田中武夫の発言 (予算委員会第一分科会)

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○田中(武)分科員 私は、きょうは、実は国家権力あるいは国家公務員その他によって人権が侵されておるというような事件、問題をたくさんここに用意してきております。しかし、それを具体的に言う時間はございません。そこで、まず項目をあげて、言うならばきょうは総論的に申しまして、各論は予算委員会が終わったらまた法務委員会でも、差しかえて参りまして申し上げたいと思います。
 その一つに、まず別件逮捕の問題がございます。
 私は、いまここに戦後の別件逮捕が大問題となったような事件、たとえば古くは帝銀事件から免田、松川、あるいは仁保、狭山、そうしてまだ捜査中である三億円事件に至る十三件にわたる別件逮捕が問題になりました記録、並びにこのようにその担当弁護人のいろいろな報告をまとめたものを持ってきております。
 この別件逮捕が捜査上便宜的に使われておるということは、きょうは警察庁も来ていただいておりますが、お認めになると思います。しかし、私はここで捜査についてとやかく申すわけではございませんけれども、よほど気をつけなければ、これが人権侵害になる。しかも乱用された別件逮捕は、人権侵害であるといいますか、あるいはそれに基づく自白の問題等につきまして、いろんな判例も出ております。現に捜査中の三億円事件を除きまして、一々申しませんが、十三件のうちで最終的に無罪が決定したのが八件、係争中のもの、狭山ですが、これが一件。そういたしますと、あと死刑を含めますが、有罪判決となったのはわずか三件ということです。それがなお今日尾を引いていろいろと再審請求等々で争われておる。かりに最終的に無罪になっても、青春期あるいは人生の大半を被告という極印を押されて人生を渡らねばならない運命に置かれた人たち、あるいはその身辺、ことに身内とか親戚とか等々の人たちが、どれほど迷惑というか世間を狭くして世渡りをしなくちゃならないか、これはよくおわかりだと思います。
 もう憲法三十三条をあげるまでもなく、また刑事訴訟法二百十条以下をあげるまでもなく、現行犯以外は令状をもってしなければならないことは、もう法学博士の大臣でございますから十分御承知のとおりであります。憲法では、現行犯と資格ある裁判官の出す令状以外には逮捕できないことになっておる。それを刑事訟訴法では若干幅を広げまして、準現行犯、緊急逮捕というのがある。これも憲法上問題になっておる点なんです。そういうような点について、これはむしろお得意だと思いますが、ここで、その問題で刑事訴訟法と憲法の関係を私は議論をしようとは思いませんが、まず感じだけでよろしい、どのようにお考えになりますか。単に便宜的に別件逮捕が行なわれておる、そして憲法と刑事訴訟法との違い等についてのお考えをお伺いいたします。

発言情報

speech_id: 107105266X00419730306_023

発言者: 田中武夫

speaker_id: 3915

日付: 1973-03-06

院: 衆議院

会議名: 予算委員会第一分科会