橋本登美三郎の発言 (外務委員会)

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○橋本国務大臣 今回のハイジャックの問題につきましては、特に外務委員会は、問題が国際的な問題に発展いたしましたので、たいへん各党ともに非常な御心配にあずかりまして、まことに感謝、感激にたえません。私現地に責任者として参りましたが、ただ申しわけないことは、ああいうような事件でありますだけに、いろいろ国際的な関係で、たとえば韓国記者団、日本人記者団、日本人記者団も百人くらい行っておりますから、それに外国人記者団と三つのグループがありまして、それに対する十分な情報を提供することが不可能であった、実際上人手がありませんので。さようなことのために正確に事情を刻々と皆さんのところに御通告申し上げなかったために、いろいろ国内においては心配をかけまして、その点の不手ぎわはひとつお許し願いたいのであります。ただ幸い山村政務次官の自発的な勇気ある行動によって最終的な措置を講ずることができまして、不幸中の幸いであると心から喜んでおるわけであります。また韓国政府をはじめ、あるいはソ連、北朝鮮等が人道主義という大きな目的のために協力一致せられまして、イデオロギー、政治関係を越えて、そうして万全の措置を講じてくれた、これに対しては関係各国に心から御札を申し上げる次第であります。
 この事件は、いろいろな意味において、われわれに考えるべき点、あるいは将来の取り扱いの点、こういうことについていろいろの資料と、またわれわれに考えるべき点を与えてくれたと心から信じます。何せ日本でハイジャックという問題は、これは初めてでありまして、それ自体でもってわれわれ当局だけではなくて、国民各位も非常な衝撃を受けた——外国のような何回かの経験があると別でありますけれども、ことに日本の場合は、先ほど松本さんからお話がありましたように、分裂国家といいますか、未承認国家がある。それと日本は国交を持っておらない。こういうことのためにいろいろな点で慎重に扱わざるを得なかったということも御了承願いたいと思います。
 この問題は、いずれ関係委員会においていろいろ私の考え方も述べたいと存じますが、ただいま松本さんからの御質問の要点は、やはりこれにも関連があるのでありますからして、大前提として、さようなことを申し上げたのであります。
 そこで、これは、私は松本さんの御意見も、また愛知外務大臣の——先ほどから松本さんのお話を聞いておれば、そういう外務大臣の御発言であるとすれば、これは、原則はそう変わっておらないのではないだろうか、私は外国旅行は好きでありませんのであまり行っておりませんけれども、あのEECグループといいますか、そういうところにおいては一つの身分証明書的なものをもってこれが済んでおる。しかし国交ができていない国では、やはり相当のむずかしさがあるようであります。御承知のように、東ドイツに入る場合は非常にむずかしい点があります。しかしながら原則としてこれほど飛行機による国際人的交流が激増してまいる場合において、かつまた世界のものの考え方が世界平和といいますか、そういう自由のもとに世界平和を求めるという人類のいわゆる大きな目的、こういうものがだんだんと実っていくに従って、こういうような人的交流が盛んになると同時に、ある意味においては人的交流を促進せしめなければならぬということによって、人類の平和といいますか、世界の平和を達成する努力が人道的な意味にも、あるいは政治の理想の上からも積み重ねられていく、とれが一つの理想であろうと思います。
 そういう意味におきまして、政府、おそらく外交の責任者である外務大臣としても、現状で直ちにいま言ったようなことのできないことは、松本さんもお認めのようであります。しかしながら積極的に、そうして徐々にそういうような実績を積み重ねていこうという前向きの姿勢は御了解が願えるのではないだろうか、私は運輸大臣としての事務的なものの考え方にとどめざるを得ませんけれども、その立場から考えましても、できるだけ陰といっては問題がありますけれども、慎重なる中に人的交流としては比較的容易に行なえる状態をつくっていきたい、かような考え方を持っておりますので、外務大臣のお考え方と松本さんのお考え方とは、必ずしも全然食い違っておるのではない。ただ現在の国際、国交、あるいは条約等の関係から、その間におのずとある程度は違わざるを得ない点もあると思いますが、特に未承認国の場合、国交のない場合は、それらのお客を送った場合、あるいは入った場合に、もし不注意によって問題を起こしたときに、問題の解決が非常に困難になります。そういう意味においていろいろ慎重に問題を——向こうに送る場合におきましても、慎重なる態度をもってその人たちを送ったり受け入れたりしませんと、問題をかえってつくり上げる場合もあり得ると思います。そういう意味において、今回人道的立場で北朝鮮当局が山村政務次官や機長らを直ちに送ってくれたことに感謝をいたしたい。一つは、山村政務次官というものの資格がはっきりしておる。いまさらこれがどうかと調べる必要もない。