野々山一三の発言 (本会議)
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○野々山一三君 ただいま議題となりました国土利用計画法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、最近における土地利用の混乱、地価の高騰、土地の投機的取引及び大量買い占め等の深刻な事態に対処するため、第七十一回国会における内閣提出の国土総合開発法案とは全く別個の目的及び効果を期するものとして、衆議院から提出されたものであります。
その内容は、国土の総合的かつ計画的な利用をはかるため国土利用計画を定めるとともに、土地利用基本計画の作成、土地取引の規制、その他土地利用の調整のための措置等を講じようとするもので、そのおもな事項は次のとおりであります。
第一は、国土利用計画等についてであります。
内閣総理大臣は、国土利用の基本となる全国計画を定め、また、都道府県及び市町村は、それぞれ当該区域の国土利用に関する都道府県計画及び市町村計画を定めることができることとするとともに、特に市町村計画の策定にあたっては、公聴会の開催等住民の意向を反映させるための措置を講ずることとしております。
なお、政府は、国会に国土利用の現況等に関する年次報告書を提出することにより、将来の施策に国民の意向が反映されるようにしております。
第二は、土地利用基本計画等についてであります。
都道府県知事は、国土利用計画を基本として、都市、農業、森林、自然公園及び自然保全の地域区分及び土地利用の調整等に関する土地利用基本計画を定めることとし、国及び地方公共団体は、土地利用基本計画に即して適正かつ合理的な土地利用がはかられるよう、所要の規制措置を講ずることとしております。
第三は、土地取引の規制に関する措置についてであります。
まず、都道府県知事は、土地の投機的取引が行なわれまたはそのおそれがあり、及び、地価が急激に上昇しまたはそのおそれがある等の要件に該当する区域を、期間を定めて規制区域として指定することとし、内閣総理大臣は、国の立場から特に必要があると認めるときは規制区域の指定等を指示し、都道府県知事が正当な理由がなくその措置を講じないときは、みずから当該措置を講ずることができることとしております。
次に、規制区域内における土地取引は、都道府県知事の許可制とし、取引価額が基準価額に照らし適正を欠くとき、利用目的が土地利用基本計画に適合しないとき等の場合は許可してはならないこととし、不許可の処分を受けた者に対しては、買い取り請求及び不服申し立てを認めることとしております。
また、規制区域外における一定規模以上の土地取引は、都道府県知事への届出制とし、取引価額が基準価額に照らし著しく適正を欠くとき等の場合は、取引の中止等を勧告することとし、勧告に従わないときは、その旨及び勧告の内容を公表することができることとしております。
第四は、遊休土地に関する措置についてであります。
まず、都道府県知事は、許可を受けまたは届け出をして取得した土地で、その面積が一定規模以上あり、取得後三年を経過しても住宅または事業用に供されていない等の要件に該当するものの所有者等に遊休土地である旨を通知することとしております。
なお、昭和四十四年一月一日以後本法施行前に取得した遊休土地については、本法施行後二年間に限り同様の通知をすることとしております。
次に、遊休土地である旨の通知を受けた者は、当該土地の利用計画等を都道府県知事に届け出るものとし、都道府県知事は、利用計画の変更等の勧告をすることができることとするとともに、勧告に従わないときは、地方公共団体等に買い取りのための協議を行なわせることとし、協議が成立しない場合において住宅建設等のため必要があるときは都市計画決定等の措置を講ずることとしております。
第五は、立ち入り検査等についてであります。
都道府県知事は、土地取引の許可の申請または届け出及び遊休土地の利用計画等の届け出に関し、その職員に立ち入り検査等を行なわせることができることとし、その職務を行なわせるために都道府県に土地調査員を置くこととしております。
その他、総理府に国土利用計画審議会を、また、都道府県に国土利用計画地方審議会及び土地利用審査会を設置するとともに、違反行為者に対する罰則を定め、関係法規の改正等を行なうこととしております。
委員会におきましては、衆議院建設委員長ら提案者及び政府関係者の出席を求め、法案策定の経過をただすとともに、国土利用計画と国土総合開発計画との関係、規制区域の指定、内閣総理大臣の指示権及び代行権、基準価額の算定方法、遊休土地の買い取りと財産権、本法施行に要する財政上の措置等について熱心な質疑が行なわれましたが、この際特に、質疑を通じて明らかにされた事項のおもなものを申し上げておきます。
第一に、本案は、内閣提出の国土総合開発法案とは全く性格を異にし、もっぱら土地の投機的取引及び地価高騰の抑制と、適正かつ合理的な土地利用の確保を主眼とするもので、開発に関する事項を除去し、国土利用計画等の策定、土地取引の規制、遊休土地に関する措置等をおもな内容としており、特に、国土利用計画に対し地方公共団体の長及び地域住民の意向を十分に反映させる措置、規制区域の指定要件の拡充、内閣総理大臣の指示権及び代行権の発動要件の明確化、立ち入り検査制度及び土地調査員の設置、罰則の強化等を行なったこと、
第二に、国土利用計画については、開発事業の計画決定は他の法令によるものとし、直接に開発事業の実施をはかる性格のものではなく、総合的かつ計画的な国土の利用を確保するための長期計画であること、
第三に、土地取引の規制等の場合における土地に関する権利の相当な価額については、時価の七、八割程度を政策的目標として、政令で適切な算定方式を定めることとすること、
第四に、内閣総理大臣の規制区域の指定等にかかわる指示権及び代行権については、地方自治の本旨にのっとり、地方公共団体の長の権限を尊重して運用すること、
第五に、本法施行に必要な財政措置については、政府側においてその拡充につとめること、等であります。
さらに、基本的な問題として、法の運用は人にあり、法律が所期の目的を達成するかどうかは、もっぱら執行者の姿勢いかんによるものであることが強調され、経済企画庁長官からも、立法の趣旨を十分に尊重し、慎重かつ適正な行政運用を行なう旨の発言がありました。
質疑終局後、春日委員より提出の修正案を議題とし、これに対して国会法第五十七条の三の規定による内閣の意見の聴取及び質疑が行なわれました。
続いて、原案並びに修正案についての討論に入り、日本共産党を代表して春日委員より、原案に反対する旨、また、日本社会党を代表して前川委員より、修正案に反対し、原案に賛成する旨の発言がありました。
討論を終了し、採決に入り、まず、修正案は、賛成少数をもって否決、次いで、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)