松田耕平の発言 (公害対策並びに環境保全特別委員会)

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○松田参考人 東洋工業の松田でございます。当社の低公害車開発の経緯について申し述べさせていただきます。
 昭和五十一年排出ガス規制の目標値は、窒素酸化物の平均排出レベルを五十年規制値の約五分の一の〇・二五グラム・パー・キロメートルにまで低減しようとするものですが、東洋工業はこの目標達成のためあらゆる努力をいたしましたが、現時点においては残念ながら、この目標値を昭和五十一年度に量産において達成する技術を開発できておりません。わが社が、政府がお示しになった五十一年規制目標値を達成する見通しが立っておりませんことに対し、まず深くおわび申し上げる次第であります。
 顧みますに、わが社の低公害車の研究開発は、排出ガスを浄化することが、われわれ自動車産業に携わるものの最大の社会的責任の一つであるとの自覚のもとに、昭和四十年に排出ガス研究対策会議を社内に設置したときから本格化したといえます。以来、この低公害車の研究開発に対して、概算延べ百七十五億円の研究開発費、並びに、延べ約一千万人時の研究員を投入して研究開発を推進してまいりましたが、わが社のごとき後発メーカーでありながら、ロータリーエンジン、フォアサイクル、ツーサイクル、ディーゼルエンジン等、多くのエンジン機種について精一ぱいの努力をしたものと考えております。
 この間、排気ガス研究センターを建設し、フォード、モービルオイルを中心とした、国際的な企業間排気制御共同研究グループに参加するなど、研究開発体制を整えてきました。
 わが社の低公害車の開発方針は、現状の排出ガス規制にパスすることを第一目標とするのではなく、蓄積された技術を社会の要請に反映するため、現在可能な最高のものを、社会に提供することであると考えております。
 その研究開発の成果として、四十七年十月には、国内向け低公害車ルーチェロータリーAPを発売し、その当時としては、世界で最も清浄な排出ガスレベルを、量産車で初めて達成いたしました。また、四十八年二月には、米国でもわが社のロータリーエンジン車は、米国の一九七五年マスキー規制値に適合することを、米国環境保護庁のテストで確認いたしました。
 さらに、四十八年五月には、五十年排出ガス規制値を達成するロータリーエンジン塔載低公害車マツダREAPSを発表することができ、その後、四十八年十月には、レシプロエンジン車についても、業界に先がけて低公害車・マツダCEAPSを発表し、これらの低公害車には、物品税、自動車取得税の一部を免税するという、国の低公害車優遇税制の最初の指定を受けました。そして、現在では、五十年四月より実施されます五十年排出ガス規制値に合格するマツダ低公害車は、六車種五十九タイプに達しております。
 次に、昭和五十一年排出ガス規制に対する東洋工業の考え方及び現状について申し述べます。
 現在、わが社はツーサイクル三百六十ccエンジンを除いた自動車につきましては、五十一年目標値を達成するために、二つの方針のもとに窒素酸化物の低減を追求しています。その一つの方針は、五十年規制に採用している浄化システムをべースにその改善をはかることであり、他の一つは、革新的なアイデアに基づく技術開発を目ざすという方針であります。
 一般的に、〇・二五グラム・パー・キロメートルの窒素酸化物平均排出量の意味するものは、採用される窒素酸化物対策のシステムにもよりますが、量産時における排出レベルは、実験車のそれより悪化すること、使用中の劣化の問題、さらには低い窒素酸化物の測定精度の問題等によりまして、少くとも、実験車での開発目標は、初期値〇・一七ないし〇・一八グラム・パー・キロメートルの平均値を達成しなければなりません。
 まず、五十年規制に採用している浄化システムの改善をはかるプロジェクトでは、サーマルリアクター方式または酸化触媒方式をベースとして、エンジンの改良、さらには排出ガス再循環装置を装着して窒素酸化物の低減を目ざしております。排出ガス再循環装置を採用しますと、この影響で、エンジンから排出される一酸化炭素、炭化水素の排出量が増加し、一酸化炭素、炭化水素の浄化装置であるサーマルリアクター、または酸化触媒の負担が多くなって、使用中の劣化の問題や走行性能を悪化させる問題等で窒素酸化物の低減には限界があり、〇・六グラム・パー・キロメートルを割る平均値を量産において達成することには大きな壁があります。
 この壁を破るためのプロジェクトとして、五十一年対策とは異なる革新的なアイデアに基づいて、窒素酸化物の低減の極限を追求しております。たとえばロータリーエンジンでの成層燃焼という方式を採用した実験車では、その窒素酸化物の排出レベルは、現在、五十一年規制目標値に近い〇・三グラム・パー・キロメートルの平均値を得ているものもあり、これらの方法による窒素酸化物低減のポテンシャルについては非常に希望を持っています。しかし、このシステムを商品化するには、まだ解決すべき多くの問題をかかえており、現在、量産化の見通しは立っておりません。
 次に、軽自動車用ツーサイクルミ百六十ccエンジンですが、元来、ツーサイクルエンジンは窒素酸化物の排出レベルは低いが、炭化水素のレベルが高いという特性を持っておるため、五十年規制を達成することにも大きな問題があります。わが社では、エンジン改造により、エンジンから排出する炭化水素の低減をはかり、加えて、酸化触媒方式により五十年規制達成を目ざしております。特に冷間始動時の炭化水素の排出レベルが問題ですが、これに対し、エンジンを始動したとき、急速に触媒の温度を上げて浄化させる装置を開発し、耐久試験を実施しております。現在、ほぼ一車検の間、保証できるデータが得られており、二車検保証を目ざして開発を進めております。しかしながらコスト高などに問題がありますので、現在、これらを含めて、解決に努力いたしております。
 ツーサイクルエンジンの窒素酸化物については、すでに昭和五十年窒素酸化物平均排出規制値〇・三グラム・パー・キロメートルを量産時に達成する見通しを得ており、目下、エンジン改造を中心として、五十一年規制目標値〇・二五グラム・パー・キロメートルの開発に努力しております。
 以上、わが社の研究開発の現状を申し述べましたとおり、われわれの真剣な努力にも一かかわらず、現時点においては、まだ窒素酸化物の平均排出目標値〇・二五グラム・パー・キロメートルのレベルを昭和五十一年度において達成する技術を持ち合わせていないことは、最初に申し上げましたとおりでございます。この昭和五十一年目標値を達成する可能性及び実施可能時期の見通しが得られるのは、昭和五十一年後半になると考えております。
 しからば、昭和五十一年目標値に既定方針どおり対応できないということであれば、昭和五十一年度から実施可能な窒素酸化物の低減可能レベルはわが社の場合いかほどかということについて申し述べます。
 われわれの窒素酸化物低減のアプローチといたしましては、リードタイムとの関係から見まして、先に申し上げました二つの方針のうち、五十年規制に採用している浄化システムをベースにその改善をはかり、低減の限界を追求する方法で対処することになります。このアプローチにより、五十一年度より、われわれが達成できる窒素酸化物の低減限界値は、ロータリーエンジンでは〇・六グラム・パー・キロメートル、従来のレシプロエンジンでは〇・七グラム・パー・キロメートルが量産可能な平均値であります。
 いずれにいたしましても、東洋工業といたしましては、これからも、より完全な排出ガス対策を施した車の開発を目ざして努力を重ねていく決意でございますので、今後とも一そうの御指導、御支援をいただきますよう心よりお願い申し上げます。
 終わります。

発言情報

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発言者: 松田耕平

speaker_id: 26086

日付: 1974-09-11

院: 衆議院

会議名: 公害対策並びに環境保全特別委員会