斎藤昇の発言 (社会労働委員会)

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○国務大臣(斎藤昇君) ただいま議題となりました国民年金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 国民年金制度は、昭和三十四年に創設され、同年十一月から福祉年金の支給を開始し、昭和三十六年から本制度の中心である拠出制年金の実施に入り、現在では、被保険者数約二千二百万人、拠出年金の受給者約十三万人、福祉年金受給者約三百十万人を擁する規模に成長しており、被用者を対象とする厚生年金保険と相並んでわが国公的年金の二大支柱を形成する制度であります。その間、昭和四十一年に制度初の財政再計算期を迎え、給付水準の大幅な改善を行ない、夫婦一万円年金を達成したところであります。しかしながら、現行の給付水準は、この数年間の著しい経済成長に伴う生活水準の大幅な上昇により、老後の生活を保障するには不十分なものとなりつつあります。一方、人口構造の老齢化現象、農村における生活水準の急速な向上などの事態に際して、老後の生活保障施策はますますその重要性を増しているのでありまして、これに対する国民の要望もきわめて強いのであります。このため、今回予定されている厚生年金保険の改善にあわせて、国民年金につきましても、本来の財政再計算期にあたる昭和四十六年を待つことなく、その大幅な改正を提案することとした次第であります。
 以下、改正法案の主な内容につきまして、御説明申し上げます。
 まず、拠出制年金に関する事項について申し上げます。
 第一に、年金額の引上げについてであります。
 老齢年金の額につきましては、現行は保険料納付済期間一月につき二百円で計算することといたしておりますのを、一月につき三百二十円に引き上げて計算することといたしております。この結果、二十五年納付の標準的な老齢年金の額は、現行の六万円から九万六千円に引き上げられることになるのであります。
 この改正によりまして、二十五年納付の場合、夫婦で受給する年金の月額は、通常、夫の定額分八千円、今回導入される所得比例分四千五百円、妻の定額分八千円を合わせますと月額二万五百円となり、いわゆる「夫婦二万円年金」が実現することとなるのであります。また、全期間四十年納付の場合では月額三万二千八百円となるのであります。
 なお、昭和四十六年には、国民年金の最初の拠出制老齢年金いわゆる十年年金の支給が開始されますが、資格期間が特例的に短縮されているこの経過的老齢年金の額につきましては、先に申し上げました単なる期間比例計算にとどまることなく、年齢に応じて特例的に加算措置を講ずることといたしまして、この十年納付の場合の年金額を二万四千円から六万円に、月額にして二千円から五千円に引き上げることといたしております。この措置によりまして、明後年には、夫婦で一万円年金が現実に支給されることとなるのであります。
 次に障害年金につきましては、現行法では、二級障害年金の最低保障額を二十五年納付の老齢年金の額にあわせて、六万円と定められておりますが、今回も同様な考え方のもとに、老齢年金額の引き上げに準じて、その額を六万円から九万六千円に引き上げることといたしております。また、一級障害年金の額につきましては、現行は二級障害年金の二〇%増になっておりますのを、厚生年金保険にわあせて二五%増とすることといたしております。
 次に、母子年金、準母子年金の額につきましても、従前どおり、二十五年納付の老齢年金の額にあわせて、子二人を扶養する場合で六万円から九万六千円に引き上げ、遺児年金につきましても、これにあわせることとし、三万円から九万六千円に引き上げることとした次第であります。
 第二に、所得比例制についてでありますが、他の公的年金制度におきましては、保険料及び給付の額が所得に比例する仕組みを設けているのでありますが、国民年金におきましても、今回、これにならうこととし、被保険者の実態を勘案いたしまして、まず、当面はきわめて簡単な仕組みの所得比例制を取り入れた次第であります。なお、これに伴い、政府の行なう所得比例制を代行いたしますと同時に、業種ごとの特殊の要請にこたえる上積みの給付を設計することができるようにするため、厚生年金保険における厚生年金基金に準じた国民年金基金を設立する道を開くこととしております。
 第三に、高齢者の任意加入の再開について申し上げます。
 昭和三十六年に拠出制年金が発足いたしました当時、任意加入する機会を逸した高齢者につきまして、今回、再び国民年金に任意加入する道を開くこととしております。しかしながら、この方々がすでに相当高齢であることを勘案いたしまして、保険料の納付は五年間にとどめております。
 第四に、保険財政について申し上げます。
 第一点は、保険料の額の改定についてであります。今回のように給付水準を大幅に引き上げますと、これをまかなう保険料についても当然相当額に改定する必要があるわけでありますが、今回はさしあたり百五十円程度の引上げにとどめ、四百五十円とした次第であります。なお、この保険料の額は以後段階的に引き上げることとしております。
 第二点は、今回新たに導入されました所得比例制についての国庫負担でありますが、国庫は、その給付に要する費用の二五%を負担することといたしております。
 次に福祉年金に関する事項について申し上げます。
 第一に、年金額の引き上げについてでありますが、昨年の引き上げに引き続き、昭和四十四年度におきまして老齢福祉年金の額を、現行の二万四百円から二万一千六百円に、障害福祉年金の額を、三万二千四百円から三万四千八百円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金の額を、二万六千四百円から二万八千八百円に、それぞれ引き上げることといたしております。
 第二に、夫婦受給制限の廃止等について申し上げます。障害福祉年金と老齢福祉年金を夫婦で受給する場合の支給制限につきましては、すでに昭和四十一年の改正の際に廃止いたしておりまして、今回は、夫婦がともに老齢福祉年金を受給する場合につきましても、その支給制限を撤廃することとしたものであります。これによりまして、現在この支給制限を受けておられる二十八万組五十六万人の方方の年金額が、夫婦で六千円増加することと相なるわけでございます。このほか、所得による支給制限につきましてもその緩和をはかることといたしております。
 次に、経過措置についてでありますが、現に、年金受給中の既裁定年金の額につきましても、本則の改正と同様に引き上げることといたしております。
 最後に、実施の時期につきましては、福祉年金の額の引き上げ及び夫婦受給制限の廃止は、昭和四十四年十月から、高齢者の任意加入の再開は昭和四十五年一月から、拠出制年金の額の引き上げ及び保険料の改定は同年七月から、所得比例制及び国民年金基金に関する事項は同年十月から、それぞれ、施行することといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに、御可決あらんことをお願い申し上げます。

発言情報

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発言者: 斎藤昇

speaker_id: 20497

日付: 1969-07-01

院: 参議院

会議名: 社会労働委員会