小澤文雄の発言 (公害対策並びに環境保全特別委員会)

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○小澤政府委員 ただいまから、公害等調整委員会が所掌しております公害紛争の処理に関する事務の概況につきまして、御説明いたします。
 公害等調整委員会は、従前の中央公害審査委員会と土地調整委員会とが統合され、総理府の外局たる行政委員会として昭和四十七年七月一日から新しく発足いたしたものであります。公害等調整委員会は、公害紛争処理法の定めるところにより公害に係る被害に関する民事上の紛争について、あっせん、調停、仲裁及び裁定を行うとともに、地方公共団体が行う公害に関する苦情の処理について指導等を行うこととなっております。このあっせんについては、昨年の公害紛争処理法の一部改正により同年十一月一日から新たに設けられたものであります。なお、従前の土地調整委員会の任務であった鉱業、採石業または砂利採取業と一般公益等との調整を図るという職務も行っております。
 続きまして、これらの事務の概略について御説明します。
 第一に、公害等調整委員会が行います公害紛争についてのあっせん、調停及び仲裁は、ともに、紛争解決の基礎を当事者の合意に求めるものでございますが、当委員会が管轄する公害紛争は、人の生命、健康に重大な被害を生ずる公害に関する紛争、農作物や魚介類など人の生活に密接な関係を有する動植物またはその生育環境に五億円以上の被害を生ずる公害に関する紛争、新幹線鉄道及び航空機の運行により生ずる騒音に関する紛争並びに被害地、加害地が二つ以上の都道府県の区域にまたがる公害に関する紛争でありまして、いずれも、社会的に重大な影響を有し、かつ、広域的な見地から処理することが適当と考えられるものであります。なお、当委員会の管轄に属さない公害紛争につきましては、公害紛争処理法に基づいて全国の都道府県が設けております都道府県公害審査会等が行うあっせん、調停及び仲裁の手続により処理されております。
 第二は、公害紛争についての裁定でございますが、裁定制度は、昭和四十七年九月、公害紛争処理制度を充実強化する施策の一環として設けられたものであります。これには、責任裁定と原因裁定の二種類がありまして、ともに訴訟手続に準じた手続によって紛争を処理することとなっております。責任裁定と申しますのは、公害による被害について損害賠償に関する紛争が生じました場合に、被害者からの申請に基づいて、その相手方の損害賠償責任の有無及びその範囲について判断するものであります。一方、原因裁定と申しますのは、公害紛争においてその解明が困難で当事者間の争いの中心となることが多いところの被害と加害行為との間の因果関係について、当事者からの申請に基づいて、その有無を明らかにする裁定であります。
 第三の事務は、地方公共団体が行う公害に関する苦情の処理について指導等を行うことであります。住民から申し立てられる公害に関する苦情の数と内容は、その地域の環境問題の指標的な意味を持つと同時に、また、公害苦情は公害紛争の前段階的な性格を有しておりますので、その適切な処理を図ることは、公害紛争の発生の事前防止という面におきまして、きわめて重要な機能を果たすものであります。このような公害苦情の適正な処理の重要性にかんがみ、公害紛争処理法においては、これに当たるべき地方公共団体の責務を明らかにし、公害苦情相談員の制度を定めておりますが、公害等調整委員会は、地方公共団体が行う公害苦情の処理について指導、助言、協力等をすることとなっております。
 次に当委員会の事務処理の概要を具体的に御説明申し上げます。公害紛争の処理に関しまして、昭和四十九年に当委員会に係属しました事件は、調停事件六十五件、責任裁定事件六件の計七十一件で、このうち、調停事件二十七件、責任裁定事件二件、計二十九件の処理が終了しております。
 昭和四十九年中に手続が係属した六十五件の調停事件の内訳を見ますと、不知火海沿岸における水質汚濁による水俣病事件が四十件、渡良瀬川沿岸における鉱毒による農業被害事件が五件、大阪国際空港周辺地域における騒音による生活環境被害事件が十九件、徳山湾における水質汚濁による漁業被害事件が一件であり、申請人総数は約二万一千名の多数に上っており、とりわけ大阪空港騒音調停申請事件は一万九千余名の申請に係るマンモス事件となっております。
 係属した調停事件六十五件のうち昭和四十九年に新たに申請があった事件は二十五件であります。
