和田貞夫の発言 (本会議)
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○和田貞夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明がございました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、わが党の考えを明らかにしながら、若干の質問を行ない、総理並びに関係閣僚の答弁を要求するものであります。(拍手)
まず第一に、いままで二回にわたって廃案のうき目を見ている防衛二法を、またまた提案されているのでございますが、世界の各国が平和を目ざして、懸命の努力を続けている現下の国際情勢において、ひとりわが国のみが、専守防衛に名をかりて、戦力増強を推し進めようとする政府の意図が、一体那辺にあるかについてであります。
第二次世界大戦以降、戦火の絶ゆる間のなかったベトナムに平和が回復し、中国と日本は、大使を交換する段階にまできたのでございます。
昨年一月時点における国際情勢下においても、本会議におけるわが党成田委員長の質問に対する佐藤前総理の答弁中にも、「もとより、現在わが国を侵略しようとする国があるとは考えられませんが」、と言明されておるのでございます。一年後の今日の情勢は、さらに平和に向かって進んでいるにもかかわらず、四十八年度予算案では、実に一兆二千億にものぼる巨額な軍事費が計上され、自衛隊の質、量とも増強をはかろうとしているのでございます。まさに、逆行という以外はございません。(拍手)一体、どこまで軍事力を増強したら気が済むのか、総理の真意を知りたいのでございます。
私は、そのような防衛力よりも、わが国及び全世界の平和保障にこそ真剣な眼を向けるべきであると考えます。安全保障ではなく、平和保障にであります。
総理は、日本の防衛費を、GNPと国家予算に占める比率で、日本より少ない国がないと宣伝し、国民の目をそらそうとしておるのでございますが、過去十カ年間の主要各国における防衛費の相対的な変化を見てまいりますと、まず、フランスの軍事支出の増加率は、わずか二六%にすぎません。西ドイツは八七%で、イギリスは二二・五%でございます。ところが、わが国の増加率は、実に三八四%にも及び、西ドイツ、スウェーデンのように、比較的軍事支出が高いテンポで増加している国々の二倍、フランスやイギリスとの比較では、三倍から六倍と、断然群を抜いているのでございます。
七一年における全世界の軍事支出は二千百六十億ドル、過去十カ年間に九百七十億ドル、八二%の増加であり、その傾向は、六九年をピークに、七一年では二%も減少しておるのでございます。わが国のみ例外で、急テンポで伸ばし続けているのが実情でございます。この調子でいくと、四次防最終年度の七六年には、五十六億ドルをこえ、その上、五次防ということにもなれば、世界第四位の戦力を保持する大自衛隊にのし上がるのでございます。
しかし、私は、そのような結果にならないと信じております。なぜならば、そのころには自民党政府はなくなっておるからであります。(拍手)
このような無謀な計画と、世界に脅威を与える意図を持っている限り、田中内閣は、最も近い将来、国民の支持を全く失うものと警告しておきたいと思います。
ところで総理、あなたは、前の国会で、少なくとも、東西問題から南北問題に世界の重点が移って、南北問題さえ円満に解決できるような状態が来れば、理想に近い姿であり、お互いが個々に防衛力を持たなければいかぬという時代から遠ざかるものだ、こういうように述べておられるのでございます。
総理、いまや情勢は、あなたのおっしゃるとおりに動いておるのでございます。ベトナム停戦はもとより、ラオスにおいても、自主的平和統一実現のための話し合いが始まっています。このようなときに、なおも軍拡の考え方を放棄しようとしないあなたの真意は、一体どうなのか、具体的にお聞かせ願いたいのでございます。(拍手)
先ほども申しましたように、軍備による安全保障に依存する考えを捨て、体制の異なる国々とも友好親善を深め、領土と主権の尊重、相互不可侵、内政不干渉、平等互恵、平和共存の五原則によって、国際関係を樹立していく平和保障こそ、わが国外交の基本とすべきであると考えますが、田中内閣の防衛政策は、国土と国民を守ることよりも、独占資本主義体制を守ることに重要な視点が置かれていると考えざるを得ませんが、総理並びに関係閣僚の御見解を承りたいと思います。
第二に、沖繩への自衛隊配備の問題であります。
昨年の国会で、沖繩派兵要員も含めた防衛二法が廃案になっているのでございますが、沖繩へは、現に、陸海空部隊が一体となった作戦部隊ともいうべき姿で配備されています。これはまさに国会素通りであり、自衛隊法の脱法行為といわざるを得ません。
その上、いつでも大部隊にふくらませることができる戦時編成になっているのでございます。たとえば、陸上自衛隊にとってみますと、この部隊は、今年一月現在で、総員九百七十六人、そのうち下士官以上が五百一人、兵はたった三百三十六人、三分の一にすぎないのでございます。ところが、自衛隊の広報紙「朝雲」では、ミニ師団と呼んでいるとおり、一個師団の編成に相当する幹部構成なのでございます。兵隊さえ送れば、いつでも師団編成が可能だということです。このことは、自衛隊全体に通ずることでもあり、徴兵制の道さえ開ければ、帝国陸海軍がすでに再現しているのでございます。
