柴田睦夫の発言 (本会議)

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○柴田睦夫君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、防衛庁長官山中貞則君に対する不信任決議案に賛成の討論を行ないます。(拍手)
 今日、わが国の自衛隊が憲法違反の存在であることは、去る九月七日札幌地方裁判所の判決を見るまでもなく、明白であります。
 一九五〇年、警察予備隊名で発足した今日の自衛隊は、すでに陸、海、空三軍を持ち、ジェット戦闘機から潜水艦、ナイキ、ミサイルを装備し、二十六万を数える、まぎれもない軍隊になっているのであります。
 わが党は、この自衛隊について、創設のそのときから、これが憲法違反の軍隊であり、その装備が戦力であることを明確に指摘してまいりました。今日、この自衛隊をだれが軍隊でないと言い切れますか。この装備を戦力でないとだれが言い張ることができますか。いまや、国民の圧倒的多数は、この自衛隊が憲法違反の存在であることはひとしく認めているのであります。
 今回、札幌地方裁判所が行なったいわゆる長沼判決は、その自衛隊に対し、「装備、編成、能力から見て、陸海空軍であり、戦力である。したがって、一切の戦力の保持を禁止した憲法第九条第二項に違反することは明白である」と述べています。
 この判決は、当然のことであり、圧倒的多数の国民の共感を呼ぶものであり、また、わが国の権威ある憲法学者の多数説とも合致するものであります。
 しかるに、山中君は、この明白な憲法違反の判決及び国民の意思に挑戦し、判決当日、全隊員に対して、職権をもって異例の訓辞を行ない、「自衛隊はいかなる意味においても憲法に違反するものではない」との確信なるものを述べ、さらに、「判決には重大な判断の誤りがある」と、判決の理由も読まずに一方的にきめつけ、判決に対し真正面から対決する態度を全自衛隊員に示したのであります。
 言うまでもなく、裁判所の判決は、事実に基づき、裁判官の合議によってなされたものであり、この結果について個々人がどのような見解を持つかは自由であるが、自衛隊の隊務の統括者である防衛庁長官の職にある山中君が、その職権を利用して判決を非難することは、三権分立による司洪の役割りを無視したものであり、閣僚としてあるまじき言動であります。(拍手)
 さらに、防衛庁長官としての山中君の指揮監督下にある陸上自衛隊幕僚監部が、この判決が出去れる二カ月も前から、「判決に一喜一憂は笑止」かどという趣旨のパンフレットを全国の隊員にばらまきました。
 その中には、「地方裁判所の判決があったといっても、それは、一人の裁判官または一部の判断で、必ずしも地方裁判所全体の考え方とはいえず、他の裁判官が行なえば、異なった結論もあり得る。第一審でどのような判決があったとしても、一喜一憂するのは笑止といわざるを得ない」と述べられています。
 しかし、長沼判決は、一人の裁判官の判断ではなく、国の司法機関の判断であることは明白で、それを同じ国の機関が、個人の判断のごとく誹謗するということは、全く考えられない暴言であります。(拍手)
 山中貞則君はこれに対し陳謝をいたしましたけれども、陳謝で済むべき問題ではなく、その監督者としての責任は免れるものではありません。このような行為を働いた陸上自衛隊幕僚監部についても、当然厳重な措置がとられなければならないにもかかわらず、山中君はこれを放置し、何の責任も果たしていません。
 札幌地方裁判所において自衛隊違憲判決が出された今日、防衛二法撤回、四次防計画を中止することは、担当閣僚としてとらねばならない最小限の措置であります。
 しかるに、防衛庁長官山中貞則君は、この当然の措置すらとらないばかりか、逆に防衛二法の成立を強引に推し進めているのであります。これは明らかに憲法に違反し、国民に挑戦し、道理にそむいた非常識きわまる暴挙といわなければなりません。(拍手)
 以上指摘してきたことは氷山の一角であり、山中君の防衛庁長官としての行為は断じて許せないものであります。(拍手)
 わが国の憲法は、平和と民主主義を至上の原則とし、憲法第九条は、この立場の宣言でもあります。そして憲法第九十九条は、国務大臣が憲法を尊重し擁護することを義務づけております。閣僚たるべき最も初歩的条件はこのことでありますが、山中君は、この初歩的原則すら踏みにじっています。憲法に挑戦する国務大臣がその地位にとどまることが許されないことは、もはや議論の余地もありません。(拍手)
 以上の理由により、本不信任決議案に賛成の意思を表明し、討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 107105254X06119730921_014

発言者: 柴田睦夫

speaker_id: 491

日付: 1973-09-21

院: 衆議院

会議名: 本会議