機長にしても資格がはっきりしておるという点で、あまり御迷惑をかけることがなかったのではないだろうか、これが日本ですらも、なかなか乗った人の身分が当時はっきりわからなかった、住所と氏名が一致しなかったのもあったようであります。そういう状態で参りますと、かえって相手方に御迷惑をかげる場合もあるということで、お互いに公的機関を未承認国の場合には持っておりませんために、これらの行き違いが起こり得る危険性もありますので、できるだけ親善関係といいましょうか、人的交流は好ましいのではありますけれども、それらについても、おのずから慎重な態度をとらざるを得ないというのが、われわれの考え方でありますが、気持ちとしては、日本の憲法のたてまえからも、また総理大臣が言っておるように、どこの国とも仲よくしていきたい。イデオロギーを越えて仲よくしていきたい。おのずから国際政治の何はあるけれども、その気持ちとしては、どこの国とも仲よくしていくようにしたい、こういう考え方は、皆さんと決してあまり変わりはないと私は考えておるわけであります。
 第二の中共の、いわゆる臨時便、ハバロフスク—大阪間の問題でありますが、これは実は私が官房長官をいたしておりましたその後において、当時交渉がありましたハバロフスクと日本との間——新潟等でありますが、それに対しまして、日本側も必ずしも反対ではない。その後四十四年に、日ソ航空交渉の際に合意したわけでありますが、ただ私は、当時官房長官としてソ連の大使にも、それからちょうど日本に参られました外務次官——大体かたかなの名前を忘れる傾向がありまして名前を忘れましたけれども、その従属者である外務次官が参りましたときにも、その問題は日本でもあるけれども、それについてはわれわれは必ずしも反対ではない。ただしかし、本筋でない問題に力を入れるよりは本筋に、モスクワと日本のいわゆる相互乗り入れを考えるべきじゃないか、そういうことによってお互いの信頼感が増すと同時に交通上の利益も非常にこれは倍加される、われわれはモスクワと東京間の乗り入れのほうがより日ソ関係の親善を増す上においては重要じゃないか、いろいろソ連には事情があるようだけれども、そういうことによって日ソ関係のいわゆる親善関係を抜本的に促進せしめるということが必要であろうということを、総理大臣、私も同席いたしましたが、私からも強くその点を要請をいたしたのであります。ちょうど四十年の暮れでありましたが、日本大使から、これはコスイギン首相の佐藤総理に対する親電であるという中に、日ソ航空について交渉をすることをしようという、本式の内容は忘れましたが、さような意味の電文があったのであります。そのときに、総理、私、当時の外務大臣、椎名君でありますが、これはどういうことだろうか。
  〔田中委員長退席、永田委員長代理着席〕
ハバロフスクと日本間の問題であろうか。それなれば、私はすでに、その問題については原則としてはかまわぬけれども、それじゃなくしてモスクワと日本との間の本筋の、いわゆる航空交渉がわれわれは望ましいんだ、それについての回答をわれわれは知りたいんだ、こういうことを言ってありますので、私の判断としては、このコスイギン首相から言ってきたこと、これはモスクワと日本との乗り入れについて交渉を始めてもよろしい、お互いに検討してもよろしい、ころ理解すべきではないか。いろいろ総理、外務大臣と三人でお話しした結果、総理も、たぶんあるいはそうかもしらぬ、そういう意味にわれわれはとるということで、四十一年の元日に大きなニュースとなって、初めてニュースらしいニュースが元日の新聞を飾ったのであります。それからモスクワ−東京間の乗り入れ交渉が始まりまして、長い間かかりまして日本が自主運航を展開することになりましたが、とにかくそれがあったのであります。したがって、このハバロフスクと日本間のローカル線、この問題は日ソ航空関係から見れば、原則としては日ソ航空交渉において合意しているのでありますからして必ずしも問題はありませんけれども、ただ、これから経済上の問題を考え、あるいはこれは貨物の輸送等も考えておるようでありますが、そういう面から見て、はたして今後定期的に、永続的にやっていける可能性があるかどうか、現状からいって、という問題が残っているわけでありますけれども、現状では、ただいま御承知のように、ハバロフスクと大阪の間には大阪万博のための臨時便がすでに十二便運航されております。今後引き続き万博期間中はこれが動かされますので、それらの実績及び将来のお客さん及び貨物の量等を検討した上でお互いに——これは政治問題でありません。ある意味においてはこれは経済問題といってもよろしい。そういう極東の開発は、日本に対してソ連政府からも要請があり、日本ももちろんコマーシャルベースにおいて可能なものはやろう、こういうような基本的なことすらも出ておるのでありますから、したがって、この線について何ら政治的要件を加える必要はないという意味において、問題は経済的問題でありますから、私は万博等においてこれらの実績を見た上で、そうしてお互いに希望があれば検討を加えていく、こういう考え方でおるわけであります。