私は、いま、昭和十九年四月福岡で編成され、沖繩に派遣された大本営直轄の第三十二軍を思い起こしてみたいと思います。
この自衛隊派兵は、すべて防衛庁長官命令で編成され、シビリアンコントロールの最高機関である国会をも無視した派兵である限りにおいては、総理並びに防衛庁長官の現時点における赤裸々な気持ちをお聞かせ願いたいと思います。(拍手)
ところで総理、総理は、自衛隊員の住民登録拒否の運動が沖繩から起こり立川に発展してきたことについて思いをいたしたことがございますか。あなたはこのことを、住民登録は国民としての権利義務の行使の基礎となるものだけに、はなはだ遺憾である、ときわめて一般的に考えておいでのようでございますが、この住民登録拒否の運動は、ほかでもございません、沖繩の凄惨な戦争体験の中からにじみ出た、自然発生的な感情の噴出が行動となってあらわれたものでございます。
総理、重ねて言いますが、この運動は沖繩から起こり、本土の革新市長が呼応し、自治体に働く自治労の諸君も参加し、拡大していったのでございます。
あの米軍の鉄の炎の下を、どろの中をはいずり回った沖繩県民の戦争に対する憎しみ、軍隊に対する、私たちには考えの届かぬ沖繩県民の気持ちを、あなたはお考えになったことがございますか。本土のわれわれには戦争が終わったあとも、沖繩ではその後なお二十数年間米軍暴虐下の生活が続き、しかも今日もなお続いているのでございます。
帝国軍隊にかわって米軍、そして今度は自衛隊と名のつく新日本軍の配備であります。あの凄惨な太平洋戦争の最後の舞台となった沖繩全県民の生存権をかけた戦争体験と、県民感情を抜きにしては、再び、ニクソン・ドクトリンにいうところの局地的戦争を想定した沖繩派兵に対する、沖繩百万県民の無言の抵抗であることを、おそらく理解できないでありましょう。(拍手)
総理、自衛隊法を改正するよりも、まず、現行自衛隊法に違反し、国会を無視した、そして百万県民が拒否している沖繩配備の自衛隊をすみやかに撤収すべきであると思いますが、総理の決意のほどをお尋ねいたしたいと思います。(拍手)
第三に、今回の防衛庁設置法改正による自衛官の増員問題でありますが、昨年の十一月三十日現在で実に二万六千三百六十三人もの欠員があるということです。この事実はいかに志願者が少ないかを示しているのでございます。これに定数を六千九百八十八人増員ということになると、さらに欠員を増加するだけであり、自衛官募集にあたっては、無理が原因で各地で不祥事を起こしているのでございますが、さらに拍車をかけることになるのは火を見るよりも明らかでございます。また、自治体に対しても、募集事務の押しつけがいままでより一そう強化されることも予測されるのでございます。
最近、大阪で起きた事件でありますが、去る一月十九日、高校二年生のT少年が中学校時代のN君と二人で家出をし、大阪市内で自衛官募集のポスターを見ていたところ、自衛隊大阪地方連絡部の広報係長なるものが来て、二人を同連絡部に連れていき、PR説明したあと、自衛官試験を受けさせ、体験入隊させているのでございます。ところが、入隊日は一月三十日であるため、隊内に宿泊させながら、近くの会社にアルバイト就職させているのであります。わが党大阪府本部の調査によりますと、この会社は、自衛隊からたびたび頼まれると言っておるのでございます。明らかに職業安定法違反行為でございます。
ところで、T君の家では、十九日の夜から丁君が家に帰らないため、保護願いを出していました。その間、自衛隊では一月二十三日に家庭調査を行なっていますが、肝心の丁君の家には行かず、近所で身元調査を行なった結果、T君が高校二年生であることを知るのでありますが、その事実を知っても、親元へ帰さず、近所からの知らせで、T君の父が返すよう要求して、初めて二十五日に帰宅させているのでございます。このような行為は、暴力団が家出少女を誘拐して働かせるのたぐいとあまり変わらないといっても過言ではございません。
しかもT君は、未解放部落出身の少年で、差別と圧迫に戦うことができず、おもしろくない毎日を送る中で、学校を休み、家出となったのでございます。このことによって、自衛隊幹部が国民的課題としての部落問題にいかにうといかが実証されておるのでございます。
T君の在学している高校の校長先生も、今回の問題は、社会的な貧困と差別が解決されていないところに家出少年の問題があり、そこに自衛隊がつけ込んだ悪どい隊員募集であり、自衛隊がいかに反国民的な存在であるかをはっきりと示したものだ、このように言っておられるのでございます。
少年の向学心を妨害し、少年を略奪するがごとくして少年の未来を破壊しようとする自衛隊が、どうしてわが国土を守り、国民を守ることができるのかと言いたいのでございます。(拍手)
総理、この問題に対する明確な御見解を承りたいと思います。また、関係閣僚の所見もあわせて伺っておきたいと存じます。
最後に、私は決断と実行をスローガンにする田中内閣に対し、わが国が平和保障を基本とし、いまや世界の平和への流れに抗しがたい日米軍事同盟ともいうべき日米安全保障条約を直ちに廃棄し……
〔発言する者多し〕