矢口洪一の発言 (予算委員会第一分科会)
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○矢口最高裁判所長官代理者 過日の法務委員会における田中法務大臣の御発言の際には、私も拝聴をいたしておりました。大臣の御発言につきまして、いまここで私の感想を申し上げるということはいかがであろうかという気がいたしますので、その点は差し控えさしていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、憲法七十六条三項の良心というものはやはり客観的なものでございまして、そのような客観的な良心に従って裁判のできる方であるならば、私は、裁判官として十分の適格をお持ちになっておる方であると考えます。
ただ、もっとも裁判と申しますのは、それが具体的に行なわれるにあたりまして、客観的に中立、公正でなければいけないということと同時に、そういうふうに行なわれておるというふうに国民全体の方がごらんになっていただく、裁判をそういう意味で御信用いただくというものでなければいけないと、日ごろから考えているわけでございます。そういう点について疑惑を招くおそれがあるということになりますと、これはやはり裁判官としては十分考えて身を処していかなければいけない問題であろうと思います。私どもは、これをこれまで裁判官のモラルの問題として、できるだけ公正、中立であるように、また、そう見えるようにしなければいけないということを申してきたわけでございます。しかし、それはあくまでモラルの問題でございまして、裁判官の適格性の問題といたしましては、ただいまお答えを申し上げたように、客観的な良心というものによって裁判のできる方であるならば十分であろうと、このように考えております。