冒頭の趣旨弁明で申し上げましたように、修正動議の提出と大臣の意見表明と委員長のそれぞれの発言、採決が二分、三分で終わりようがないのでありますから、委員会における採決は存在しなかったとお答えせざるを得ないのであります。
同時に、第三の御質問でありますが、延長法案が一つの法律案として国会の審議にかかり、議運委員会の議を経て本会議で趣旨説明があり、総理大臣から前の約束を破って申しわけないというおわびのことばがあって、そして委員会に付託されました。ところが、今度の修正案というのは、原案の期間を延長するという内容と全然異なって、二年前に、これを恒久化しない、二年の間に抜本改正を出すという約束と全然違反をした、いわゆる現在の特例をそのまま恒久化しようという内容でありますから、当然新たな提案、したがって、前の提案は撤回、議運委員会の議を経て本会議あるいはそれを省略して委員会付託、こういうことになるのが当然でありました。この手続を省略して、修正案が第三委員室における社労委員会の席に突如と顔を出したことそれ自体が大きな間違いだといわざるを得ません。
次に、憲法五十九条の関連における、すなわち、参議院における審議が六十日間進まない場合、衆議院で可決をした案件が六十日をこえると、参議院が、まだ賛否が明らかでなくとも、これを否決したものと一方的に認めるという条項があります。したがって、六十日以上の会期延長を意図的に多数派が行なって、参議院が慎重審議をしておる間——あるいは国会の運営ですからいろいろな戦術もあります。ことさらに他の法案に重点を置いて、その法案をあと回しにしておいて、六十日たったからあれは否決したものだ、返してほしい、衆議院では三分の二の人々が集まってそこで採決をしたと、こうなりますと、これで多数派の横暴はいよいよその道を広くするわけであり、したがって、当然この憲法の精神からまいりますと、会期延長は、どのように長くとも六十日でとめるのが至当だと考えるのであります。したがいまして、武藤山治議員の指摘した諸点——私、冒頭申し上げましたように、できれば石井議長に積極的な指導性を発揮していただきたかった。少なくとも、消極的にしろ、その意欲があることを私どもに示していただくならば、私どもは、この議長のもとにあすへの希望、あすへの期待を持ち続けることができたであろう。しかし、完全なる怠慢では、何としてもこの議長のもとに今後の国会運営を進めることは——野党に不利だとか、与党に有利だとかということを越えて、いわゆる国会の権威を高め、国民の国会に対する信頼を育て、拡大し、守るためには、議長の積極的な指導性が必要だという考え方に変わりはないのでありますので、御了承をいただきたいと存じます。(拍手)