 紛争処理が終結しましたものは二十七件で、不知火海沿岸における水質汚濁による水俣病事件が二十三件、患者数は二百三名、渡良瀬川沿岸における鉱毒による農業被害事件が四件、申請者数は九百七十一名であり、いずれも、調停が成立して終結したものでございます。これらのうち水俣病事件は、水俣病と認定された患者に対するチッソ株式会社の損害賠償について、患者個々人ごとに会社との問の調停を成立させたものであります。また、渡良瀬川沿岸における鉱毒被害事件は、足尾銅山から排出される廃棄物鉱滓が水田等に流入したことにより農作物被害をこうむった沿岸農民と古河鉱業株式会社との間における補償をめぐる事件でございまして、八十年にわたる紛争の歴史的な重みに加えて、被害と加害行為の因果関係の立証、損害額の算定等が非常に困難な事件でありましたが、鋭意調停手続を進めた結果、被害が最も広範囲であった群馬県毛里田地区の農民九百七十一名について、昭和四十九年五月、会社側との間に調停が成立し、過去の全期間についての補償の問題を含め両当事者間の紛争について円満に解決したものであります。
 その他の事件については、目下鋭意調停手続を進めているところであります。
 また、裁定事件につきましては、昭和四十九年七月に最初の申請があってから同年中に計六件の責任裁定の申請がございました。その内訳は、富山市及び大阪市におけるビル建築工事に伴う地盤沈下による建築物損傷事件が三件、東大阪市における大阪国際空港の航空機騒音による健康被害事件、東京都新宿区における地下鉄工事に伴う騒音、振動、地盤沈下による営業損害事件、長野県中野市におけるカドミウム汚染による農作物等被害事件がそれぞれ一件であります。
 このうち二件については、申請の取り下げがあり、手続が終結しておりますが、他の四件は、目下審理中でございます。
 次に、昭和四十八年度の全国の公害苦情の実態について申し上げます。当委員会の調査によれば、その総件数は、約八万七千件となっておりまして、昭和四十二年度から引き続き増加を続けてきた総件数が前年度に比べわずかに減少いたしております。
 これらを公害の種類別に見ますと、騒音、振動に関する苦情が最も多く、全苦情の三分の一、すなわち三三%を占め、次いで悪臭が二三%、水質汚濁一八%、大気汚染一六%の順であり、これらで全体の約九割を占めております。また、苦情件数を市町村別に見ますと、苦情件数の多い人口二十五万以上の市では前年より五・八%減少しているのに対し、人口二十五万未満の市では一・八%、件数の少ない町村では二五%、それぞれ前年より増加しております。
 このような事態を踏まえまして、公害紛争処理法施行令の一部を改正し、本年四月一日から、公害苦情相談員を置かなければならない市を人口二十五万以上の市から人口十万以上の市に拡大する等の措置をとっております。
 引き続き、昭和五十年度の公害等調整委員会の予算案につきまして、その概要を御説明します。
 昭和五十年度の総理府所管一般会計歳出予算のうち公害等調整委員会の予算の総額は、二億七千八百四十万円でありまして、これを前年度の歳出予算額二億三百七十九万二千円と比較いたしますと、七千四百六十万八千円の増額となっております。その内容は、当委員会に係属する事案の審理及び一般事務処理のための経費四千二百七十四万九千円、公害紛争の処理について都道府県等と連絡協議するための経費五百四十七万二千円、公害の因果関係の解明に要する調査のうち、特に専門的、技術的要素の強いものを外部の研究機関に委託するための経費二千五十九万四千円、公害苦情の実態を調査し、その処理について地方公共団体の職員に対する研修指導等を実施するための経費一千三百四万二千円のほか、あとは人件費であります。
 以上が昭和四十九年中に公害等調整委員会が行ってまいりました公害紛争の処理に関する事務の概況及び昭和五十年度の予算案の概要であります。
 なお、公害等調整委員会設置法第十七条に定められております昭和四十九年の所掌事務処理状況の報告書は、会計年度で取りまとめまして、追って所定の手続を経てお手元にお届けいたしますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

発言情報

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発言者: 小澤文雄

speaker_id: 10297

日付: 1975-02-18

院: 衆議院

会議名: 公害対策並びに環境保全特別委員会