中嶋英夫の発言 (本会議)

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○中嶋英夫君 健康保険特例法の問題が重要問題だから、自民党は暴挙強行をしようとした、私どもは、重要問題だからこれに対する監視をきびしくし、抵抗する、どこが重要かであります。この問題についての解明を井上議員は求められました。
 戦争前には、子供を五人、六人つくるのがあたりまえでありました。十人の子持ち、子福者というのも、そう多くはないが、たいていの部落、たいていの町内にあって珍しいことではなかった。いまは子供を二人でやめる、三人目をどうすろか。産児制限が普及したからといいますが、これは戦争が終わったあのあとの極端な食糧難、住宅難生活苦の中で、一時しのぎ、やむを得ないものとして私どもは採用したはずであります。決して一生、孫子の代までわれわれ日本人は子供はつくらぬのだと、こうきめたわけではない。その一時しのぎが、あたりまえになり、固定化しつつあります。これはなぜでありましょう。経済第一主義の影響であります。ものをつくる力は世界で三番目になった。船をつくらしては世界で一番、自動車をつくらしては世界で二番、そのつくっておる人々の生活の実態は非常におくれておる。いわゆる子供を産み、育てるという基本的この条件ですら、私どもは、戦前よりもきびしい状態を国民に与えておるということ。住むという条件、その他の基本的条件で、私どもは、大切なことをがまんすることによって、別な喜びを求める。たとえば子供をつくることをがまんをして、うちを建てようとしたり、うちを建てることをあきらめて、子供の進学、その将来に夢を託する。あるいは中には、うちをつくることはとても無理だ、貯金しても、地価がどんどん上がっていく。子供をつくることも、それをやれば生活が苦しい。両方あきらめた。それでは自動車を買おう、レジャーを楽しもう、こういう風潮を生む経済第一主義、そろばん主義、採算主義が、いわゆる社会保障制度として採用すべき日本の医療制度を、そろばんずくの社会保険として存在せしめ、そこに会計がちょっと苦しければ、いわゆる受益者負担の考え方で、せっかく日本をここまで持ち上げてきておる、努力しておる人々に負担をかけていく。こういうことで、健康保険の問題が絶えず国会で大きな議論になるわけであります。この真因を議長がよく知り、そのことについて議長としての見識ある立場から、慎重に、慎重にと審議を要請するのが当然だろうと思うのでありまして、この点不十分であったことは、残念ながら怠慢だといわざるを得ません。
 私は、本来、人を信じやすいほうであります。人と人との間はできるだけ好ましい状態に置くべきだという考え方を持っております。したがって、戦前からの政治家としての石井光次郎君の足跡をここで語ることはお許しをいただきたいと思います。また、その自民党内における位置とか、どういうお考えで、どういう動きがあったとか、何か忌まわしいことに関係があったかどうか、そういう問題についても答弁はお許しをいただきたいと思います。
 先ほど出ました、法律案をとにかく上げることに、上げることにと専念する最近の自民党の動き、これも私はやはり能率主義、打算主義、経済第一主義の影響だと思うのです。まさに行き詰まりを見せつつある日本の経済第一主義の、その悪い風潮がついに国会まで及んできた。いわゆる人間喪失の風潮を国会の中にまで広げていくということは、私は、特に前途有為と目される自民党内の生き生きとした若い議員諸君の中に広まりつつあることを、非常に残念だと考えるものであります。(拍手)したがって、こういう点について井上議員の御心配になる点は、ひとつお互いにお互いの問題として改革をはかっていくことが、かりに石井光次郎氏がこの議場で議員各位の多数の決議でこの議長の座を去りましても、その去ったあとを埋めるものとして、私は大きいものがあると信じます。
 それから、今後、安全保障の問題をめぐって国会がいろいろ紛糾する可能性が多いというお考えのもとに、国会運営との関係でこの点にお触れになりました。安全保障については、各党それぞれに意見の相違があります。しかし、少なくとも私どもは、議長のもとでよく話し合いをし、安全保障の問題と取り組むときに、どの党に所属しようが、合意する点があると思うのです。合意できる点があると思うのです。それは、いままでの人間の歴史は戦争、戦争、戦争の歴史でありました。人間の歴史そのものが戦争の歴史という、そういう感じすらありました、西洋においても、東洋においても、日本においても。そしてその戦争は、勝った者は得をし、敗れた者は損をする、いや、損どころか、非常に悲惨な状態におちいるということを歴史は示しております。したがって、おのおのの中には、戦には敗れてはならない、戦争で負けてはならないという、そういう意識がまだ残っております。しかし、いま、月にロケットが届く以上の大きな人間の歴史上の大変革があります。それは、戦争は勝っても負けても損だということであります。勝っても負けても何にも得ることがない。アメリカがベトナムの地で長年にわたって多額の戦費を投入して、いまアメリカ経済に大きな暗影を投げかけておる。三万四千の人命を失い、何十万というアメリカの青年が病み、傷つき、倒れていく、あるいはそれがアメリカの黒人問題に反映し、日本にない大騒擾事件がアメリカ各地に起きておるという事実、そして。ハリ会談の進行の中で、少しずつ、未練たらたら譲っていっても何もそこで得るものがないという、こういう事実。したがって、この点は、私は党派を越えて合意ができると思うのであります。同時に、戦争があってはならない。しかし、この戦争というものが、南米やアフリカやその他の国のようなおくれた地域では、どんどんぱちぱちの戦争があるかもしれない。しかし、工業力の進んだ日本、ドイツ、フランス、イタリア、アメリカ、ソビエト、こういう大国間において、もしあってはならない戦争があったとするならば、それは破滅の戦争、ボタン戦争、核戦争。したがって、私どもは、もし戦争が起きた場合に、どの党の政策がいいか、どの党の防衛政策がいいかということの比較をしておるということは、ちょうど関東大震災の二十倍、三十倍規模の大地震があったときに、自民党といううちなら残る、社会党といううちならつぶれるという、そんな議論をしておることと同じだ。したがって、私どもは、起きた場合という前提での防衛論争をやめるなら、新しい議長のもとに、安全保障の問題でさえ、国会の正常を保ち、権威を保ちつつ、お互いの真意を交換できることを信じ、井上泉議員に対するお答えとしたいと思います。(拍手)
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質疑終局の動議(園田直君外二十六名提出)

発言情報

speech_id: 106105254X05919690711_025

発言者: 中嶋英夫

speaker_id: 9540

日付: 1969-07-11

院: 衆議院

会議名: 本会議