小林信一の発言 (公害対策並びに環境保全特別委員会)

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○小林(信)委員 まあ名答弁ということばがありましたが、私どもにはますますわからなくなる。私が聞いているのは、この法律が出たら云々ということじゃないのです。出て、この法律が動く場合にも、その生まれてくる過程というものは非常に大事だと思うのですよ。ほんとうにその気持ちでこの法案を交換条件として出す、そのときの精神というものがほんとうに生きるかどうかということは、まず隗より始めよで、北富士演習場というものを再度確保する、そのときに私は官房長官がしなければならなかったのじゃないかと思うのです。だんだんわかってきたでしょう。わからなくて答弁しておっても、名答弁というんですからね。こういうものを重ねていったのでは、富士保護法はほんとうに生きてこないと私は思うのです。
 私は、これからあなたにも、長官にも申し上げようと思うのですけれども、ついでにここでもって申し上げますが、最近こういう警告をした人があります。これはこの人だけじゃなくて、あらゆる人たちが考えておることと思うのですが、自然を守るということは、人の心の方向に革命を起こすことだ。自然を守るということは、法律をつくればいい、そんなものではありませんよ。それもつくらなければいけないのですが、ほんとうのものは人の心の方向に革命を起こすことだ。それはまず人類がせつな的思考から脱却して、遠視的視野に立って、社会があって初めて生きていける自分であることを再認識して、そしてだれでも持つ、限りない欲望というものに、人類の英知から築き上げた規制を加えることが第一歩である。いいことばだと思いますよ。法律をつくったから自然が守れるなんというものではない。やはりこの仕事に携わる人は、この原則に立っていかなければいけないと思うのです。
 だから、こういう忠告をしております。為政者も官公庁もこの前提に立って、すべての計画を推し進め、八方美人的言動を慎み、国民将来のための施策に邁進すべきである。これはまだ出ておりませんが、「富士山黒書」という、富士に一つの危険信号を訴えておる六つの富士を守る団体の人たちが集まって富士山の現状に警告を発しておる本です。その本の劈頭にこういうことが書かれるはずになっておりますが、これからもほんとうに自然を守るなんということは、形式じゃだめだと私は思います。
 私どもの接する限り、いままで三木長官もこういう気持ちでもって鋭意御努力はなさっておいでになっておりますが、閣僚である官房長官も、ほんとうにそういう気持ちでこの法律をつくります、だからひとつ自衛隊に使用転換させてくれと言ったように私は思っておるのですが、直接じゃないんで、ちょっと残念ですけれども、あなたから聞く限りでは、あまりそういうことは意識しておらない。演習場が可能になりさえすればそれでいいんだ、富士山のほうは法律だけつくっておけばいいんだ、それじゃ私はこの法案が生きてこないと思うのですが、幾ら重ねて申し上げましても、根性が曲がっておる人にはなかなかわからぬと思うのです。自然というものを守っていく政治をするためには、そういう人間の心の革命にまで、われわれはいつ達するかわからぬけれども、努力をしていくところに初めて自然保護というものはできるんだ。これは公害全体に言えることばだと思いますが、それをひとつ官房長官にお伝え願いたいと思います。
 そこで、もう一つあなたにお聞きいたしますが、この法案の中に、いま申し上げました公聴会を開いて、住民の声を聞かなければいけない、住民ということばを使ってあるわけですが、この住民は何をさしておるのでしょうね。この住民の地域の問題です。あの周辺の演習場と利害関係のあるような地域の住民をさすのか。あるいは、これに対して行政的な責任を持っております山梨県とか静岡県とか、そういう地域の住民をいうのか。
 富士山とすれば、これは世界的な富士山だといっておる。だから外国の人が参りましても、あきかんが散乱しておったり、観光客が五合目からたれ流しでもって、もう荒廃するにまかせるような状態でいる。それを外国人が嘆いて、こんなことでは富士山が死んでしまうというようなことばを盛んに残していっております。あるいはそういう意味では富士山は世界の富士山かもしれない。一体この住民というのはだれをさすのか、どういう範囲でもって解釈しておるのか、官房副長官にお聞きいたします。

発言情報

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発言者: 小林信一

speaker_id: 27855

日付: 1974-05-14

院: 衆議院

会議名: 公害対策並びに環境保全特別委員会