寺本廣作の発言 (公害対策及び環境保全特別委員会)
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○寺本広作君 船後局長の答弁が少し後退したように思いますな、先ほどの答弁よりも。大石長官、やはりこの公害被害者の、病気の救済と損害賠償は別だというお考えが非常に強いのじゃなかろうかと思います。そういうことで、水俣病として認定は受けたが、損害賠償は受けられぬという事態が考えられる、その場合のことを考えていろいろ答弁が、こう弱くなったり強くなったりするのじゃなかろうかと思います。
私はいままでの裁判のあれを見ておりまして、阿賀野川の裁判というのは、これは事業主の過失を裁判所が推定してくれた。というのは、阿賀野川事件のときは、もう水俣のあの有機水銀が工場から出て、魚介類のからだを通って、人間にそれがとり入れられてくるということが立証されたあとです。会社は無機を使っているけれども、製造工程で無機が有機に変わって、有機が魚介類に入って、人体に蓄積されて水俣病になるということが立証されたあとですから、昭和電工の責任者は当然そういう排出物が出ないようにする義務があった。その義務を怠ったから過失があるということで、あれは賠償金が取れたと思うんです。
水俣病の場合には、そういう病気発生のメカニズムが立証される前のことですから、非常に裁判に持ち込んでも賠償の責任が立証しにくいと思います。それで、この法律で救わぬなら、もうほかに救う方法がないわけですよ。そこで、ほかに故意過失を立証する方法がないものだから、長官のところに持ち込んで何とかしてくださいと言っているのは、もう裁判所に行ってもいかぬ、中央公害審査委員会に行っても方法がないというので、長官のところにお願いに来ていると思うんです。水俣病の認定は受けた、しかし損害賠償は取れぬということは、これは患者が納得せぬだけでなく、国民感情としても、水俣病として認定は受けたけれども賠償は野放しだということではおさまらぬと思うんですよ。そういう追い詰められた気持ちで長官のところに、何とか調停してくださいと言ってお願いしているのが、いまのこの患者の気持ちだと思います。ごめんどうでも長官がそれをとにかく助けてやろうという気持ちでやってくださっているのは、そういう気持ちからじゃないだろうかと思います。
そうしてみると、やはりこの三項の解釈は、損害賠償の責任の確定したものを保障するというだけでなく、やはり水俣病として認定を受け、損害を受けているという、人間の責任関係を抜きにして保護する方法を考えていただけぬかと、そういうふうに三項を読めぬかということをお願いしているのですが、船後調整局長さんの答弁は、先ほどの答弁よりも、いま訂正されたのは少しまた狭くなってきたなという感じがいたします。大臣のお心持ちを伺って、この質問を締めくくりたいと思います。