大原榮一の発言 (公害対策並びに環境保全特別委員会)

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○大原参考人 本日、自動車の五十一年度排出ガス規制に関しまして、意見を述べさせていただく機会を得ましたことは、たいへん光栄に存じます。
 当社、富士重工業株式会社は、自動車、バス車体、トレーラー、航空機、鉄道車両、汎用エンジン等を製造販売しておる会社でございますが、そのうち、自動車部門は約七〇%を占める主力製品でございまして、その生産車種は、小型の大衆車並びに軽自動車となっております。
 あらためて申し上げるまでもないことでございますが、この自動車の排出ガス対策は、大気の汚染防止上まことに重要な問題でございまして、しかも万全を期さなければならない問題でございまして、私どもの責務はきわめて大きいと痛感しておる次第でございます。
 したがいまして、当社といたしましても、最重要かつ緊急を要する課題として、技術陣の主力を結集いたしまして強力な推進をはかってきておる次第でございます。このため研究開発費、人員等に全力投球をしてまいりましたが、この五年間の平均で、技術部隊といたしましては、約二百名、現在では三百名を投入いたしております。これは技術部隊の約五〇%に当たる人員でございます。研究費につきましては、四十五年度から四十九年度までのこの五年間に約五十億でございます。その他設備費も十億弱を投入いたしておりまして、研究費は年度ワクの約六〇%を排出ガス対策に使用しておる次第でございます。
 当社におきます排出ガス対策について、その基本的な方針並びに現況について御説明を申し上げます。
 当社は排出ガス対策のために各種の原動機を種々検討いたしました結果、その基本方針といたしまして、内燃機関を採用いたしまして、その内燃機関の改良、開発で進むことにいたしました。そして具備すべき基本的な要件といたしましては、種々の気象、運転条件下でも自動車として安全性を確保し得ること、そうして性能、燃費の劣化、あるいは価格の上昇を極力小さからしめるように基本的に考えて進めておる次第でございます。
 次に、五十年度規制対策でございますが、以上の方針並びに要件に基づいて開発いたしましたのがシークシステムでございまして、スバル・エキゾースト・エミッション・コントロール・システム、略してSEECと称しております。
 私どもでは小型自動車に低輩出特性を持ちました独特の水平対向アルミ合金エンジンを搭載いたしております。また軽乗用車につきましては、従来ツーサイクル・エンジンを搭載しておりましたが、五十年度規制に対処するため、いろいろと検討を重ねました結果として、多額の投資は伴いましたが、新しい設計のフォアサイクル・エンジンに変更いたしまして、現在すでにこれを発売いたしております。
 私どものこのシークシステムは、これらのエンジンの特徴を生かしまして、エンジン本体のエミッションレベルを極力低減することを重点に開発いたしました排出ガス対策システムでございます。このシステムによりまして、すでに決定されておりますところの五十年度排出ガス規制に対応して、現在鋭意生産準備を進めておる次第でございます。
 次に、五十一年度排出ガス規制の対策につきましては、還元触媒方式を中心として開発を続けてまいりました。排出ガスレベルにつきましては、一応初期値といたしましては良好なレベルに達することができましたが、耐久試験を行ないましたところ、劣化の進行がきわめて大きく、短期間で規制値を超過することが明らかでございます。約五千キロ未満で規制値を突破するわけでございます。この結果、このシステムの成功の可否は、一にかかって還元触媒の耐久性の改善に負うところが大きいということができると存じます。
 当社といたしましては、これまでに内外の触媒メーカーから数十種類に及ぶ触媒を選択いたしまして、いろいろと試験研究を重ねてまいりましたが、残念ながら耐久性、信頼性がきわめて不満足でございます。これならという還元触媒を見出すに至っていないのが現状でございます。
 したがいまして、当社におきましては、NOxの低減のためには還元触媒を使わないで、エンジンの改良と排気ガス再循環方式による制御法につきましても、各種の試験研究を重ねてきたわけでございます。この結果、CO、HCを規制値内に保とうとするためには、現状においてNOxの排出レベルは一キロメートル当たり〇・九グラムから一グラムぐらいが限度かと思われます。ただし、この場合でも、お手元に別に差し上げてございます表にございますとおり、運転性、燃費の劣化は免れ得ません。商品としての万全を期するためには、さらに相当期間の詰めが必要でございます。なお、軽自動車につきましては、機関容積等の制限がございますので、性能、運転性、安全性等の低下が特に問題で、その対策は一そう困難でございます。
 最後に、結論といたしまして、五十年度排出ガス規制の対策車につきましては、すでに現在生産準備を進めている段階であることは申し上げましたが、次期の規制対策車につきましては、この五十年度規制対策車を発売後、市場において発生する諸問題及びその改善対策を実施、確認いたしまして、その結果を織り込んでいく必要があると存じます。これは何ぶんにも新しい技術でございますために、発売後の不特定多数のユーザーの千差万別な使用法による不測の問題に対処して、自動車としての安全運転を確保するため車検期間を考慮いたしまして、二年近くのフォローアップ期間が必要と考えております。
 また量産面におきましても、耐久性、信頼性、製品のばらつきを狭めるため、すべての関連部品の品質管理を徹底して行なう必要がございます。そのためには量産着手後、少なくとも約二年間を必要とすると存じております。よって、当社の製品につきましては、五十二年十二月の生産車から一キロメートル当たり〇・九グラムの実現を期したいと考えておる次第でございます。
 なお、私どもは軽自動車も生産しているメーカーの立場として一言申し上げさせていただきたいと存じます。
 御承知のように、軽自動車は中小企業及び一般大衆の方々に愛されている実用車でございます。特に省資源、省エネルギーといった観点から、「節約の倫理」と「小さいことの価値」が再評価されつつあるわけでございます。しかし、排出ガス対策面では、その機関容積、車体寸法が小さくて、制限がございますので、装備性とか安全性等、技術的にはむずかしい問題をかかえておるわけでございます。
 当社の軽自動車につきましては、すでに決定されております五十年度の規制に対しまして、小型乗用車系と同様にその対策に万全を期しておりますが、それ以降のNOx規制強化の検討の際には、これらの点について十分に御勘案をいただきまして、排出ガス規制基準制定と同時に、少なくとも機関容積を四百五十cc程度——ただいまの三百六十ccに対しまして、性能劣化二〇%を上のせしていただき、四百五十cc程度にまで増大することについて法制上の御配慮をお願いしたいと存ずる次第でございます。
 最後に、自動車の排出ガス対策は、環境の改善、健康の維持のための至上命題でございます。私どもといたしましては、この点を十分認識しております。五十一年度排出ガス規制に対応するため、今後とも一全社をあげまして最善、最高の努力をいたしますが、以上申し上げましたような諸問題もございますので、諸先生方の御高配をお願いする次第でございます。
 これをもって終わります。

発言情報

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発言者: 大原榮一

speaker_id: 7801

日付: 1974-09-11

院: 衆議院

会議名: 公害対策並びに環境保全特別委員会