 第三の、中共のいわゆる臨時便の問題でありますが、御承知のように、これは定期航空になりますと航空協定ということになります。航空協定を持つということは、政府間の協定ということになるわけなんです。そういうことが、何せ国際慣例であり国際通念なんですね、なかなかお互いに隣同士がというわけにはいかないところに国際政治のむずかしきもあることは御承知のとおりであります。そういうような問題があり、かつまたその間においては領空上、航空管制の問題があることは、これは御承知のとおりであります。韓国及び台湾側の航空管制の問題、これらの了解を得なければ飛べないという問題もある。こういうことで、いわゆる定期航路を結ぶことができるかといえば、そういうような国際関係等の問題から考えて、なかなか困難な事情が現状ではあるといわざるを得ません。ただ、松村謙三氏が向こうに参りまして帰る場合に、非常に健康上無理があるというのは人道上の問題であり、そういうような場合においては、これは私は外務大臣にお願いをし、また外務大臣もその意向でありますが、その必要があれば出してもよろしい、こういう了承を得ております。松本さんは、そんなことだけではなく、もっとスムースに人的交流ができたらいいじゃないか、こういうお話でありますが、いま申しましたように、中期航路を結ぶということは、やはりお互いに国家間に国際定期航路開設に関する航空協定がなければならぬ、こういうような間々かた苦しい国際関係がありますので、直ちに定期航路を開設するということは困難である。いわゆる臨時便の形で、しかもいろいろ制約がありましょうけれども、子の制約をできるだけお互いの理解で、より関係国の理解を求めつつ、そうしてこれを徐々に進めていくというわれわれの政府の考え方はひとつ御理解を願いたいのであります。ただ、総理大臣も外務大臣も言っておりますように、人的交流は非常にわれわれは好ましいと思っておる。したがって、最大限可能な範囲において、そうしてお互いに人的交流及びその国、お互いの国を刺激しないというかあるいは干渉しない、内政不干渉でありますが、それは政治の上ばかりじゃない。文化、言論の上においてもさようなことは抜きにして、そうしてお互いが知り合うというための、あるいは文化交流、人的交流というものは好ましい、こういうことは政府も言っておりますし、われわれもそのように考えておるし、皆さんもそのようにお考えになっておる。その道が必ずしも定期航空によらなくても、それは多少不便がありますけれども、しかし香港回りでも可能でありますので、できるだけ現状においてはそのような道を講ずる以外にない。ただ臨時便の場合は、やはり特に必要性があった場合、ケース・バイ・ケースで考えて、そうして可能な範囲で進めていく、かように私もいたしたいと考えております。
 第四の、いわゆる旅行あっせん業法の改正の問題でありますが、この問題はまだ運輸省において成案を得ておる問題ではありません。ただ最近、御承知のように、非常な数で飛行機を利用する人が多くなってまいっております。あるいは一般の旅行も非常に多くなっておる。国内飛行をする者は、十年後には一年間に一億二千万人の人が動くだろう。そうなりますと、一年間に生まれた赤ん坊一人まで動く、ある人が三回、五回乗るからでありますが。さようないわゆる飛行機だけを考えても、旅行の数というものは非常に激増をしてきておる。そういうような激増に伴って、サービス業者あるいはそういう交通機関と旅客との間のトラブルあるいはあっせん業者との間のトラブルが発生し始めておりますので、そこで従来あまりに不明確であった旅行あっせん業者の取引のルールをきめたい、こういう考えは運輸省当局も考えております。しかしこのために大企業だけに片寄るような、中小企業を圧迫するようなことはもちろんあってはなりません。先ほどお話しがありました懇談会なるものは、これは運輸省の特別の機関でもありません。ある意味においては研究機関でありますからして、その機関から出されました意見は意見として、一応われわれは参考資料にはしますけれども、それを全面的に取り上げる考えもない。当然これらをやる場合においては、運輸省が自主的に独自の立場から関係方面の意見を十分に、中小企業に至るまで、あるいはお客さんの意見も十分に徴して、そうして旅行あっせん業者の中小企業の実態に対しても十分に調べた上、かつまた迷惑を、中小企業圧迫というようなことにならないように、全体が日本は営業の自由という原則があるのでありますからして、そういう上に立って公正にしてしかも自由経済、あるいは自由に商売をし得る、こういう原則をもある程度貫きまして、満足できるものをつくりたい。まだ残念ながら申し上げるような具体的成案を得ておらないのが現状であります。
 以上、松本さんの御質問に対してお答え申し上げます。

発言情報

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発言者: 橋本登美三郎

speaker_id: 16384

日付: 1970-04-08

院: 衆議院

会議名: 外務委員会