田中角榮の発言 (内閣委員会)
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○田中内閣総理大臣 第一点は核防条約の問題でございますが、核防条約の批准については、御指摘のとおり、核軍縮の問題とか、平和利用の問題とか、非保有国の安全の問題とか、また核の国際管理機構をどうするかというような問題があることは、御指摘のとおりでございまして、国際原子力機関と保障措置協定につき外交当局が現に折衝中でございます。そういう意味で、これがまとまればわが国も核拡散防止条約の批准は行なわなければならない、こういう考えに立っておるわけでございまして、これらは米ソの間の協定宣言もあったわけでございますから、両国首脳との間の会談では、これらの問題に対しても忌憚のない意見の交換を行ないたい、こう考えております。
第二は、アジア集団安全保障の問題でございますが、これは日本がイニシアチブをとったほうがいいという御議論もございますけれども、率直に申し上げると、米ソが話し合いの段階に入ったことは大きな前進だと思いますが、中ソの問題もございます。また米中の問題もあるわけでございます。そういう世界の三大国といわれておるものの利害がアジアに集中しておるこういう現状、そういう現状を全く無視してアジアの集団安全保障を唱えても成否が論じられないわけでございますので、そういう問題はやはり現状を十分踏まえて、将来的な、理想的なものが一体どうすればできるのかということ、これは原理はあくまでも過去のワク組みというものの中で安全が保たれておるという事実を評価しながら、やはり時の推移という中で日本も勉強していくべき問題だと思うのです。私が施政方針演説の中で述べたアジア復興会議というものは、アジア太平洋地域だけではなく、ヨーロッパのEC各国や、特にソ連、中国、アメリカというものが、このベトナム南北の経済復興というものに対して、わしは北だけだ、わしは南だけだということではなく協力をし努力をすることができれば、これは将来大きくアジアの平和に寄与できる機構になり得るのではないかということで、当面する問題としては、両ベトナムの経済復興のために復興会議の提唱を考えてみたい、こう述べたわけでございます。
それから第三の問題でございますが、これは国際的に、エネルギーの問題とか、それから国際通貨の問題とか、安全保障の問題とかいうものが議題になっておる。議題になるだけではなく、これはどんな大国でも避けて通れないような問題になっておる。これは食糧問題一つからいってもそのとおりでございます。これはやはり、鎖国政策というようなものだけではお互い自身も困るし、同時に世界の平和に寄与することもできない。やはり開かれなければならない。開かなければならないという状態が、大きく米ソの今度の会談になっておると思うわけであります。そういう意味で私も、一つ一つの具体的な問題もさることながら、日ソの間に意思の疎通をはかろうということで訪ソを考えたわけでございます。
そういう意味で、いろいろ考えられますが、しかしこれが、ただ二国間の協定だけでどうしよう、また地域的にどうしようという問題よりも、帰するところ国連機構というものが完備をされ、それで安全保障の問題に対しては国連機構中心ということになることが望ましい。これは国連中心主義はだれもいなんでおらぬところでありますから、そういうところに持っていかなければならない。いま日本を常任理事国にしなければならぬのだという意見はだんだんと理解を得つつあることは、これは理解いただけると思うのです。そうなれば新しい憲法を持ち、国際紛争を武力で解決しないという崇高な憲法をわれわれは保持しておるわけでありますし、核は平和利用以外に使ってはならない、こういうような基本的な法律を持っておる日本としての発言力、日本としての推進力というものは評価できると思うわけでございます。そういう意味で、国連中心というようなものをひとつ積極的に推進をしてまいりたい。そういう意味で、国連の分担金も相当大幅な引き上げになりましたが、甘んじてきん然とこれを納入しよう、こういう考えに立っておるわけでありますので、それらの事情も、これから訪米、訪ソ、訪欧という間には十分首脳者で意見の交換をしてまいりたい、こう考えます。