大平正芳の発言 (大蔵委員会)
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○大平国務大臣 世界経済がたいへんきびしい状況にあるという御指摘は、仰せのとおりと私も心得ております。すでに世界の通貨がフロート制に入っておりまして、安定した通貨秩序がいまなお形成されていない途中におきまして石油危機をはじめとして大きな異変が起こったわけでございまするから、今日の事態は容易ならぬ事態であると考えております。
〔委員長退席、松本(十)委員長代理着席〕
したがって、各国ともこういう場合に、まず、進行中でございましてそして石油危機を契機としてさらに増幅を見ました世界的な規模を持ったインフレに対して、どういう姿勢を個々の政策当局がとるか、それから国際協調をどのようにオルガナイズしていくか、これが一つの問題であったわけでございます。
それから石油危機が生んだ問題といたしまして、数百億のオイルマネーが産油国に流れる。したがって、資源を持たない開発途上国ばかりじゃなく、日本も含めて先進国の国際収支が大きな影響を受けて赤字を記録することになったわけでございます。したがって、そういう事態に処して、いわゆるオイルマネーの還流という問題を現実的にどのように処理していくかということが第二の課題になったわけでございます。
それから第三の問題といたしましては、こういう大きなショックを受けた世界経済のもとで各国がばらばらなことをやってまいりますと、あるいは世界経済がもう救いがたい状態になるのではないか。したがって、場合によっては非常におそろしい不況を招くようなことになるおそれがあるわけでございますので、不況を回避しながら世界経済がとめどもない縮小の方向に走ってまいることを防ぐ意味におきまして、どのように国際協調を仕組んでいくかという問題が第三にありまして、第四にはIMFという国際機関の増資問題、IMF自体にからむ問題が討議されたわけでございます。
〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕
それで、こういう提起された問題につきまして、私は日本政府としての見解を、総会を通じてあるいは各委員会を通じて明らかにしておいたわけでございます。
すなわち、インフレ対策でございますが、今日、いまのような状況のもとで安定した通貨を早急に持つということができればしあわせでございますけれども、そういうことができない以上は、ナイロビで合意された国際協調の基本の約束というようなものを日本もまじめに取り上げて実践してまいるということでまいりたい。通貨改革というようなものをいま突然やることができないとすれば、当面フロート制を運営していくにあたりましても節度のあることをお互いに考えて、大きな異変が世界経済に招来しないように注意していかなければならない。日本はそういう態度で、インフレを輸出することも慎まなければならぬけれども、世界経済が縮小の方向にいくようにならないように、貿易を規制するとかあるいは輸出ドライブをかってにかけるとか、そういうようなことはしない。そういうことでインフレに対応しつつ、不況に対しましても日本政府としてやるべきことをやり、やるべきでないことをやらないということで、世界協調の実をあげていきたいという態度を明らかにしたわけでございます。
それからオイルマネーの還流問題でございますが、これはすでにアメリカとかユーロ市場を通じまして各国はオイルマネーの取り入れをやっておるわけでございます。また、産油国側と直接取引をいたしましてオイルマネーの取り入れをやっておるわけでございまするし、またIMFが、金額を限ってでございますけれども、産油国から取り入れて、開発途上国にこれを振り向けるというようなこともやっているわけでございまするから、一つの方法に限らず、いろいろな方法を組み合わせて、オイルマネーの還流がまんべんなく行き届くように考えたらいいわけで、日本といたしましては、オイルマネーの還流について多元的な方法を支持する、一つの方法だけにたよるというようなことは危険であるということを主張いたしておいたわけでございます。
IMFの増資問題、あるいはIMFで今後討議される後進国の援助問題あるいは金問題、そういう問題につきましては、日本の立場を申し上げながら、IMFがそういう問題を討議いたしまして、来年の一月半ばまでには理事会がIMFの暫定委員会に答案を提案するようになっておるわけでございまして、私ども日本といたしましても、その討議に参加いたしまして誤りない国際協調の実をあげていきたいと考えておるわけでございます。