福田赳夫の発言 (予算委員会)
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○福田国務大臣 ただいま愛知外務大臣から詳細にお答えがありましたが、私もそのとおり考えます。
中国の問題は、いまわが国としては国民政府との間に正式な条約を結んでおる。これが正式の相手国である、こういうふうに理解しなければならぬ立場にありますが、同時に大陸には七億の民を持った一つの事実上の政権が存在しておる。この事実も私どもははっきりと見ておかなければならぬ、こういうふうに思うのです。私は、長い目から見ますれば、世界は一つの方向へ動いておる。現に世界には自由主義と共産主義の対決、争はありまするけれども、それを乗り越えて国際連合にソビエトロシアも入っておる、こういうのですから、そういう長い歴史の動きから見ますると、中国が国際連合に入っておらぬということは不幸な事態であり、また、これはかたわな状態である、こういうふうに思います。
しかし、これを妨げておる問題が私は幾つかあると思うのです。特にわが日本から見まして二つの問題がある。一つは中国の国際社会人としてのマナーです。この問題が一つあると思う。私、うちへ帰る途中で自動車の中でラジオをひねってみる。そうすると、ちょうどその時刻が中共から流してくる短波の時刻になる。これはもう日本のことを悪口を言わない日はない。また日本ばかりじゃないです。世界じゅうの自由主義諸国のことを悪口を言っておる。こういうようなことですね。一体、わが日本がああいう形で中共を批判しておるかというと、そういうことはない。にかかわらずそういうことが行なわれておる。
あるいは、わが日本と中共との経済関係はどうだ、こういえば、これはわが日本は政経分離で事を運ぼうとしておる。それでしかも、昔でいえばLT貿易、いまは覚書貿易というのでいこうじゃないかといっておる。それなのに向こうでは、これは恩恵貿易だというようなことで、また事をそらそうとしておるような行き方。あるいは報道人が北京に行って蒸発して、どうも行くえ不明である、こういうような状態。そういうようなことは、ひとりわが日本ばかりじゃないのです。各国にそういう関係があるわけであります。
私は、隣邦日本といたしまして、中共を国際社会へ復帰させたい、そして世界を平和にしたいということを考える一人でございまするけれども、その前提としては、わが日本は中共に近ければ近いほど、中共に率直にものを言っていいと思う。その率直にものを言う一つの重要な一点は、中共をして国際社会人としてのマナーをまず身につけろ、このことが私は欠けているのじゃないかと思うのだ。中共へ行って、毛沢東語録を首にぶら下げてこびを売って歩くとか、そういう行き方が一体はたしていいのかどうか。これは私、日本人としてよほど考えなければならぬ問題だと思います。
それから、もう一つの問題は、やっぱりわが日本が国民政府と特殊な関係にあるという問題ですね。これはわが日本ばかりではございませんけれども、特に近隣し、終戦前後を通じて特別の関係を持っておるわが日本とすると、重大な問題だろうと思う、このわが日本の特別の立場、これも十分考えておく必要があろうと思うのです。そういう特別な立場を考えながら、長い歴史の動きというものを見詰めながら善処していく、これが私ども日本人のとるべき態度ではあるまいか、さように私は考ておる次第でございます。