山本政弘の発言 (社会労働委員会)

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○衆議院議員(山本政弘君) ただいま議題となりました児童手当法案につき提案者を代表いたしまして、提案理由並びに内容の概要を御説明申し上げます。
 社会保障は、国民が共通の生活上の困難から、ひとしく守らなければならないことを理念としていることはいまさら申し上げるまでもないことであります。
 しかし、国民の生活権を確保するための老齢、失業、疾病、死亡、出産、養育等に伴う困窮に対して、その不安を解消するための経済的保障は決して十分とは言えません。この立ちおくれている日本の社会保障水準を経済成長にふさわしいものに充実させるために政府は努力すべきであります。
 御承知のように、児童手当制度は、すでに世界の多くの国々で、社会保障制度の最も大きな柱の一つとして実施されております。
 わが日本社会党は、今日まで児童手当制度は現体制下に残された社会保障制度の最後のものであるとして、その実現を強く訴えてまいりました。特に昭和四十一年以来、毎年国会において、質問、提案をし、政府もそのつど次年度実施を約束してまいりました。
 児童手当制度が社会保障制度の大きな柱の一つとなっているのは、児童の養育が家計を大きく圧迫する原因となっているからであります。昭和四十二年の政府の調査を見ても明らかなように、養育費の家計に占める割合は、義務教育終了前の児童が二人いる家庭の場合には三一%、三人の家庭では三八・八%となっており、養育費が大きく家計を圧迫していることは事実であります。
 昭和二十四年十一月二十日の国連第十四回総会において採択された児童権利宣言には「児童が幸福な生活を送り、かつ自己と社会の福利のためにこの宣言に掲げる権利と自由を享有することができるようにするため、家庭に属する児童について、その援助のため国その他の機関による費用の負担が望ましい。立法その他の措置によって、これら児童の権利を守るように努力することを要請する」と述べており、さらに昭和二十六年五月五日、わが国において制定された児童憲章にも「すべての児童は心身ともにすこやかに生まれ、育てられ、その生活を保障される」とあります。このように児童手当は、児童が享有すべき当然の権利なのであります。
 ところがわが国においては、これまで児童を家庭で養育することは家庭の本来的な機能であるとされておりました。このため児童の養育は、親の能力、資産の許す限度において、また家庭のアンバランスの上において行なわれてきたのでありますが、これは決して健全な姿ではありません。またそのような環境においては児童の心身ともにすこやかな成長は期待できません。
 申すまでもなく児童は次代の大切なにない手であります。その児童を心身ともに健全に育成するために社会は当然一定の責任を負うべきであります。
 昭和二十二年、社会保障制度調査会が児童手当制度の必要性を答申してからこの二十年間に、いろいろな審議会が、それぞれの立場から児童手当の実現について、勧告、答申などさまざまな形で早期実施を訴えてきています。これらの声に押されて歴代厚相、また佐藤総理みずから児童手当の早期実施を約束し、四十三年度をめどとすることを表明いたしました。さらに四十一年には制度創設検討のために、厚生省に準備室まで設け、昨年末には懇談会の結論を見ることができましたが、その創設は引き延ばされております。
 他方、地方自治体の中には、額は別としても児童手当を実施しており、その数は九十六市町村にものぼっており、社会党の市長である武蔵野市では全国に先がけて四十二年度より実施しているのであります。
 政府は財源難を理由に実施を引き延ばしていますが、その実施は財源問題というよりは、むしろ政府の姿勢にかかっているといえましょう。
 社会党は、さきに参議院に出産手当法を提出いたしましたが、世界第二位の生産力を持つ国にふさわしく、児童福祉のために一歩進んで胎児から児童の養育まで、一貫した国の責任として行なうべきであると考えます。
 次に本法案について、その概要を簡単に御説明申し上げます。
 この法案の基本理念として、児童は次代をになう者であり、社会は児童の福祉の増進をはかる責任を負い、児童はそれを受ける権利を有する、と社会の責任、児童の権利を明らかにしたのであります。
 その主な内容は、
 一、児童手当は義務教育終了前の全児童に支給するものとする。ただし心身に障害を有する者の場合は満二十歳までとすること。また居住地主義をとり、日本国民でない児童にも支給することといたしました。
 二、手当額は月額六千円とするが当面、昭和五十年三月までは三千円とする。
 三、手当額は国民の生活水準その他の変動に応じて改定の措置を講ずること。
 四、手当の支給に要する一切の費用は、原則として国の負担といたしますが、必要な範囲で企業も負担する。その負担割合は国が七割、企業三割とし、その企業の賃金総額の二%以内の負担とする。ただし、五人以下の企業は負担能力がないので免除することにいたしました。
 五、手当は毎月分をその翌月に支給するものとし、受給資格の認定は、都道府県知事が行なう。
 六、本法の施行に伴ない児童扶養手当及び特別児童手当は廃止する。七、この法律の施行期日は四十五年四月一日とする。などであります。
 以上がこの法案の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。

発言情報

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発言者: 山本政弘

speaker_id: 10465

日付: 1969-07-01

院: 参議院

会議名: 社会労働委員会