木下元二の発言 (本会議)
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○木下元二君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま趣旨説明のありました防衛二法の改正に関して質問を行ないます。
今回の防衛二法改正案について第一に指摘しなければならないことは、それが大量の自衛隊員増強を企てている点であります。
四十六年度、四十七年度と過去二カ年にわたって国民の強い批判で廃案となった約四千九百名の自衛隊員増員計画に、新たに四十八年度分約二千八十名の増員を上のせし、総計七千名に達する増員を政府が要求していることは、まさに国民に対する重大な挑戦であります。
それはアメリカのアジアにおける力の政策への同調、協力を前提に、米極東戦略の新たな再編に積極的に呼応して、対米従属、国民弾圧、憲法違反の自衛隊の増強を行ない、日米安保条約の効率的な運用と日米軍事同盟の侵略的強化を推し進めようとすること以外の何ものでもありません。(拍手)
今日、アメリカのアジア軍事戦略の重要な力点は、第一に、ベトナム協定に基づいて米軍がベトナムから撤退するという新たな情勢のもとで、力の政策を推進するため、日本をアメリカ帝国主義の前進展開の拠点として固めることに置かれています。
新たに横須賀を米第七艦隊の空母機動部隊の母港とする計画、あるいは関東地方の米空軍基地の横田基地への集中をはかる関東計画、岩国、三沢の基地強化などに代表される在日米軍基地機能の再編強化などを見れば、そのことは明らかではありませんか。(拍手)
第二の力点は、ニクソン・ドクトリンによる総合戦力構想に基づいて、同盟従属諸国に責任分担を迫ることです。こうしてたび重なる米当局者の言明にあるように、日本に対して毛自衛隊の増強が要求されています。
四次防計画によって、自衛隊に米空軍の第一線機であるファントム戦闘機やファントム偵察機などの高性能機を大量装備させ、米軍の事実上の指揮下で海外進攻を可能とする態勢を強化しようとしているのも、また日米共同使用の名で立川基地に陸上自衛隊を強行移駐させ、あるいは横須賀基地の一ないし三号ドックを海上自衛隊に使用させようとしているのも、そのためであります。これらはいずれも、従来在日米軍が果たしていた極東戦略上の役割りの一部を自衛隊に肩がわりさせようとする米側の方針に基づくことは明白であります。(拍手)この点は、すでにマッケーン米海軍作戦本部長特別顧問が、昨年末、日米両国の軍事的関係についての質問に答え、「アメリカの核のかさで防衛されている国はアメリカと協力する責任がある」と言明し、日本がアメリカの核のかさに置かれている代償として、日本の側からの軍事面での対米協力が強められるべきことを強調したことからも裏づけられることであります。
なお、この場合、日本の対米軍事協力とは 本年度のレアード国防報告が、補完戦力計画の中に日本をあげ、「現地の人的資源の利用と外部からの大規模な侵略に対して、自足できる現地の戦力の増強を目的とする」と述べているように、明らかにアメリカのアジア戦略計画に対し人的資源を分担、提供することを主軸にしたものであることは言うまでもありません。(拍手)
以上から明らかなように、今回の政府の自衛官七千名増員計画は、アメリカ帝国主義のニクソン・ドクトリンに寄与するために、アメリカの要請による自衛隊増強計画を一段と推し進めるための策謀にほかなりません。
そこで、政府に質問したい。今回の自衛官七千名増員は、ニクソン・ドクトリンに基づく日本の軍事的責任分担といかなる関係に立つのか。また、レアード国防報告で、「われわれは自衛隊の装備の近代化をはかるよう奨励している」と公然と明言しているが、政府の自衛隊増強政策はアメリカの奨励に従ったものではないのか。国民の前に事実を率直に明らかにすることを望むものであります。(拍手)
第二に指摘しなければならないことは、今回の防衛二法改正案が、危険な日米共同作戦態勢の飛躍的な強化を目ざしていることであります。すでに安保運用協議会が一月中旬に新設され、これに自衛隊の事実上の最高指揮者である統合幕僚会議議長が参加することによって、在日米軍と自衛隊双方の制服組による軍事協議が初めて公式に開始されています。
日米共同作戦態勢強化で最近注目すべきことの一つは、昨年六月、米兵が大幅に削減された北海道最北端の稚内の電子情報基地を、巨大な施設とその機能もろとも、自衛隊が引き継ごうとしていることです。この稚内電子情報基地は、最新の高性能電子装備を多数駆使して、シベリア大陸、サハリンあるいは北朝鮮の軍事的動向を大規模かつ緻密に探るものであり、青森県の三沢米軍基地と直結し、さらにハワイや米本土の対社会主義圏のスパイ情報収集機関と直結しているのであります。こうした稚内基地を、日米共同使用の名で、実態は自衛隊が全面的に管理運用し、その電子情報を米軍に提供することは、まさに重大といわねばなりません。(拍手)
そこで政府に質問します。
