田中角榮の発言 (内閣委員会)
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○田中内閣総理大臣 二次大戦を契機にして人類も、戦争というものが人類のために不幸をもたらしても、幸福をもたらすものではないという機運が生まれるきっかけをなしたことは事実だと思います。しかしその後、世界各地における植民地から独立へというような過程もございましたので、四半世紀余の間には必ずしも平和ではなかった地域がたくさんございます。私が具体的に指摘するまでもなく、歴史の示すとおりでございます。しかし、そういう局地的な紛争は避けがたいものであるとしても、平和な方向を見出すべく人類が探求しつつあったということは事実だと思うのです。そういう意味で、両独間の話し合いが行なわれ、また独ソ条約が締結をされ、またEC各国とソ連との間に経済交流が進むというような機運ができてきました。同時に、長い戦火に荒廃しておった両ベトナムも、パリ会談を契機にしてだんだんとよき方向に転換しつつございます。定着するというまでには間があるにしても、いずれにしてもそういう状態でございます。南北朝鮮、韓国と北朝鮮の間にも話し合いが進むというような状態であり、この間の両朝鮮の代表が、大統領が発言したことは、大きな食い違いはあるにしても、いずれにしても国連の場に乗ろうという意思表示というものは非常に前向きのものであると考えます。しかし、そういう四半世紀の間にそういう人類の英知がだんだんとそうなってきましたが、これは無原則でそうなってきたとは思わないのであります。やはりバランス・オブ・パワーという力の均衡の上に立って、そういうワク組みの中でお互いが一つずつものを解決して平和の方向をさぐろうということであります。
その中で一番最後の問題として残っておるのは、核保有国の核という問題に対してどうするのかという問題が人類の一番大きな問題だと思うのです。そういう問題で、不拡散条約というような問題の批准をどうするか、各国がみんな考え、批准までに至っておらないという状態でございましたが、そういうような時代に、米ソの間で核不戦協定が公にされたということは相当な進歩だと思わざるを得ません。これは評価せざるを得ません。これが不拡散条約になり、不戦条約というよりも核軍縮につながり、核は平和利用以外に使わないという、日本の原子力利用法のような、そういうものまでに至るように努力を続けなければならないと思うのです。そういう意味では日本は、新しい憲法を持ち、核は平和以外には使ってはいかぬ、こういうことをやっておる。その面では最大の先進国だと思います。私は百四十カ国の中の最も先端を行くものだと思うのです。そういう立場から言うと、核の問題はタブーだと言っておった米ソ両国が核不戦の宣言を行なうことだけでも、平和のために大きな前進をもたらすものだ、こう理解をしておるわけであります。私も七月の末にはアメリカへ行き、九月の末から十月の中ばごろまでにはヨーロッパ及びソ連を訪問する予定になっておりますので、それまでよく勉強しながら、人類の平和というものに対して日本がどういう役割りを果たさなければならぬかという問題に対しては十分勉強しながら、平和のためにいささか寄与してまいりたい、こう考えております。