小林信一の発言 (公害対策並びに環境保全特別委員会)
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○小林(信)委員 核心に触れていないということはないのですが、この審議の中で一番問題であったのは、国の象徴ともいうべき富士山を守っていくということについて、この法案がいろいろな内容を持っておりますが、それらについては大かた無理はない、賛成するところが多いわけであります。しかし、この法律について、この委員会が前の国会から継続して、この国会の最後まで審議を続けてきた一番の問題点というのは、この法案は富士山という自然を守る、つまりお互いの良識、そういうものが大きく発動される中で、富士山というものは守られていくのだ、そういう性格の法律でありながら、官房長官が、北富士演習場を一たん六百四条という民法が適用されて、山梨県にその大部分が返されてしまう。したがって演習場というものが不可能になる。それを山梨県知事を説得して自衛隊の使用転換まで運びつける。その交換条件として、この法律が最初から浮かび上がっておった。とすれば、この法律は、自然を守るということよりも演習場を可能にするための法律ではないか、そういうことで自然を守るということをやってよろしいかどうか、これが各委員から問題点として、あげられたわけであります。
したがって、一ぺんは官房長官がここへ来て、そうしてその真意をわれわれ委員に披瀝をしなければ、この法案が終結にならないと私は思う。私だけでなく、各委員がそうだと思います。したがって、きょうはどんなことがありましても、万難を排して、この富士保全法が動き出すときには、ほんとうにその本来の使命が全うできるような法案にするためにも官房長官が来なければいけない、私はそういうことを強く要請をしておったのです。ところが、きょうもおいでにならない。あなたにてんづけ失礼とは思いましたが、この法案の問題点を、あなたはどういうふうにお考えになっていますかと聞いたわけですが、何となく迫力がありませんよ。ほんとうにこの富士保全法を生かそうとする、富士を守ろうとする、そういう気概がない。ということは、この富士保全法というものを官房長官は政治的に考えておったというように私はいわざるを得ないのです。
そこで、いままでその経緯についていろいろと話はございましたが、私はひとつ角度を変えまして、お尋ねをいたします。
この保全法がまだ提案をされないうちに、官房長官が山梨県知事とこういう覚書を結んでおりますが、その覚書の表題が「富士地域環境保全整備特別措置法に関する覚書」と書いてあるのです。ここにも問題点がありました。まだ国会の審議をしてないときに、もう成案になっているような考え方で、相手方とこういう法律をつくります、しかも内容を「第二十条第一項に規定する政令で定める割合については、」なんという、もうでき上がったというような状態で、この覚書が交換されているわけです。だから国会を軽視しているじゃないか、あるいは絶対多数というものは何もかも可能にしてしまうのだという、そういう力を過信した、そういう中からこういうものが生まれてきているのだというような御指摘も各委員からあったわけです。そういうものがあなたたちに、少なくとも副長官にもおわかりになっておったかどうか。私は失礼ですが、まっ先にそのことをお尋ねしたのですが、何となくわかっているような、わかってないような御答弁で、まことに心もとない次第であります。
それはさておき、こういう詳細に、第何条の第何項でどういうことをきめますといっている以上は、この法案というものに対しては、官房長官が一つの自信を持ってお考えになっておいでだといわざるを得ないわけです。とすれば、この法案の中の富士地域、これから指定するわけで、政令で定めることになっておるのですが、とにかく演習場を含めたあの地域というものを何かに使う場合には審議会にかけなければいけない、その審議会にかける前には、当該県の知事は公聴会を開いて地域住民の声を聞かなければいけない、その上に県議会の議を経なければいけない、そういうことがあるのですよ。
そのつくる法律をまじめに官房長官が考えるとするならば、一たんもう演習場は不可能になったわけです。新たに山梨県に土地の借用方を頼んで、そして演習場にしなければならない段階ですから、この法文をもしまじめにお考えになるならば、まず山梨県知事が住民の声を聞かなければいけない、県議会の議を経なければいけない、そうして審議会のようなものにかけなければいけない、そういう手順を踏んで演習場というものを可能にすることが、この法案の趣旨を官房長官が理解をしておるならば、その道を経なければならなかったのじゃないか。ところが、自分たちが利用することについては山梨県知事だけと話をして、そして既成事実をつくって、その交換条件として、この富士保全法をつくる。何かこの法律というものは全くむちゃくちゃなような気がするのですが、そこら辺は、副長官はどういうふうにお考えになりますか。