大平正芳の発言 (大蔵委員会)
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○大平国務大臣 いままでの戦後の日本政府の政策の基調には成長主義と申しますかがあったのではないかという御指摘、そのとおりだと思うのでございまして、廃墟から立ち上がり、また資本が壊滅して蓄積が全然ないところから経済の復興を始めたわけでございまして、われわれは御案内のように、二十年、三十年、四十年代を通じまして、ときにいろいろアクセントの置き方は違いましたけれども、わが国の経済の復興、曲がりなりにも骨格をつくり上げていこうということで一生懸命になりまして、税制もまたそういう観点から立案された面が相当あることは御指摘のとおりでございます。しかし、いまそういう成長主義というようなものはもう望んで望めなくなってまいりまして、資源的な制約あるいは環境上の制約、労働力の制約、その他社会的ないろいろな制約がございまして、望んでも成長はおそらく低成長なものしかできない状態になったといたしますならば、そういう状況の中で税制はどうあるべきかという点につきましてこれを洗い直してみるという必要は、山中さん同様に私も痛切に感ずるものでございます。
いま御指摘の税制上の三大矛盾、それはあなたから初めて聞くのですけれども、私、そういう見方もあるのだろうと思いますけれども、それについておまえどう思うかというお話でございますが、原則として、そういうふうに時代、環境が変わってまいりましたので、税制上もそういう変わった立場から見直してみる必要があるという一般論は、私はお約束できるわけでございますが、いま言われた三大矛盾というものについて、いま具体的にお答えをする用意は実はないのです。
というのは、いま御案内のように、政府も税制調査会というものをお願いいたしまして、各界の有識者にこの間検討をお願いしたばかりでございます。もちろんわれわれも部内におきまして、この御審議をその方々にお願いしてこちらはたばこを吹かしておるというわけのものでは決してないので、勉強していかなければならぬと心得ておりますけれども、まず政府といたしましては、税制調査会の御意見も十分聞かなければいかぬ。それからわれわれの与党におきましてはすでにもう討議が始まっておるようでございまして、そういう方々、そういう機関の御意見も十分私は聞いた上で、責任者といたしまして決断しなければならぬわけでございますので、いまそういう段階を経ない前にあれこれとまだ熟さない意見を申し上げますことは、私はかえって非礼だとも思いますので、一般的な心がまえは山中さんと私は共通なものを持っておるわけですが、具体的な案件についての具体的な返答というものは、しばらくいろいろな手順を踏んだあとでお願いをいたしたいと思います。