塩崎潤の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○塩崎潤君 私は、自由民主党を代表いたしまして、このたびの国立学校設置法等の一部を改正する法律案に賛成の討論をいたすものであります。(拍手)
 「歴史上一国が栄えたとき、そこには世界の先端を行くすぐれた大学があった」、これはかつてカリフォルニア大学の名総長とうたわれた、クラーク・カー氏の名言であります。大学こそは一国の未来の象徴であり、文化の反映にほかならないのであります。(拍手)海外の諸国において、激動する時代の要請にこたえ、激しい大学紛争の試練を生かして大学改革のための真剣な努力が重ねられ、新構想の大学が次々と生み出されている状況を見るとき、この名言を想起せざるを得ないのであります。(拍手)
 ひるがえって、わが国大学の現状はどうでありましょうか。大学紛争の反省から燃え上がるかに見えた大学改革の情熱も、あんばかりの薄皮まんじゅうと皮肉られるありさまでありまして、国民が大学教育を不安の念をもって見守り、安んじて子女を託するにためらいを覚える現状はまことに遺憾であります。
 このようなときに、東京教育大学を中心とする関係者の多年の努力が新構想に基づく筑波大学として実を結び、その創設が本国会に提案されたことは、暗夜に一筋の光明を見出した思いであり、その実現を強く推進することこそ、国民の期待にこたえるものと確信するものであります。(拍手)
 筑波大学の構想は、これまでの本院における長期にわたる審議を通じて、国民の目の前に明らかにされたのであります。それは先進諸国の新大学の経験に学びつつも、単なる模倣に終わることなく、わが国における各方面の大学改革の論議の成果を踏まえ、東京教育大学の伝統と特色を生かして構想されたまことに独創的な新大学であり、国際的にもかねてから識者の注目を集めているところであります。(拍手)
 第一に、学群、学系を中心とする柔軟な研究体制、第二に、全学的な意思の形成と実現を適切に行なうための人事委員会等の全学的な審議機関と副学長制の導入、第三に、社会の良識ある声に耳を傾けて開かれた大学にするための参与会の設置等は、いずれも色あせた学部中心の閉鎖的な大学から脱皮し、新しい時代の要請にこたえて、最高水準の教育と研究をになうにふさわしい構想であり、その成果は刮目して待つべきものと考えます。(拍手)
 この激動する現代において、かつての中世のギルド的な大学の幻影にいたずらに固執し、古色蒼然たる大学自治の神話を単に伝承するにすぎないことは許されないのであります。(拍手)このようにあまりにも保守的な態度こそ、人類の限りなき未来を直視し、創造的英知を結集して大学革新に取り組もうとする大学人、その他国民全般に失意と幻滅を与えるものといわなければならないのであります。
 このすぐれた筑波大学の構想に対し、ひたすらその運営の最悪の場合のみを故意に想定し、おそれがある、心配があると、石橋をたたいて渡らぬような硬直した、しかも憶病な見地からの批判が、日ごろ革新を口にする人々からなされていることはまことに残念しごくであります。(拍手)
 さらに、学群、学系に限らず、多様な自主改革の構想を可能にするための大学制度の弾力化や、諸外国の大学ではっとに常識である副学長を、大学の自主的な判断で設置できる職として法律に規定することまで反対されるに至っては、被害妄想とでも考えなければ全く理解できないところであります。(拍手)
 また、通常の大学の移転の際にありがちな、大学内の利害の対立や感情のもつれが根底をなしている東京教育大学のささいな内部問題をことさらに過大に扱い、すべて新構想をめぐる対立であるかのように曲解し、これを筑波大学反対の大きな論拠としようとすることは、これこそ東京教育大学の自治に対する介入以外の何ものでもないのであります。(拍手)学内問題の円満な解決を期待し、あたたかく見守ることこそ、大学自治を尊重する良識ある態度というべきではないでしょうか。(拍手)
 以上、筑波大学に対する批判は、いずれも誤解または曲解に基づく批判であり、筑波大学の構想の正しい理解の上に立ってその一日も早い実現をここに強く期待するものであります。
 次に、本法案は、愛媛、山形両大学に医学部を設置し、旭川医科大学を創設し、国立久里浜養護学校を創設するなど、国民の強い要望にこたえて緊急に国立学校の整備、充実をはかろうとするものであります。これらの学部等については受験生や関係者から一日も早い成立が望まれているのでありますが、今日までこれにこたえることができないことはまことに遺憾であります。(拍手)一部にこれを法案形式の責任とする意見がありますが、新構想とはいえ、国立の大学として設置される筑波大学を、他の大学、学部とともに国立学校設置法に規定することはきわめて自然な取り扱いであります。いなむしろ、すでに二月十七日に提案された本法案について、法案の形式をめぐっていたずらに貴重な審議時間を空費した審議のあり方にこそ、より多くの問題があるといわざるを得ないのであります。(拍手)いずれにせよ、これら受験生や関係者の熱意にこたえるためにも、本法案の一日も早い成立を強く要望するものであります。
 これを要するに、このたびの国立学校設置法等の一部を改正する法律案は、その内容が、関係者はもとより広く国民の現代的要請にこたえるものとしてまことに適切なものと確信するものであります。わが国の将来がひとえに大学改革の成否にかかっているといっても過言でないこの重大な歴史の転機にあたって、勇断をもってこれら施策を推進すべきであることを付言して、この法律案に賛意を表し、その一刻も早い成立を希望して、賛成の討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 107105254X04819730629_023

発言者: 塩崎潤

speaker_id: 2920

日付: 1973-06-29

院: 衆議院

会議名: 本会議