神田大作の発言 (本会議)
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○神田大作君 私は、民社党を代表して、国鉄運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案並びに修正案に対し、反対の討論を行なうものであります。(拍手)
まず第一に、その反対の理由は、今回の国鉄運賃の値上げは、いまだかつてない異常なインフレのさなかに行われるということであります。
昨年末以来の物価の上昇はとどまるところを知らず、すでに卸売り物価の上昇は一一%をこえ、消費者物価の上昇もまた九%をこえています。このような事態において、今日政府のとるべき最大、最優先の責務は、インフレを抑制し、それを克服するため、まず公共料金の凍結を行なって、これを押えることであります。(拍手)
ところが、田中総理は、就任するや、日本列島改造論を提唱し、そのため、それが過剰流動性を背景に土地の投機に火をつけ、土地の暴騰を促し、次いで、商品の買い占め、売り惜しみへと新たなる投機を誘発し、急激にインフレマインドを醸成したことは明らかであります。政府はインフレを収束するどころか、インフレを加速して今日の事態に至らしめたのであります。もし田中内閣が直ちにインフレを克服しようとするならば、なぜ物価騰貴に拍車をかける国鉄運賃の値上げをあえて行なわんとするのであるか。これによってますますインフレを助長し、多くの便乗値上げを誘発することは、これは明らかであります。今日、政府のとるべき方策は、少なくともインフレが鎮静化するまでの間、これら運賃値上げを見合わせ、それによって生ずる国鉄の財政赤字は、国庫において負担すべきであります。
反対の第二の理由は、今回策定された国鉄財政再建十カ年計画によっては、国鉄の再建は不可能であるということであります。
国鉄の長期収支試算によりますれば、十年後には減価償却をし、黒字を計上していますが、それには十年間に四回にわたって値上げを行ない、総額二百数十%に及ぶ運賃改定と、とうてい予想できない高い貨物輸送量の伸びを前提としております。それでもなお十一兆円の債務と二兆六千億円の累積赤字が残るのであります。この数字は、明らかにこの計画の結果を証明しております。
また、この再建計画の欠陥の第一は、債務の利子補給のやり方であります。孫利子補給という変則的なやり方であるから、再建債という形で債務がふえていくばかりではなく、償還期限の到来する債務は再び利子補給を伴わない新たな債務と化し、債務は累増を重ねていくばかりであります。
欠陥の第二は、国の財政援助が工事費の補助に限定され、借り入れ金利子を三分程度に押えているということであります。国鉄経営の本質的な改善には役立たないということであります。
要するに、今回の再建案は、国鉄経営の破綻の本質的な分析を怠り、抜本的な対策を欠くがゆえに、結局中途はんぱなものとなって、これでは国鉄の再建はでき得ないと断ぜざるを得ないのであります。
第三の理由は、国鉄の経営の多角化を促進する措置が全く軽視されていることであります。
現在、パイプラインなど、若干の経営の多角化が認められておりますが、それによる収入は微々たるものにすぎません。今日の国鉄の経営実態からして、事業範囲の拡大を促進し、運賃収入外の増収をはかるべきであります。現在の国鉄用地を利用する経営は、原則として自由とし、複線化などを新たに行なう場合には、沿線一定地域に限って開発事業の経営を認めるべきであります。国鉄がこうした開発利益を得られるような道を閉ざされていることは、まことに遺憾なことであります。
第四の理由は、国鉄の職場規律が乱れておることであります。企業としての体をなしていないということであります。
職場内の暴力は目に余るものがあり、労使間の非常識なあつれきと無秩序な闘争の繰り返しは、国民生活に重大な支障と損害を与え、いまや国鉄は国民の信頼を失い尽くしております。現場長でさえその管理能力に自信を持ち得ないところが随所にあらわれております。
また、国の大幅な財政援助を受けて再建への期待が持たれているのをよそ目に、政治的赤字路線の建設に血道をあげ、その経営をますます苦境に追い込み、その上、建設工事に際し、特定業界との癒着によって疑惑を投げかけております。政府並びに当局は、国鉄経営について、終始その指導と運営の方針に迷い続けている姿は目に余るものがあります。国鉄再建はこれらについて、とりわけ職場規律の厳正と公共企業としての責任を全うするの決意いかんにかかっているといわざるを得ません。
私は、以上の諸点について、政府並びに国鉄当局に重大なる反省を求めるものであります。抜本的改革を糊塗し、物価上昇に拍車をかけ、国民生活を根底から危うくする国鉄二法案並びにその修正案に断固反対し、私の民社党の討論を終わります。(拍手)