田中伊三次の発言 (予算委員会第一分科会)

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○田中(伊)国務大臣 まず別件逮捕でございますが、別件逮捕の場合に、AならAという犯罪事件を取り調べております最中にB犯罪、C犯罪というものが自然に浮かんできた、こういう場合は問題はないと思いますが、先生のおことばで別件逮捕と仰せになるのは、大事件の証拠があがらない、そこで、それは見込みで小さい事件をとらえてこれで逮捕をする、そしてその小さい事件で調べ上げながら大きな事件をねらうという捜査のやり方、この捜査の立場から申しますと、たいへん苦心をして捜査に従事しておるということが言えるのでございますが、この場合の仰せになります別件逮捕というもののやり方は、よほどこれを考えなければならぬ。簡単にこれをどんどんやっていくということになりますと、それ自体が人権侵犯になるおそれがあるということでありますので、この捜査のやり方は深く反省を要するものであるという考え方でございます。
 それから、先生仰せの緊急逮捕の問題でございますが、これは憲法三十三条には明白に、この形式の上からはぐあいが悪い。令状なくして人を逮捕する、許すべきことではないのです、憲法の明文では。しかるに、やむを得ざる重大事件があります場合においては、令状の準備のできるまで緊急逮捕を許すという条項が、御承知のように刑事訴訟法にございます。これは、本来の基本的人権の上からは許すべき筋のものではないのでありますけれども、許すべき筋のものでないということは憲法十一条によって明瞭に規定してあるところでございますが、またすぐその隣の憲法十二条の条文によりますと、右に与えてある基本的人権というものは公共の福祉のために制限されてもやむを得ないことがあるのだという意味の規定が憲法十二条にございますので、その憲法十二条の精神にのっとって、刑事訴訟法においては緊急逮捕、非常に重要な緊急を要する場合にこれを許すという意味の規定があるわけでございます。それをよいことにして緊急逮捕、緊急逮捕とやったのでは、これまた別件逮捕の場合と同様に、先生御心配のごとくに、人権侵犯のおそれがどんどん出てくるということでありますので、そういう意味のやむを得ざる緊急逮捕をいたしました場合は可及的すみやかに令状の準備をする、そして成規の令状による逮捕に切りかえる、こういう努力をもっと深刻に捜査官がこれを考えてやっていくようにいたしませんと、人権侵犯が起こるおそれがある、こう反省をする次第でございます。

発言情報

speech_id: 107105266X00419730306_024

発言者: 田中伊三次

speaker_id: 32816

日付: 1973-03-06

院: 衆議院

会議名: 予算委員会第一分科会