手塚良成の発言 (公害対策特別委員会)
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○手塚政府委員 これは、一つは事件の起こりました経過との関係があるわけでございまして、油が流出いたしたとわれわれが考えておりますのは一日の朝からであります。そこでこの船は三日に出帆をいたしております。この一日から三日までの間というのは、先ほど申し上げましたような二百六十六隻の調査あるいは最終的には三十九件にわたる関係の油の分析、そういうようなものをやっておりまして、いまの船との関連性というのは今日ほどまだ明白ではない。そういったもろもろの対象の一つにはなっておったと思いますが、今日ほどの関連性ではないという時期であったわけです。そこでそのままその船は出航をしてしまった、これは私はやむを得ないんではないかと考えます。ただ、これが出帆した後において、もう少し早くわかった時期に呼び戻したらどうだ、こういうことがあるかと思います。ただ、これを呼び戻すという権限につきましていろいろ法的なよりどころが必要であるわけですが、いま先生は四十二条の「(油による著しい汚染の防除のための財産の処分)」というところを御引用になったわけであります。この法律はむずかしい解釈問題は別といたしまして、これはきわめて緊急な際の財産の処分でございまして、きわめて緊急な、大量な、異例な時期にこういった船舶を破壊する、あるいは排出された油を焼却する、あるいは現場付近の海域にある財産の処分をする、こういうことができるという権限であります。
具体的な事例でいいますと、五年前になりますか、イギリスの海浜におきまして、トリー・キャニヨンという船が大海難事故で油の大流出をやった際にイギリスの政府がとりました処置であります。ああいったような事態の際に政府がとった措置をわれわれとしても、日本政府としても、類似の場合にやり得るということをきめた内容であります。これからこういうことすらできるのであるから、呼び返すくらいわけないではないかというふうなあるいはお考えがあるかと思いますが、これはこういったきわめて限定された具体的な事態をきめておりまして、これからすべてそういったことが可能である、これは権威ある法律解釈としてむずかしいということになっております。
その他そういった法律根拠等につきまして、私どもは実は研究をいたしましたし、関係のところに法律解釈等も問い合わせをいたしました。しかし、現段階におきましては、そういうことはむずかしいということで、結局私どものほうで先回りをして待ち受けるというていさいをとるということで、ただいま向こうに船が入港する前に係官が派遣できて、油その他についての調査あるいは必要なる尋問を可能にする、こういう手段をとりつつあるという状況でございます。