神門至馬夫の発言 (本会議)
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○神門至馬夫君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について、反対の討論を行なうものであります。(拍手)
反対理由の根拠はきわめて明白であります。
すなわち、本会議や運輸委員会、連合審査などの審議を通じて明らかになったことは、本法案は、大企業優先の輸送力増強をはかるため、国民にはきわめて大きな負担と犠牲をしいる反面、大都市の通勤輸送は緩和されず、過疎地域住民の足はますます奪われ、しかも、再建計画の終わる昭和五十七年度には、借金に苦しむ国鉄が現在の三倍、十一兆円という巨額な債務残高となり、累積赤字は二倍以上の二兆六千億にも達するというものであります。
驚異的高物価の続く今日、設備資材の値上がりや賃金上昇率を過小に見積もり、最終年度に三千七百九十二億円の黒字を無理やりに計上した、いわゆる数字合わせであって、国鉄再建にはほど遠いものであるからであります。
ただ確実であることは、無謀とも言うべき国鉄運賃の値上げを十年間に四回、三倍近くに引き上げることと、国鉄労働者十一万人を五十三年度までに削減するということであります。
いな、むしろその二つのねらいがあっての国鉄二法案であるからこそ、多くの国民や国鉄の利用者、国鉄に働く労働者が強く反対し、わが党の絶対に容認できない第一の理由があるのであります。(拍手)
第二の反対理由は、物価との関係においてであります。
いま田中内閣のとるべき内政最大の緊急課題は、物価対策であります。
五月の東京都消費者物価は、前年同期に比べ実に一一・六%という、爆発的な値上がりを示しているのであります。物価値上がりが激化した昨年一年間の消費者物価の上昇率が約四・八%であったことに比較してみても、一一・六%という数字がいかに驚異的なものであるかがわかるのであります。
高物価が国民を苦しめ、内政最大の政治問題となっているそのさなかに、なぜ公共料金の引きがね、物価高騰の起爆となる国鉄運賃の値上げをしゃにむに急がねばならないのか。国民の支持率二六%に反省するどころか、独断と暴走、保守独裁の小選挙区制をもってこれに挑戦し、高物価、低福祉、深刻な生活苦に悩む国民に、さらに追い打ちをかけようとする国鉄二法案に、国民の命と暮らしを守るわが党の断じて反対するところであります。(拍手)
第三の反対理由は、日本列島改造計画の先導役、大企業優先の国鉄にしようとしていることであります。
田中総理は、一昨日の運輸委員会において、全国新幹線網を建設し、旅客は新幹線に、貨物は在来線に振り分け、むしろ、貨物輸送力増強に主目標を置く列島改造論の方針を再確認しているのであります。
国鉄赤字の原因、貨物運賃赤字のしわ寄せを黒字の旅客運賃に上乗せし、大企業に有利で、国民生活に不利な貨物運賃体系の改悪と相まって、七千キロの新幹線建設を中心とした全国通信輸送のネットワーク化を目ざすものが、国鉄再建計画の基本となっているのであります。
列島改造計画は、公害を全国に拡散し、大企業の利益を中心にしたものであり、国鉄をしてその先兵にすることを許すことはできないのであります。
第四の反対理由は、国鉄の安全輸送と労使関係の正常化に逆行する国鉄二法案であるからであります。
安全輸送は国鉄の至上命令であり、労使関係の正常化は国鉄再建の第一のかぎであります。
国鉄当局は、去る九日、三河島事故関係者四名に懲戒免職処分の通告を行ないましたが、人命軽視、収益優先の国鉄経営が続発している事故の要因であっても、過酷な懲罰に泣くのは常に現場に働く労働者なのであります。
国鉄再建計画によると、最終年度の五十七年度には、仕事量は現在の二・五倍にもなるのに、国鉄労働者四人に一人を減らすという、まさに国鉄再建の人身御供が、国鉄労働者十一万人削減合理化であり、人員削減の数字的根拠はきわめて薄弱であります。
陰惨なマル生運動や大量不当処分に見られる労働者敵視思想を改め、安全輸送を無視した十一万人削減を中止し、労働者の基本権であるストライキ権を返して、労働者の知恵とエネルギーを結集してこそ初めて、国鉄の安全輸送と真の再建が結果されるのであります。(拍手)
第五の反対理由は、独立採算制をたてに、公共性を放棄した国鉄経営のあり方についてであります。
田中首相は、国鉄は採算とは別に大きな使命を持っており、すべて完全にもうかるものならば、民間企業にまかせればよい、赤字は当然と、列島改造論や運輸委員会で威勢のよい正論を述べているのでありますが、この国鉄二法案は、独立採算制をたてに、駅の廃止や無人化、貨物手小荷物の集約などの合理化と高運賃の犠牲によって、赤字解消を最優先にしたものであることは、間違いありません。
四十八年度を福祉元年にすると言った政府が、国民の福祉を充実し向上させるための国鉄や健保の支出を赤字と判断するところに、反福祉政策の正体が露呈されているのであります。(拍手)
また、田中総理は、去る三月八日、本院の本会議におけるわが党の児玉議員の質問に対し、「応益者に応分の負担をお願いしておるのでございます」と運賃値上げの答弁をしているのでありますが、その応分の中身、すなわち基準は、ついに今日まで明らかにされなかったのであります。
公共企業を独立採算制で運営することの矛盾、公共性と企業性、独立採算制の合理的経営基準を明確にしないまま、今回もまた、場当たりの応急措置で間に合わせようとしておるのでありますが、いま直ちに政府のとるべき措置は、第一に、政府の責任である四十七年度末長期債務の全額を国が肩がわりすること、第二に、不平等でばらばらな道路、港湾、空港、国鉄、それぞれの整備計画の総合調整をはかること、第三は、真の総合交通体系を確立して、国鉄の任務分担を明確にすること、第四に、運営費のみを運賃収入でまかなう等、独立採算制の経営責任の限界を明確にし、国鉄経営を安定させること。第五は、国民の国鉄とするために、民主的な国鉄経営会議の設置と監査制度の民主化をはかり、経営を公開することなどであります。
以上、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する国鉄二法案に反対するとともに、その撤回を強く求め、占領時代の遺物、不平等な米軍輸送協定を廃棄し、公共優先、国民の国鉄とする抜本的制度の改善をはかって出直すべきであることを強く主張し、私の反対討論を終わる次第であります。(拍手)