川崎秀二の発言 (予算委員会)
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○川崎(秀)委員 質問を五つばかりしまして、逐次お話を聞いたわけですが、ベトナム問題に対してはたいして具体的な意見もないし、また差し控えたいというようなお話であった。
しからば、私は、いままでの経過と、それから具体的な私の考え方を述べてみます。これには少々時間がかかります。
ベトナム和平会議、パリ会議でただ一つ言い得ることは、これは唯一の救いでもあるけれども、平和会議が解放戦線とサイゴン政府を入れた。この二つが抜け出さない限り——私は再び戦争が起こるとは思わない。戦争が拡大するとは思わない。その保障がついたことだけでも非常なしあわせである。しかし、昨年のちょうどいまごろであります。いわゆる南ベトナムの、ベトコンのテト攻勢があって、ベトナム情勢が重大な局面にあったとき、私は自民党の総務会でしばしば、いまこそ日本政府はアメリカの首脳に向かって北爆の停止を要請すべきである、チン外務大臣の言明には相当な裏づけがあるということをおすすめしたのでありますが、当時はいれられなかった。当時の外務大臣三木武夫氏は、北爆の停止は世界の世論であるけれども、アメリカが北爆を停止するならば北ベトナムもこの対応措置を持たなければならぬと言って、一昨年の九月、テキサス州のサンアントニオというところでジョンソン大統領が言った方式を総務会でも繰り返しただけであります。三木外相はしばしば、ハンフリー副大統領、ラスク国務長官と北爆問題で話し合っているとも私には言っておったのです。けれども、北爆停止を要請した形跡がない。話し合ったというだけだ。これが佐藤首相の命令によるか、あるいは佐藤、三木両氏の合意によるかは、私はその機微の関係は知りません。しかしこの微妙な関連、ベトナム戦争の最中に、アメリカの足を引っぱるようなことはいけないのではないかという、まことに友人としてのうるわしい美徳というか、私は、これがしばしばアメリカのベトナム政策を日本が誤らした原因だと思っておるのであります。そうして野党からは向米一辺倒という非難が上がる。野党の言うことはかまわぬけれども、国民全般の心ある者の中に、率直に日本国民の感情を訴えてもらいたいというものが大部分であることは、これまた間違いないと私は思うのであります。
昨年、予算委員会に発言の機会を失って、私は政府に質問主意書を出しましたが、そのいわれはこういうことであります。
もしこの北爆停止の時期を失して、アメリカ軍部が焦燥のあまり、たとえ十七度線を突破しなくても——十七度線の突破ということはジュネーブ協定の違反になり、アメリカが加わっておらなくても国際的な制肘がある。そういうことをするアメリカではありません。けれども、ハノイ、ハイフォンに対する無差別爆撃というものはやる可能性がある。もし、じゅうたん爆撃無差別爆撃がハノイ、ハイフォンに集中されるならば、ホー・チ・ミン大統領は非常に自主、独往の人であるけれども、背に腹はかえられず、中共に大軍の応援を求めるというようなことになったならばたいへんだとわれわれは思った。もし内陸深く米中衝突の危機が始まれば、台湾海峡、東シナ海が封鎖されて、大戦勃発の可能性がないとは限らぬというのが昨年の一、二月の景況でございました。今日はそんなことはない。しかし海運によって今日の繁栄をなしておる日本の基盤というものは、米中衝突あるいは大戦の勃発ということになれば、その瞬間から、繁栄は土崩瓦解するわけである。そのときにやはり国会議員として発言しなければならぬと私は考えたわけであったのであります。
しかし、時は移って、ジョンソン大統領は、三月三十一日英断をもって北爆の一部を除く停止を断行したわけであります。私は、日本とアメリカと民主主義がいずれが健在であるかといえば、戦争をやっておっても、アメリカの民主主義はなお健在であるという証拠を、あの瞬間に深く感じたわけであります。
そこで、これから先はどうするかというのがわれわれの当面しておる問題である。この相互撤退というのは、愛知さんはいま言われましたが、撤退しようという約束をするという。それはちょうど北爆停止前のサンアントニオ方式と同じだということを私は指摘したい。なぜならば、アメリカがそう主張しておるのです。北ベトナムのほうは、最初はおれのほうの正規軍は南ベトナムへ入っておらぬのだ、そう言って突っぱってきた。このごろ少し変わっておるのは、南ベトナム出身の兵隊が十七度線から南に帰郷しているのだ。これはなかなか微妙です。その発言を、われわれはやっぱりニュアンスをとらえて、現下の解決の突破口にしなければならぬ。それはお互いにかってに自主的に相互撤退することであり、そのきっかけは米軍から始めなければならぬ。でかいほうから始めなければいかぬ。大きいものから始めなければならぬというのがわれわれの説である。しかし、最初の撤退を開始したときに、アメリカは世界に宣言をする必要がある。話し合いをしてもまとまらぬから、まず自分のほうから撤退するから、おまえのほうも撤退しろというならば、これは暗黙のうちに自主相互撤退というものが認められるということであります。こういう考え方について、愛知外務大臣はどう思われますか。