第一は、稚内基地の肩がわり的運用は、ソ連など社会主義国に対する重大な軍事挑発に自衛隊がいよいよ直接乗り出すことではないのか。それは社会主義国との平和共存政策をとるとの政府の再三の言明に反して、文字どおりアジアの社会主義国との敵対関係に立つ重大な国際問題ではないのか。またそれは、自衛隊は仮想敵を持たないと繰り返し政府は言明しているが、まさにアジアの社会主義諸国を仮想敵にひそかに設定していることの明白な証左ではないか。(拍手)
第二に、この危険きわまりない稚内基地の自衛隊移管は、「平和を愛する諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と明確に述べている憲法前文に照らしても、憲法違反は明らかではないのか。総理、外務大臣、防衛庁長官の明確な所見を承りたい。
次に、去る二月下旬、対潜作戦を主任務とした海上自衛隊初のヘリコプター積載護衛艦「はるな」が完成し、近く実戦配備されます。また、海上自衛隊の艦艇や航空機の配備と作戦行動を、米太平洋軍司令部と第七艦隊が直接思いのままに指揮することのできるCCS、コマンド・コントロール・システムの創設もすでに着手されています。
この「はるな」の実戦配備とCCSの着手は、海上自衛隊がいよいよ米海軍との結びつきを緊密にし、ソ連や中国などに対する接近政策を進めながら、軍事的には依然として社会主義国包囲政策を続けているアメリカに協力して、事実上社会主義国の潜水艦を対象とするハンター・キラー作戦を実行し得る態勢に乗り出したことを意味するものです。(拍手)
総理、そこで尋ねたい。今日四次防を通じて、海上自衛隊が「はるな」を第一艦として、対潜ミニ・ヘリ空母を続々と保持しようとし、またCCSの完成や艦艇の大型化、強力な対潜装備とミサイル兵器を保持しようとしているのは、まさに日本周辺海域においてはもとより、日本の領土から遠く離れた広大な西太平洋の洋上において、社会主義諸国の潜水艦や艦艇を仮想敵にしつつ、米海軍の手足となって制海権確立に協力する共同作戦態勢を拡大しようとするきわめて侵略的な意図をはらむものではないのか。(拍手)田中総理の明確な答弁を望みたい。
今回の防衛庁設置法一部改正案で南西航空混成団を沖繩に新設することも、日米共同作戦態勢の強化の重要な一環であります。それはまさしく、久保・カーチス協定に基づく侵略的で売国的な対米誓約の実行以外の何ものでもありません。(発言する者あり)久保・カーチス協定に基づく自衛隊の沖繩配備のねらいは、わが党が当初から強く指摘してきたように、第一に、アメリカのアジア戦略のキーストーンとして、東アジアの全域に対する緊急出撃態勢を不断に整えている沖繩米軍基地を、自衛隊の手で直接防衛しながら、沖繩を前進拠点として、対米従属的な日米共同作戦を一段と強化することであります。
第二に、県民抑圧の根源であり、日本とアジアの安全に対する重大な脅威の拠点である沖繩米軍基地撤去を目ざして、二十数年にわたって強力に戦い続けている沖繩県民を弾圧することであります。政府が新たに編成しようとしている南西航空混成団は、以上のような任務を持つ沖繩派遣自衛隊の主力部隊であります。
もし、田中総理の決断と実行なるものが、アメリカの利益のためでなく、日本国民の利益を真に守ろうとするのであれば、自衛隊の沖繩派遣は即刻中止し、久保・カーチス協定を破棄し、航空自衛隊を主力とする全部隊を撤収すべきであると思うが、総理の明確な答弁を望みたい。(拍手)
今回の防衛二法改正案の第三の重要な問題点は、防衛医科大学校の新設であります。これは不足している自衛隊の医官を独自養成するとの理由で、学生を除外しても実に千八百名の職員を擁する大規模な学校を、地元所沢市の住民の反対を押し切り、防衛庁の付属機関として設置しようとするものであります。
これは第一に、自衛隊の任務、目的に沿う教育訓練を施す場であって、教育基本法並びに学校教育法に基づく学問研究の自由を奪った違法、不当な教育体制といわなければなりません。(拍手)
第二に、同大学校卒業者に対して、学校教育法所定の医学コースを経た者と同様に、医師国家試験の受験資格を与えることは、防衛庁職員である学生を不当に優遇し、かつ、現行教育体系を著しく破壊するものであります。(拍手)
第三に、同大学校の設置は、将来、航空医学や細菌医学など、軍事医学の研究に道を開き、医学、医療の軍事化を進める危険性を持つものであります。
以上述べた諸点、すなわち教育基本法と学校教育法の乱暴な軍国主義的なじゅうりん、医師国家試験の受験資格の問題、医学、医療の軍事化の危険性の問題について、総理並びに文部大臣の納得できる答弁を承りたい。(拍手)
自衛隊は、わが党が一貫して強く指摘してきたように、対米従属、国民抑圧、憲法違反の軍隊であります。日本共産党は、今回の防衛二法改正案に全面的に強く反対するとともに、自衛隊を直ちに解散し、隊員の平和産業への転職を国家が保障すべきことを主張するものであることを明らかにして、私の質問を終える次第です。(拍手)
〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